A Toda Hora Rola Uma Estoria/Paulinho Da Viola | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Paulinho Da ViolaことPaulo César Batista de Fariaは大好きなSambistaの一人である。65年にZé KetiやOscar Bigode、Nelson Sargentoらと結成したSamba Group A Voz do Morroのメンバーとしてして世に出た時、Paulinho Da ViolaというNicknameを付けられたRio de Janeiro生まれのこの才能に満ちたSambistaは、アルバム『Roda De Samba』に“Coração Vulgar”、“Conversa De Malandro”、“Jurar Com Virgínias”という素晴らしい楽曲を提供し注目を集めた。名門Choro ConjuntoEpoca de OuroのギタリストCesar Fariaを父に持ち独学でViolãoを学び、Cavaquinhoを演奏するようになったPaulinhoは10代の時にEscola de Sambaに参加してUnião de Jacarepaguáで自作の曲を作り提供するようになっていた。銀行で会計士としての仕事に就いていたPaulinhoが63年にCarioca通りにあるCratolaとPartnerのDona Zicaが経営するZicartolaを訪れた時に、その運命は変わった。銀行を止めて音楽家として生きることを決意し、CasquinhaとSambaの名曲“Recado”を共作すると、Musical『Rosa de Ouro』に参加したメンバーと上述のA Voz do Morroを立ち上げるのであった。こうしてChoroとEscola de Sambaを自らのRootsとして持ったPaulinhoは、CartolaやElton Medeiros、 Candeiaらと共演し、66年にPaulinho Da Viola E Elton Medeirosとして『Samba Na Madrugada』、68年にOdeonから『Paulinho Da Viola』をリリース、70年代から80年代にかけて数々の名盤を世に出している。70年代のOdeon時代は勿論素晴らしいが、80年代に入ってからのAtantic時代の3枚のアルバムも、本作をはじめ充実している。以降は以前のような精力的な活動の様子が伝わってこないがGilberto GilやCaetano VelosoやMilton Nascimentoも同世代で共にBrasilを代表する音楽家として活躍してきたPaulinhoは、老け込むにはまだまだ早いと思うのだが。

 

 『A Toda Hora Rola Uma Estoria』はPaulinho Da Viola82年にリリースしたアルバム。Simpleだけど、その人柄がにじみ出たジャケットがお気に入り。

アルバム1曲目は軽快に始まるRumo Dos Ventos”。心地良く鳴り響くPercussionキレキレのHorn隊をバックにジャケットのようにGentleなPaulinhoのVocalがご機嫌なSambaである。

この時代らしいMellowなエレピのイントロに導かれ優美なMelodyを歌い上げるPaulinhoのVocalが絶品な“Só O Tempo”。

先輩の偉大なるSambista Ivone LaraをGuestに迎えた“Não É Assim”は無条件に腰が動いてしまうご機嫌なSamba。後半の盛り上がりは最高。

Elton Medeirosと共作した“Pra Fugir Da Saudade”は哀感に満ちながらも生命感に満ちた流麗なMelodyが最高。人間味あふれながらもSophisticateされたPaulinhoの歌いっぷりが素晴らしい。

Jorge Mexeu作の“Amor Ingrato”はCavaquinhoとPercussionの心地良い響きにGentleなPaulinhoとChorusが極楽気分のSamba。最高ですなあ。

ピアノをバックにしっとりと歌い上げるA Maldade Não Tem Fim”。これは沁みますなあ。

Meu Violão”はGentleで包み込むようなPaulinhoのVocalが堪能できるSamba。

Zorba DevagarMicau作の“Que Trabalho É Esse”。これまた人柄がにじみ出た優しく温もりのあるSamba

 Nara LeãoはじめCaetanoやGal Costaにも取り上げられた大好きなSongwriter Sidney Miller作の“Nós Os Foliões”。やっぱり絶品のMelodyをPaulinhoが情感タップリに歌い上げる。

アルバム最後をシメるのはSergio Naturezaと共作した“Brancas E Pretas”。繊細なMelodyをDandyに歌い上げるPaulinhoは最高である。

(Hit-C Fiore)