Obatala/Obatala | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Obatala70年代後半に素晴らしいアルバム1枚を残して消滅してしまった謎のバンド。本日ご紹介するのはT.K. Productions傘下のDashからリリースされた彼らの、その唯一のアルバム。ジャケットからして、こらメタルじゃねえかとか突っ込み入りそうな、厚底ヒール履いてデビルマンみたいな翼を生やした摩訶不思議な生き物が描かれた謎過ぎる音盤ではあるが、中身は極上の一枚。ObatalaとはAfrica起源の宗教の神霊のことらしく、地球を創造する使命を与えられたが失敗し、代わりに人類を創造する仕事を与えられたという。そっち方面はあまり詳しくないのでよくわからないが、 とにかくMysteriousなイメージが伝わってくるのは確かだ。そのObataraの実態は、71年に“White Lies, Blue Eyes”というヒット曲を放ったPop Group BulletDrummerだったMike Micaraと73年に激カッコイイJazz Funk Album『Creation One』をリリースしたLondon生まれのMulti-Instrumentalist John Danser率いるDanser's InfernoギタリストFrank Ventoを中心に結成されたバンドでベースのAlonzo Hentz、鍵盤奏者のBob Maniscalco、PercussionのRahiim Taalib、そして紅一点となる女性VocalのRashida Shahというメンツの6人組。JazzやLatinの香りも漂わせるFunkが彼らの持ち味で、演奏技術も中々のモノ。もしかして腕利きのStudio Musicianが集まった単発企画モノだったと想像してみたが、HornとStringsのArrangementを手掛けるMike KicaraとFrank Vento以外のメンバーは他に録音を残した形跡がなさそう。謎である。A面頭3曲のProduceをMiamiで仕事をしていたHoward Albert、残りの曲をMicaraと無名の2人が手掛けている。おそらくジャケットで引いちゃう人がいるかもしれないが、中身は何度もいうけれどご機嫌なFunk Albumである。

 

 『Obatala』はObatala77年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目“April”はキレキレのリズム隊にのってRashida Shahのハリのある伸びやかで男前なVocal軽やかに舞うFluteもご機嫌なナンバー。鳴り響くPercussion流麗なギター・ソロも気持良すぎ。Standardの“I Remember April”を見事にArrangeしている。

In & Out For Love”はMellowなエレピをバックにRashida Shahが艶っぽく歌い上げるBallad。Falsettoや語りをまじえながら次第にSoulfulなVocalで魅了するRashidaにウットリ。

躍動感に満ち溢れた“Shades Of September”は涼し気なエレピに寄り添うStrings、浮遊感のあるFlute、そして爽やかなChorusがイイ味を出している。全体に漂う高揚感が素晴らしく、EndingのPercussionのみになところも最高。

キレキレのギターのカッティングとHorn隊によるイントロから盛り上がる“Disco Party”。助平声のNastyな男性Vocalもイイ感じだが、ここでもパンチの効いたRashida ShahのVocalが最高。男女の対照的なVocalがガンガン盛り上げていく様が良き。

Funk-A-Fried”もイントロからShapに切れ込むHorn隊が激カッコイイ。ここでも男女VocalもFunkyに盛り上げる。低音でぶっとくウネり蠢くベースもご機嫌で、CosmicなSynthesizerソロやSaxソロもバッチリ。

Sly風の腰にクるグイノリFunkが最高に気持ち良い“Tight-Rope”。Ohip PlayersのSugarを思わせる野卑なVocalが良い。かと思えばPhilly風に華麗に駆け巡るStringsも夜の雰囲気出しまくり。

アルバム最後をシメるのはFluteとSaxが蕩けるエレピをバックに高揚感に満ちたインストに仕上げた“Work It Out”。

(Hit-C Fiore)