All The Cats Join In/Buck Clayton | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 まあ、ジャケ買いであることは間違いないのであるが、Count Basieの黄金期を支えた男伊達のTrumpet奏者Buck ClaytonLeaderを仕切ったJam Sessionなんだから中身は保証付きなのである。年を重ねて、いつ頃ごろからかわからないけれど、30年代のJazzを聴くことが自分にとって大切な寛ぎのひとときになった。ひたすら進化し続け、最先端を行くEnsembleや斬新で新たな可能性を秘めたChod ProgressionやRhythmを追求する現代のJazzを聴くのも好きだけど、時にはRelaxした音楽にドップリ浸りたい時もあるのである。何より、30年代にKansas City Styleである9人編成のGroupを率いてNew York Cityにやって来たCount Basieの流れを汲んだ、このClaytonの豪華なメンツによるJam Sessionは、そんな自分にとって格別のものなのだ。50年代のBasieが最高なのは言うまでもないけれど、BasieのピアノにJo Jones、のドラムス、Walter Pageのベース、Freddy Greenのギターから成るAll-American Rhythm SectionをバックにLester YoungとClaytonがフロントで30年代Swing Jazz男伊達で鯔背な雰囲気を醸し出していた頃もご機嫌である。本作ではCount Basie OrchestraのWalter PageJo JonesFreddy Green、Britone Sax奏者Charlie Fowlkes、そしてJimmy Rushingが参加し、Tenor SaxにColeman HawkinsBuddy Tate、ピアノには大好きなSir Charles Thompsonというメンツにまず興奮。他にはギターにGreenの系譜を継ぐ名手Steve Jordan、TromboneにBennie GreenUrbie Green、 Henderson ChambersJ.C. HigginbothamTyree Glenn、TrumpetにはClaytonに加えてRuby BraffBilly ButterfieldJoe Newman、Tenor SaxにJulian Dash、Alto SaxにLem Davis、ピアノにKenny Kersey、ベースにMilt Hinton、ドラムスにBobby Donaldsonらが参加している。

 

 『All The Cats Join In』はBuck Clayton53年と、55年56年に録音したJam Sessionを収録したアルバム。

アルバム1発目はタイトル曲“All The Cats Join In”。Bobby Donaldsonのドラムスに続くBuck Clayton艶のあるTrumpetで始まり、キレのあるBig Bandが艶やかに登場。SwingyなSaxソロやTrumetソロの合間に登場するTyree GlennVibraphoneソロが粋ですなあ。J.C. HigginbothamTromboneソロもイイ味出しているし、Kenny Kersey玉を転がすようなピアノもキラリと光るいぶし銀の味。そして何よりもWalter PageBass Runningがご機嫌である。

Al Waslohnの典雅なピアノで始まる“Out Of Nowhere”。ゆったりまったりした懐の深いRhythmで、こういう時はColeman HawkinsTenorソロが実に沁みますなあBennie GreenイナタいTromboneAl Waslohnの流麗なピアノ・ソロもイイ感じ。Claytonに負けじとRuby BraffTrumpetソロも頑張ってますな。

Count Basie Orchestraでお馴染み“Don't You Miss Your Baby”はJimmy Rushing塩辛Vocalが味わえる。Steve Jordanの中域を生かしたカッティングが何気に隠し味となっている。HawkinsのTenorソロにも痺れますなあ。Kerseyのピアノ・ソロは短いながらもBasie譲りの独特の間を使った絶妙のタイム感が良し。

Sir Charles Thompsonのピアノで始まる“Lean Baby”はFreddy Greenのあのギター・カッティングが聴こえてくるだけで気分は上々。そしてCharlie FowlkesのBaritone Saxソロ、Julia DashのTenorソロ、Lem DavisのAltoソロも、個性が出てイイ感じ。そしてThompsonのピアノ・ソロも最高

アルバム最後をシメるのはAl Waslohnのピアノで始まる“Blue Lou”。これまたご機嫌なSwing Jazz小気味よいリズムにのってClaytonやHawkinsのソロが炸裂していく様は高揚感に満ち溢れている。

(Hit-C Fiore)