Blueという何とも凡庸で、ありがちと捉えるべきか、深いと考えるべきか、とにかく検索しづらいというか検索しても探しにくいバンド名を持ったこのバンド、ScotlandのGlasgowで70年代前半に結成されている。メンバーはThe Poets~Marmaladeと行動を共にしたHughie(Hugh) NicholsonとIan MacMillanが中心となり、ドラムスにはSandy DennyやRichard Thompson、Iain Matthewsのアルバムで叩いていたTimi(Timmy )Donaldを迎えた3人組としてRSOと契約、73年にデビュー・アルバム『Blue』をリリースしている。 後にWingsに加入するGuitaristJimmy McCullochもほんの少しの期間ではあるが在籍していたらしい。San Franciscoで録音された74年リリースの2ndアルバム『Life In The Navy』からはギタリストRobert 'Smiggy' Smithを加えた4人編成となり活動を続けた。本作はギターのSmiggyとドラムスのTimmyが脱退し、Hughieの兄弟David Nicholsonをベースと鍵盤担当として加入させ、ドラムスには名手Charlie Smithを迎えた4人編成で77年にリリースされている。前2作でも英国の中の亜米利加的世界を描き出すHughieのSongwritingが冴えわたっていたが、Elton John'のRocket Recordsとの契約となった本作ではElton本人とClive FranksがProduceを担当、Country風味に加えて米国西海岸的な洗練とMellowな味わいが増した佳作となった。当時、一世を風靡していた米国のWest Castなサウンドは既に朽ち果てていく傾向を見せつつあった70年代後半に、英国からある種の憧れを持った彼らのようなバンドが登場したのは興味深い。同時にMellowで小洒落たLate '70sな味わいが自分にはツボであったりする。BlueはLAに拠点を移し79年にも『Fools' Party』をリリースしているが商業的成功を得ることはできず英国に戻るのであった。
『Another Night Time Flight』はBlueが77年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目はタイトル曲“Blue Another Night Time Flight”。甘やかなエレピで始まり、彼らお得意の爽やかなChorusが冴える掴みはバッチリのOpener。
哀感漂うピアノ弾き語り風の“Fantasy”。しっとりと歌い上げる前半から後半は盛り上がっていくお約束の展開ながら、グッときますな。
Ian MacMillan作の“Women”はCountry風味も感じられるGood Time Music。ここでもピアノやAcoustic GuitarとHarmonica、Chorusが実に英国の中の亜米利加。
“The Shepherd”はドッシリとしたリズムをバックに転がるピアノや気持ち良さそうに歌うVocalがイイ感じ。
“Strange Thing”はエレピが跳ねる小洒落たイントロから惹きこまれるMellowなナンバー。
イントロから哀感漂いまくりの“Bring Back The Love”。歌メロに入るとUp TempoでPopな展開になっていくのが面白い。
David Nicholson作の“I'm Alone”は都会的な雰囲気を感じさせるナンバーでもはや、Scotlandの田舎から出てきてマッタリ憧れの米国音楽を志向していたデビュー時の姿はない。コレはコレでありではあるが。
“Tired Of Loving You”はかつての彼らを思わせるイナタさも感じさせるBallad。Hugh Nicholsonらしい泣きも発揮された甘くなり過ぎない抒情が沁みる。
“Capture Your Heart”はHughの本領発揮のCatchyで魅惑のMelodyが炸裂したヒット・ナンバー。
アルバム最後をシメるのは典雅なBallad“I Understand”。
◎Capture Your Heart/Blue
(Hit-C Fiore)