Bim ShermanことJarret Lloyd VincentのVocalはやっぱり、いつ聴いても最高だ。"Reggae's Sweetest Voice"と称されたその歌声は、単なる甘く心地良いだけの歌声というだけではなく、深く心に響く声、ともいうべき独特の哀感も持ち。真摯に訴えかけてくる。その歌声には魅了されずにはいられない。Bim Shermanといえば、何といっても74年にDynamicsとしてリリースされた名曲“Love Forever”であろう。最初にこの曲を聴いたのはNew Age Steppersが81年にOn-U Soundからリリースしたデビュー・アルバム『The New Age Steppers』であった。その時の衝撃は今でも忘れられない。The SlitsのAri-UpとAdrian Sherwoodを中心としたDub UnitのNew Age Steppersは、PunkとReggae、そしてDub、Lovers Rockが自分にとって何よりRealityと生命感を持った音楽として、魅力的であった時代の宝物のような存在だ。さて、70年代にScorpioやRed Seaといった自ら設立したLabelから魅力的な7" SingleをリリースしていたSherman。この時代の“Golden Locks”や“Golden Stool”、上述の“Love Forever”といった曲も最高なのであるが、なんといってもShermanの大ファンであった若きProducer Adrian Sherwoodに頼み込まれて渡英してからのOn-U Soundでの活躍が強く印象に残っている。上述のNew Age SteppersやSingers & Players、そして82年にSly & RobbieやAswadに参加していたGeorge Oban、Dub SyndicateのCrucial TonyやStyle Scottらが集結してリリースされた自身のアルバム『Across The Red Sea』。でも本日ご紹介するのは、Roots RadicsとSoul Syndicateによる演奏が素晴らしいScorpioから70年代後半にリリースされたの一枚。Singer-SongwriterとしてのShermanの才能も光っている。
『Lovers Leap Showcase』はBim Shermanが78年にリリースしたアルバム。Channel OneとKing Tubby's Studio、Randy's Studioで録音されている。EngineerはPrince Jammy。ドラムスにCarlton "Santa" Davis、ベースにErrol "Flabba" Holt、George Fullwood、ギターにBingy Bunny、Earl "Chinna" Smithといった布陣。
アルバム1発目は“My Woman”。Dopeなイントロに続いて魂込めて歌い上げるBimのVocalが何とも染みるOpener。派手さこそないが無駄を廃したSimpleなバッキングゆえにBimの美声が際立って聴こえる。
ご機嫌なDub Versionとなる“Part 2”。チョイ短すぎる気がするけれど、このアルバムは、すべてこのShowcase Styleとなっていて、これがまた実にイイ感じ。
イントロの哀感漂うOrganから期待が高まる“Lovers Leap”。こういう曲でのShermanのVocalはたまりませんな。熱唱するわけでも、激しく決してShoutするでもなく、こういう淡々と詩情豊かに歌い上げるVocalは年を重ねた今の自分いとっても最高である。
Dub Versionの“Part 2”の気持ち良いこと。Dopeっすなあ。ぶっといベースが最高。
76年にScorpioからSingleでリリースした“My Bretheren”。高揚感に満ちたShermanの歌いっぷりもまた良し。
“Part 2”のDubも、これまた気持ち良すぎ。Vocalとサウンドのバランスも絶妙ですな。
イントロのShermanの気怠いScatから最高な“It Is Raining”。演奏も決して派手に前に出ることなく、ShermanのVocalを引き立てている。
“Part 2”の方も派手な遊びこそないが、それがまた快感指数が高く、味わい深い仕上がりとなっている。
最後を飾るのはユッタリマッタリの“Chancery Lane”。Dub Versionの“Part 2”もご機嫌である。
(Hit-C Fiore)