Two Sides Of Peter Banks/Peter Banks | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Peter BanksといえばYesの創設メンバーで"The Architect of Progressive Music"と称されているギタリストである。Yesのギタリストといえば70年代全盛期から80年の実質活動停止(解散)までを支えたSteve Howe、または80年からの活動停止(解散)という時期を経てHoweの後任として(実際はChris SquireのバンドCinemaに加入して、そこからYes再結成に発展)Yes唯一の全米Billboard Hot 100第1位を獲得したAlbum『90125』に貢献し、その後もギタリストのみならずSongwriter/Producerとしての才能を発揮した立役者Trevor Rabinというところが、まず思い浮かぶ。どうしてもYesの初代ギタリストで、Yesというバンド名の名付け親でもあるにもかかわらずPeter Banksの影が薄くなってしまうのは仕方のないところかもしれない。ところが、このPeter Banksは、"Progressive Musicの建築家"と称されるだけあって、中々魅力のあるMusicianであった。北LondonBarnet生まれで、幼いころ父親からAcoustic Guitarを買ってもらい、Banjoも弾くようになったBanksはChris Squireがベースを弾いていたバンドThe Synに加入、67年に解散するがBanksはSquireと共にMabel Greer's Toyshopというバンドにバンドに加入して、68年のVocalistのJon Anderson、DrummerのBill Brufordが加わると、これがYesに発展していく(Banksは一時別のバンドで活動していたが出戻り)。『Yes』、『Time And A Word』と2枚のアルバムに参加後、Orchestraの導入をめぐり他のメンバーとの音楽的対立からYesを離れることになった。その後Blodwyn Pigに参加したり自己のGroup FlashEmpireを結成する傍ら、73年にソロ・アルバムとなる本作をリリースしている。全曲インストでギタリストPeter Banksの魅力を味わうことができる。

 

 『Two Sides Of Peter Banks』はPeter Banksが73年にリリースしたアルバム。なんといってもFocusのギタリストJan Akkermanが参加して楽曲も提供しており完成度が高い作品となった。GenesisのPhil CollinsSteve HackettにベースのJohn Wetton、FlashのベースRay BennettとドラムスのMike Houghも参加している。Banksはギターの他にARP SynthesizerMinimoogFender Rhodes Electric Pianoも演奏している。

アルバム1曲目はJan Akkermanとの共作“Vision Of The King”。優美なギターのVolum奏法で始まり激しくギターがかきならされ、次の曲へ展開する。

心地良いAcoustic Guitarの調べで始まる“The White Horse Vale”は“On The Hill”と“Lord Of The Dragon”から成る。ここでもVolume奏法Wah Guitarが効果的で繊細で抒情的なギターの絡み合いが欧州浪漫をかきたてる。Harmonics奏法もまじえながら摩訶不思議な世界へ惹きこまれていく。

続いても“The Falcon”と“The Bear”から成る組曲“Knights”。2本のギターのHardなRiffから始まり、ArpeggoとVolume奏法が静かで詩的な世界を描き出す。Banksの弾き倒しソロに続いて最後はEvilなRiffで2本のギターが狂い咲き

バタバタしたPhil Collinsのドラミングから始まるAkkermanとの共作“Battles”はゴリゴリしたRiffやFunkyなカッティングがご機嫌である。切れ目なしにWettonがベースを弾きHackettがギターを弾くMagicalな“Knights-Reprise”に突入。

Volume奏法が抒情的でRomanticな香りを放つLast Eclipse

Akkerman作の“Beyond the Loneliest Sea”はAkkermanの超絶なAcoustic GuitarとBanksのSynthesizer幻想的な世界を描き出す。

Akkermanとの共作となる13分越えの“Stop That!”は2人のImaginativeなギターの共演が楽しめるJam Session風

アルバム最後をシメるのはCountry風味が楽しい“Get Out of My Fridge”。

(Hit-C Fiore)