Gong Avec Daevid Allen名義になっている『Continental Circus』というタイトルのこのアルバムは、Franceで制作されたJérôme Laperrousaz監督による同名のDocumentary映画のSoundtrack盤である。ジャケットのイラストやアルバムから聴こえてくるExhaust NoteからもわかるようにMotorcycle Road Racingを題材としたというこの映画はAustrariaとItalyのGrand Prix Motorcycle Road RacerであるJack FindlayとGiacomo Agostiniをメインに描いたものであるらしい。ここで聴くことができるのはPsychedelicでMeditationalな浮遊感に満ちたJazz Rockで、正にDaevid Allen独特の世界が繰り広げられている。サントラ盤ということもあって、全4曲(内2曲は同じ曲)は長尺なJam Session風のナンバーとHip Hop顔負けのSound CollageとLoopを取り入れた1曲という構成で、Original Albumとはまた異なる味わいを感じさせてくれる。メンバーは、ドラムスにPip Pyle、SaxのDidier Malherbe、ベースのChristian Tritsch、そしてGilli Smyth というGongのメンツが揃い踏みしている。60年、Melbourneの書店で働いていた時にAllenはBeat Generationの作家に触発されて、いきなりParisに飛びBeat Hotelに滞在し、Terry Rileyと出会い、Jazz Clubで演奏を始めると、翌年には英国に渡り、Musicianとして本格的に活動を開始する。William S. Burroughsと出会い、Sun Raに影響を受けたAllenはDaevid Allen Trioを手始めに、TrioのメンバーのRobert Wyattと66年にSoft Machineを結成、67年に欧州Tourを決行するが英国への再入国を拒否されたAllenはやむなくMachineを脱退して再びParisの地で音楽活動を開始するのだった。そしてPartnerとなるGilli Smyth との出会うも、Mai 68(パリ5月革命)で警察当局に負われ,MallorcaのDeiàに逃亡、そこでBanana Moon Bandを結成する。69年にParisに戻ったGilliとAllenはGongを結成するのであった。
『Continental Circus』は72年にリリースされたGong Avec Daevid Allenによる同名映画のサントラ盤。
アルバム1曲目は"Blues For Findlay"。ノリの良いBoogieのRhythmにのっていきなりPsychedelicに暴れ回り傍若無人にのたうちまわるDaevid AllenのギターとVocalが素晴らしい。これでもかと弾き倒しつつも、Vocalは飄々としたDaevid Allen節。途中でRhythmが変わり、6/8と5/8拍子を組み合わせた後半の浮遊感を伴った展開は最高。呪文のように繰り返されるDaevid Allenのつぶやきと、Sapcyに時空を泳ぎまくるギターが心地良い。11分越えの長尺曲ではあるが、非現実的な世界にTripさせられてあっという間である。
"Continental Circus World"はExhaust Noteや主役の2人の話し声やInteeviewを巧みにCollageしたHip Hopを先取りしたDopeな世界が楽しめる。
"What Do You Want?"は1年前の71年にGongがリリースしたアルバム『Camembert Electrique』に収録されていた大好きな曲”Fohat Digs Holes in Space”のご機嫌なRiffを引用したPhychedelicなナンバー。Canterburyな香りを醸し出すDaevid Allenの脱力したVocalやDidier MalherbeのSaxソロがイイ感じ。永遠に続くMinimalなベースとドラムスにのったDaevid AllenのGlissando Guitarで宇宙の果てまで飛ばされてしまう。
最後をシメるのは"Blues For Findlay (Instrumental)"。タイトル通りアルバム1曲目のInstrumental Version。MalherbeのSaxとDaevid Allenのギターがせめぎ合い、CoolなJamっぽい雰囲気が今となっては心地良く感じられる。
(Hit-C Fiore)