Down At Rachel's Place/Mike D'Abo | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Mike D'Aboはいかにも英国人らしいSinger-Songwriterである。D'Aboといえば、Manfred MannのLead Vocalistとしての方が良く知られているかもしれない。なにせ英国でNo.1 Hitとなった“Mighty Quinn”を歌っていたのだから。Surrey州Betchworth生まれのD'AboのキャリアはA Band of Angelsという5人組のPop Groupを結成しVocalを担当したことから始まる。しかし66年にはバンドを離れ、Paul Jonesの後任としてManfred Mannに加入するのである。Manfred Mannの66年のアルバム『As Is』から68年の『Mighty Garvey!』まで、69年に解散するまで在籍していた。D'AboはVocalistとしても魅力的であるが、上述のようにSongwriterとしての才能は特筆すべきで、Manfred Mann在籍時にも発揮され『As Is』の1曲目“Trouble And Tea”や“Box Office Draw”、“As Long As I Have Lovin'”、『Mighty Garvey!』の“Country Dancing”、“The Vicar's Daughter”、“Happy Families”といった楽曲で存在感を発揮していた。 また66年にLong John Baldryに“Cuckoo”、67年にChris Farloweに“Handbags and Gladrags”といった楽曲を提供し、後者はRod Stewart69年のアルバム『An Old Raincoat Won't Ever Let You Down』でCoverしている。この曲のみD'AboがArranengerとして参加してピアノを弾いている。また、D'AboはImmediate時代のFarloweやRodにも楽曲を提供しており、Rodの68年7", SingleLittle Miss Understood”を本作で自演している。さて、その本作であるが、これはもう素晴らしいMireille Wielandが描いたジャケットにすべてが表現されているような気がする。なんとAffinityのメンバーやTony CoxGeorgie Fame and the Blue FlamesやManfred Mann、Soft Machineに在籍していたLyn Dobsonが参加している演奏陣も最高である。PercussionのRay Cooperや鍵盤奏者のMike Moran、アコギで参加のJohn Kongosもイイ仕事をしている。

 

 『Down At Rachel's Place』はMike D'Abo72年にリリースしたアルバム。

アルバム1曲目は名曲中の名曲“Rachel's Place”。捻りのきいたChord進行とMelody構成、そして歌詞も英国の香りが濃厚に漂う。短いながらもD'Aboが弾くエレピ・ソロが素晴らしい。正にアルバム・ジャケットの世界そのものである。

John KongosがAcoustic Guitarを弾く“Belinda”はBalladTony Coxの手によるStringsもイイ感じ。

ピアノの弾き語りで始まる“Poor Man's Son”。サビにいくところと、Lyn DobsonのFluteが最高で、何回聴いてもグッときてしまう。Ray CooperのPercussionも効果的だ。

タメのきいたリズム隊が気持ち良い“You Are The Singer”。Mike D'AboのVocalはこういう曲でもしっかり存在感を発揮している。

Mike MoranHammondがイイ感じの“My Life (Is Starting From Today)”。

珠玉のBalladLittle Miss Understood”。ピアノHammondも絶妙で、Gentleに歌い上げるD'AboのVocalもイイ味を出している。ドラムスが入ってから盛り上がっていくところも良いですな。RodのVersionもD'AboがProduceとArrangementを担当している。個人的にはやっぱりD'Aboの歌い方もあって、本作の方が断然好みである。

これまたイントロのMusic Hall(Vaudeville)調のピアノから英国的な“Salvation Song”。DobsonSaxもイイ味を出している。

英国的な陰影がたまらない“Battlefield”。Jimmy Robertsonの弾くConcertinaが効果的だ。

アルバム最後をシメるのはイントロのエレピから泣かせる名曲“Tomorrow On My Mind”。D'AboのVocalも最高。Mike Lentinギター・ソロもご機嫌だ。

(Hit-C Fiore)