これは小さくて少々わかりずらいかもしれないがジャケットを見てピンときた。ジャケ買いしてバッチリ自分のツボにハマった一枚で、これでBilly Boy Arnoldのアルバムを買い集めることになったのである。なんたって77年にLondonで録音された『Checkin' It Out』では大好きなThe GroundhogsのTony McPhee師匠がギターを弾いていたりするのだ。Billy Boy ArnoldことWilliam Arnoldは生まれも育ちもChicagoのBlues Harp/Harmonica奏者。幼少時からHarmonicaを学び、たまたま近所に住んでいたSonny Boy Williamson I(John Lee Curtis "Sonny Boy" Williamson)に教えてもらうことになるが、師匠は間もなくこの世を去ってしまう。それでもBluesの道を進むArnoldはEllas McDanielというStreet Musicianと活動を開始する。この男こそBo Diddleyであり、54年後半にDiddleyはArnoldとドラムスのClifton James、ベースのRoosevelt Jacksonと共にバンドを結成する。このバンドであの“I'm a Man”と“Bo Diddley”をデモ録音している。その一方で既に"Billy Boy".というNicknameでSoloとしての活動も始めていたArnoldはVee-Jay Recordsと契約を結ぶことになる。そこでDiddleyのBeatを使った“I Wish You Would”を録音している。The YardbirdsやDavid Bowie、SweetもCoverしたこの曲はBluesで初めてエレキ・ベースが使われて録音された曲らしい。この曲がヒットし、これまたYardbirdがCoverした“I Ain’t Got You”なども当たってそれなりの売れっ子になったArnoldがPrestigeに録音したアルバムが本作である。ギターにMighty Joe Young、ピアノにLafayette Leake、ベースに後にThe Paul Butterfield Blues Bandに参加する弟のJerome Arnold、ドラムスにJunior Blackmanというメンツは申し分なし。Arnoldは作曲の才能もあり、実にカッコイイRiffのナンバーやCatchyなR&B感覚の曲もまじえてBluesのDeepな味わいこそないが、実に楽しめるChicago Bluesのアルバムとなった。
『More Blues On The South Side』はBilly Boy Arnoldが65年にリリースしたアルバム。
アルバム1発目はノリの良い“School Time”。ArnoldのHarpのRiffが激カッコイイ。Mighty Joe YoungのギターとLafayette Leakeのピアノの絡みも抜群。
Jimmy Reedの“Goin' By The River”はArnoldのチョイ気怠い歌い方が良い。転がるピアノもイイ感じ。
“You Don't Love Me No More”はお得意の軽快なR&B感覚のナンバー。こういう曲を入れるのは好き嫌いを分けるかもしれない。
“You're My Girl”はギターのMighty Joeの歌いまくるバッキングが絶妙。ArnoldのVocalもFalsettoを使いながら頑張っている。
“Oh Baby”はBlues好きなBritish Beat Bandが好んでCoverしそうなModな魅力のある生き生きとしたノリの良いナンバー。
勢いで突っ走る“Evaleena”もArnold特有のR&B感覚が生かされたナンバー。
これまたノリノリの“I Love Only You”はMighty Joeのギターとかけ合うHarpソロがご機嫌なナンバー。
ドッシリしたBeatにのってLafayette Leakeの転がりまくるピアノとMighty Joeの渋いギターが最高の“Two Drinks Of Wine”。
“I'll Forget About You”もR&BノリでHrapも冴えまくりのご機嫌なナンバー。
インスト・ナンバー“Billy Boy's Blues”はHarpソロは勿論、ギター・ソロも渋くキメて激カッコイイっす。
Mighty Joeのギターが歌いまくりLeakeのピアノも絶品の“You Better Cut That Out”はArnoldのHarpも渋くて良し。
最後をシメるのはB.B. Kingの“Get Out Of Here”。
(Hit-C Fiore)