Linxは80年代前半に英国で活動していたFunk Band。いわゆるBrit Funkと呼ばれた連中の中でも、Level 42やFreeezeほどの人気はないかもしれないが、Central LineやHi Tensionと並んで当時それなりにChartで健闘していた方であろう。LinxはVocalのDavid GrantとBassistのPeter "Sketch" Martinが、2人が働いていたLondonのHi-Fi shopで出会って結成された。ギターのCanute Edwards、Central Lineの“(You Know) You Can Do It”をProduceした鍵盤奏者のBob Carter、CharlieやThe Planetsのアルバムに参加していたドラムスのAndy Duncanが加わり、5人組のGroupとなったLinxは自主制作で“You're Lying”をリリースする。この曲はLondonのDiscoで評判となり、彼らはChrysalisと契約することになる。Chrysalisはすぐさま同曲を正式リリースし、80年の10月にUK Singles Chartで15位を獲得することになった。この曲が米国のHot Soul Singles Chartに顔を出すと、彼らはBritfunkのMovementにのって一躍知名度を上げ、デビュー・アルバムとなる本作の制作にとりかかるのであった。CarterとSketch、GrantのProduceでGood Earth StudiosとMarquee Studiosで録音されたこのアルバムは、Trombone奏者のSpike EdneyやSax奏者のChris Hunter、Andy Hamiltonらの英国人管楽器奏者をゲストを迎えて本場米国のFunkとは一味違った正にBrit Funkならではの味わいを感じさせる。と、同時に80年代らしいサウンドも至るところで顔を出している。いわゆるコアなFunkマニアの方々にはその辺が評価の分かれるところとなるだろう。個人的には、コレはコレで中々楽しめる英国産Funkのアルバムなのである。本作がリリースされた81年という年はBritfunkが英国で花開いた記念すべき年であり、大好きなLevel 42やCentral Lineのデビュー・アルバムと共に思い入れのある一枚である。83年にバンドは解散するが、Grantはソロ活動、Sketchは23 Skidooに加入する。
『Intuition』はLinxが81年にChrysalisからリリースしたアルバム。
アルバム1発目は“Wonder What You're Doing Now”。哀感漂うイントロに違和感が漂いつつから軽快なFunkに展開するナンバー。
ベースのHarmonics奏法から始まる“I Won't Forget”も抒情的なAメロからノリの良いサビに展開するPopなナンバー。大サビも面白い。
タイトル曲“Intuition”は陽気に弾けるCaribbean Funkなナンバー。伸びやかなGrantのVocalが良い。
“There's Love”もベースのHarmonics奏法から始まるMysteriousなイントロが良い。英国的な抒情が感じられる曲でGrantのGentleな歌いっぷりやFalsetto Vocalも良し。
2ndシングルとなった“Rise And Shine”。激カッコイイSynthesizerのフレーズとSketchのぶっといベースが最高に盛り上がるFunk.。ベース・ソロもカッコイイが、その後の展開が素晴らしい。
“Throw Away The Key”はSketchのSlap Bassが印象的なPopなナンバー。
Sharpなギターのカッティングがモロ80年代な“Together We Can Shine”。Sketchのベースもウネりまくり。Echoをきかせたピアノ・ソロも80年代ど真ん中。
“Count On Me”はFalsettoもまじえたDavid Grantの甘いVocalを生かしたナンバー。短いSaxソロは、なんとMike WestbrookのところにいたChris Hunter。
EngineerのChris Porterの小粋なScatから始まるデビュー・シングルとなった“You're Lying”。低音でぶっとくウネりまくるSketchのベースが最高。
アルバム最後を飾るのは“Don't Get In My Way”。煌びやかなSyntheにHunterのSaxソロが炸裂するいかにもな80年代サウンドが微笑ましい。
◎You're Lying/Linx
(Hit-C Fiore)