Max/The Rumour | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 The Rumourの、このDebut Album何回聴いたかわからない。Punk上がりの自分にとって、所謂Pub Rock界隈の音楽は地続きになっていたのであった。それは、根っこに60年代のBritish Beat Groupが持つSimpleでPrimitiveな要素を共に持っていたからかもしれない。実際に、Pub Rock BandからPunk Bandに転身した連中もいたわけであるから。そして世の中をPunkが席巻していこうかという時代に注目を集めるようになったElvis CostelloやGraham Parker、そして少し遅れて登場してきたJoe JacksonあたりもPunkの文脈で語られるようなこともあったようだ。この3人は根っからのPub Rockの連中に比べて熱量や怒りといった部分が当時のPunkと共鳴するところが大きかった。とにかく自分はPunk Bandと共にCostelloやJoe JacksonやGraham Parkerの音に夢中になったのであった。さて、The RumourはそんなGraham Parkerを演奏で支えた職人気質のGroupである。ギターのBrinsley Schwarzと鍵盤のBob Andrewsは元Brinsley SchwarzDucks DeluxeのギターMartin Belmontという3人のPub Rockの猛者に、ベースにAndrew Bodnar、ドラムスにSteve Gouldingという武骨だけどいぶし銀の魅力にあふれたMusician5人組。そこにGraham ParkerのVocalとギターが加わってGraham Parker & The Rumourとして活動が始まった。そこにSaxのJohn "Irish" Earle、TromboneのChris Gower、TrumpetのDick Hanson、SaxのRay Beavisから成るThe Rumour Hornsも一緒になってPub Rock界で名をはせるとGraham Parker名義のDebut Album『Howlin Wind』を76年の春Vertigoからリリース、評判を集めると、続けざまに『Heat Treatment』をGraham Parker & The Rumour名義でリリース、77年にリリースされた『Stick To Me』はPunkと共鳴した怒りと疾走感と熱くPrimitveな初期衝動が加わった傑作となった。そして、この年The Rumour単独のアルバムとして本作がリリースされる。ProduceRobert John Langeと彼ら自身である。BluesやSoul、R&BそしてJazzまで彼らが米国音楽に影響を受けThe Bandを模範にし、そこに英国人らしさを加えた玄人志向の名バンドたる証明となる一枚である。

 

 『Max』はThe Rumour77年にリリースしたアルバム。タイトルは、同年にFleetwood Macが大ヒットさせたアルバムが『Rumours』だったところからボケかまし、裏ジャケの右隅に小さく写るアメ車のナンバープレートがFleetwoodという徹底ぶりまで英国人らしいセンスでキメて最高。

アルバム1曲目はNick LoweがBrinsley Schwarz時代に作った米国南部の香り漂う“Mess With Love”。Nickが『The Abominable Showman』でもやってるけど武骨でThe Rumour Hornsも加わったこちらもご機嫌。

Hard Enough To Show”はイントロから惹きこまれるReggaeが隠し味の大好きな曲。ギターソロもご機嫌でHorn隊もバッチリである。

Duke Ellingtonの“Do Nothing 'Till You Hear From Me”も

泣きの入ったRock-A-Ballad仕立てでHorn隊やSaxソロも最高。

Airplane Tonight”は激渋の味わい深さThe Bandを思わせる。

Looking After No. 1”もピアノ・ソロ、続くギター・ソロがご機嫌なShuffle

Stevie Wonderの“I Wanna Make Her Love Me”もイントロのギターのRiffFunkyなベースが絡むところから最高。

高揚感に満ち溢れたI'm So Glad”も大好きな曲。これまたイントロがご機嫌Horn隊とさりげなくバックに流れるHammondやピアノが最高。

Face To Face”も武骨な職人気質が感じられるこの時代ならではの曲。

This Town”は米国音楽、特にSoulに彼らが影響を受けたことが良くわかるナンバー。仕上がりは英国の中の亜米利加

アルバム最後をシメるのはこの時代らしいRaggeの影響を受けつつ、やっぱり英国人気質が感じられる“Somethin's Goin' On”。

(Hit-C Fiore)