Metal Rendez-vous/Krokus | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 KrokusはSwissのバンドらしいのだが、今回ご紹介するものの見事に、その内容を表しているお馬鹿なジャケットとタイトルがまず最高。彼らが音楽性を方向転換して新たにVocalistを迎えて制作国際的な人気を得ることになった出世作ということらしいが、所々にいかにも80年代初頭らしい、色んなことに手を出してみました的闇鍋のようないかがわしさも仄かに漂っているところが微笑ましい。実際バンドの中心人物となるChris von RohrJazz Schoolで学び、さまざまなバンド体験の後に生まれ故郷のSolothurnでギタリストのTommy Kiefer70年代半ばにKrokusを結成しているが、76年にリリースされたDebut AlbumKroukus』は雑多な音楽性を持って、何をやりたいのか分からない、どっちつかずの作品であった。続く『To You All』ではChris von RohrとKiefer以外のメンバーを交代しHard Rock路線をより進めた作品となった。当初Drummerであったvon RohrがLead Vocalを担当するようになり、これまたお馬鹿なジャケットで、内容は悪くないが、まだやりたいことが絞り切れていない感じで、次作『Pain Killer』(これまたジャケットが間抜け感丸出し)でようやく路線が固まりつつあったのだが、AC/DCを観て限界を感じたvon Rohrが新たにTeaのVocalist Marc Storaceを迎えて制作したのが本作である。von Rohrはベースに転じ、ギターのKiefer、Fernando Von Arb、ドラムスのFreddy Steady、 鍵盤奏者のJürg Naegeliというメンツ。演奏も安定しているし器用なバンドで、 Raggeまで飛び出したり、演歌調の曲もあったりするのだが、まあ、とにかくヘドバンかまして楽しみたい時には、こういう気楽に楽しめる能天気なアルバムである。個人的には“Shy Kid”という曲が大好きで10代の頃の自分が気分を高揚させる時に、この曲が頭の中で鳴り響いたのであった。

 

 『Metal Rendez-vous』はKrokusが80年Arioraからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は“Heatstrokes”。いきなりご機嫌なギターのRiffで始まりMarc StoraceのPowerfullなVocalがガンガンとかまし、まあ、いってみればAC/DC路線なんだけど、これはこれで良し。

これまたイントロの豪快なギターのRiffから最高の“Bedside Radio”。

Catcyなサビ重戦車のように突き進むリズム隊がイイ感じ。

Come On”もサビは口ずさみやすいヘドバンかましたくなる曲なんだけど愚直にガッツリ支えるリズム隊泣きの入ったツイン・ギターが彼ららしさか。

ここで変化球というか、彼らの出自を物語るような幻想的なイントロを持った“Streamer”。ギターの絡みもイイ感じでおっと思わせるのだが、歌い上げてしまうVocalは演歌入ったいかにもなアレで、まあ、コレは仕方ないところ。

Shy Kid”は大好きな曲で、当時Punkどっぷりだった10代の自分にとって同様に気持ちを高ぶらせてくれるナンバーだった。Slideがたまらない。

B面は銅鑼で始まる勘違いのFakeな問題作Tokyo Nights”。Raggae調のギター・カッティングに演歌調のVocal。これもまあ、しゃあない。

コレだよコレの骨太なギターのRiffで始まる“Lady Double Dealer”。豪快なSlide Guitarが気持ち良い。

一瞬Zeppelinかという数秒のイントロから、ありがちな80年代Metal路線になる“Fire”。

ギターが激カッコイイRiffをぶち込むNo Way”。この路線で統一してくれれば最高なんだが。

アルバム最後をシメるのはノリノリのBack-Seat Rock 'n' Roll”。

(Hit-C Fiore)