Temas Brasileños/Tete Montoliu | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Tete Montoliuお気に入りのピアニストの一人であり、その鮮やかなまでに粒立ちの揃った強弱のメリハリがハッキリついたタッチが素晴らしい。そして生命感に満ちた圧倒的なSwing感覚で淀みなく繰り出されるDrive感溢れるフレーズが生み出すCatharsisに酔いしれる至福の瞬間、これは格別だ。ただ、その超絶技巧とDynamismに満ちた緊張感の高い演奏を、何時いかなる時でも無条件に受け入れられるかというと、それはその時の体調であるとか、精神状態であるとか、時と場所、Situationを選ぶであろう。人間たまにはユッタリとRelaxしたい時とか和みたい時もあるわけで、そういった時はConcentric盤やSteeplechase盤、SABA盤やDiscophon盤でのTeteの気合の入りまくった弾き倒しの演奏ではなく、他の音盤の御登場となるわけである。しかし、Teteにだって以前ご紹介した77年リリースのBlues For Myselfのように心地良い寛ぎ感をもたらしてくれる作品があるのであった。本日ご紹介するのは、そんなTeteがEnsayoに残したLatin3部作といわれる作品の中の一枚。TeteがBossa Novaの名曲優美でRomanticかつ躍動感に満ちたLatin感覚で心地良く演奏している。CatalunyaCataloniaの誇りともいえるピアニストTeteは70年代に地元BarcelonaのLabel Ensayoに上述の『Blues For Myself』やLatin3部作などLeader作を残しているがTen To Two BluesなどDusko Goykovichのアルバムでも素晴らしい演奏を披露している。元々はClassical Music中心のLabelだったEnsayoであるが、TeteがTangoやLatinの名曲を演奏した74年リリースの『Temas Latinoamericanos』に続いて、好企画である本作で、難いこと抜きにマッタリ楽しみたいものだ。ベースにAlberto Moraleda、ドラムスにMiguel Angel Lizandra、PercusiionにはCubaPedrito Díazという布陣。ジャンルを越えて理屈抜きに甘美で心地良い旋律を紡ぎ出すTeteの演奏に酔いしれるのである。

 

 『Temas Brasileños』はTete Montoliu74年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目は“Orfeo Negro”とあるが、Medleyで“Felicidade”から“Orfeo Negro”、そして“Samba de Orfeu”と続く3曲Medley

La Chica De Ipanema”は優美なソロ・ピアノからベースとPercussionのリズムが加わって軽快でRelaxした演奏が心地良く響く。“Take The A Train”のフレーズを取り入れる遊び心を発揮しつつユッタリピアノのみになって、リズムが加わって“Corcovado”のMelodyにウットリ聴き入ってしまう。カクテル・ピアノ入ってきたかと思えば得意のスピード感に満ちた速弾きを時折織り交ぜ、典雅なソロ・ピアノからPercussionが心地良く響くSamba De Uma Nota So”へ突入。Bossaからフォービートに展開してTeteが本領発揮のキレキレのピアノが炸裂するところもご機嫌。こちらも3曲Medley

一転してDarkな響きのピアノで始まりFree Jazzでも始まるかと思わせておいてZé Do NorteことAlfredo Ricardo Do Nascimento作“O'Canganceiro”で生命感に満ちたMelodyが飛び出す瞬間の気持ち良さといったらない。そしてAry Barrosoの“Bahia”をBossa風に演奏し“Brasilブラジルの水彩画)”でPercussionも入って陽気に弾けるのが最高。EndingでのPercussiveなTeteのお遊びフレーズもご愛嬌でLatinの血が騒ぐノリノリである。

Baden Powellの“Canto De Ossanha”は不穏な雰囲気で始まりDarkなBlock Chordから一気に爽快なMelodyが飛び出すBossaへと突入、ここではTeteのスリリングな指さばきが聴きモノ、そして“OlaWave”のカクテル・ピアノ風ユッタリマッタリと思わせておいて速いPassageのフレーズが突如飛び出したり遊び心に満ちた演奏で、“So Danço Samba”でTeteらしい躍動感に満ちた演奏でMonkの“Straight No Chaser”のフレーズをきっかけにフォービートに展開して気持ち良すぎ

最後をシメるのも“Desafinado”~“MeditaçaoMeditation)”ときてArco弾きで始まり陽気に盛り上がる必殺の“Tristeza”と最後も3曲Medley

(Hit-C Fiore)