Some Other Spring/Ann Burton  | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

  Ann Burtonは大好きなJazz Singerの一人であるが、大好きな作品が多すぎて、どれか一枚選ぶというのが難しい。Louis Van Dyke Trioと共演しDebut Albumにして傑作となった『Blue Burton』と次作『Ballads & Burton』、名ギタリストWim Overgaauw率いるQurtetをバックにしっとり聴かせる『Ann Burton Sings For Lovers And Other Strangers』、73年初来日時のThe Kenn McCarthy Trioとの六本木MistyでのLiveを収録した『Misty Burton』といった60年代から70年代にかけての初期の名作から、74年来日時にピアノの佐藤允彦、小川俊彦ら、バックを日本のMusicianで固めて東京で録音された『By Myself Alone』、77年来日時に日本で制作されたThe Kenn McCarthy Trioとの『He's Funny That Way』、『Burton For Certain』といった一躍日本で人気が高まってTourしていた時期の円熟したAnnのVocalをじっくり楽しめる作品、それぞれに味わい深さがある。70年代に日本で人気を集め、73年の初来日以来、4度の来日公演を行い、日本制作で素晴らしい作品を残してくれたことが実に喜ばしい。本作は80年に東京で録音された愛すべき作品。Annは日本で5枚のアルバムを残しているが、その最後の作品となる。ピアノに71年リリースの名盤『Explosive!』で知られるFestival Big BandのFrans Elsen、ベースにGunter Hampel QuartettのVictor Kaihatuの2人をバックに艶っぽくて温もりのあるAnnのVocalが楽しめる。定評のあるBalladは勿論、Swingyな曲での歌いっぷりはStandardを中心に固めたこのアルバムを引き締まったものにしている。BeatlesやJames Taylor、Paul Simonなどを独自の解釈で歌うAnnも素晴らしいのだが、本格的なStandardで小気味よくSwingするAnnのVocalは格別だ。最後の来日公演で残してくれたこのアルバムは、こういう季節に暖かい部屋の中でじっくり聴くと実に沁みるのである。

 

 『Some Other Spring』はAnn Burton80年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目はMamas and the Papasも歌ったStandard“Dream A Little Of Me”。イントロのFrans Elsenの優美なピアノが最高。

Nat King Coleの名唱でも知られるStandard“The Very Thought Of You”。タメのきいたピアノで始まり、情感をこめてしっとりと歌い上げるAnnが最高。

これまたイントロの愛らしいピアノが最高な“Baubles, Bangles and Beads”。Swingyに歌い上げるAnnもピアノ・ソロもご機嫌である。

語りかけるように歌うAnnの優しい歌声に包まれて心がゆっくりときほぐされていく“Thursday's Child”。

Ella Fitzgeraldの名唱で知られるSwingyな“It's A Pity To Say Goodnight”。エンディングのKissがお茶目。

珠玉のBallad“Skylark”はAnnの優しく語りかけるようなVocalとFrans Elsenの繊細な味わいのピアノが極上の味わい。

The Days Of Wine And Roses”は、最初はベースのみをバックに歌うAnnが良い。途中からピアノが入ってきて、Swingyに展開するところが気持ち良い。転がるピアノがご機嫌である。思わず指パッチン。

What Is There To Say”もAnnの情感のこもったVocalが素晴らしいBallad

タイトル曲“Some Other Spring”はしっとりと歌い上げるBallad。それにしてもAnnが丁寧に歌い上げるこういうBalladは心に温もりを与えてくれる

最後をシメるのはイントロがご機嫌な“The End Of A Love Affair”。こういう軽快にSwingする曲でのAnnも

(Hit-C Fiore)