Gas Food Lodging/Green On Red | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 ArizonaTucsonで結成されたGreen on Red80年代初頭Los Angelesで盛り上がったPaisley Undergroundのバンド中では少し異質であった。83年にリリースされた『Gravity Talks』あたりまでは、このMovementの特徴であるPsychedelicで倦怠感のあるVoocalや60年代Rockに傾倒した音楽性が強く感じられはするものの彼らは徐々にCountry Music色の強いRoots Music寄りの音楽性を強めていく。この辺は以前ご紹介したThe Long Rydersにも共通するPunkを通過した世代のFolk/Roots Musicといった趣きである。元々はVocalとギターのDan Stuartが70年代末に結成したThe Serfersというバンドが母体となっているが、Green on Redと名前を変えて、Dream SyndicateSteve Wynnの協力の元にChris CacavasのOrganやギターが60年代GarageでPsychedelicなサウンドを奏でる上述のアルバムをSlashからリリースしている。そして今や音楽家として確固たる地位を築いた才能豊かなギタリストChuck Prophetが加わった本作で、その独自の音楽性が輝きを増していくことになる。中古レコード屋さんで偶然手に入れた音盤との出会いが自分がこのバンドに深く興味を持っていくきかけとなった。『失われた絆』という邦題が付けられた本作は、日本では、なんとWaveレーベルから出されていたというのも興味深いものがある。ベースのJack "Jake" Waterson、ドラムスの Alex "Big Dog" MacNicol、鍵盤とHarmonica(Mouth Harp)のChris "Chez" Cacavas、ギターのChuck Prophet Chuck "Billy The Kid" Prophet IV、そしてVocalとギターのDan "Big Daddy" Stuartの5人がGreen on Redだというクレジットがされた本作こそ個人的に当時のPaisley Undergroundの中でも重要な位置を占め、Alternative Countryへと繋がる作品だと思っている。

 

 『Gas Food Lodging』はGreen on Redが85年にリリースしたアルバム。

アルバム1発目“That's What Dreams”はChuck Prophetのご機嫌なギターで幕を開ける。もう、このイントロだけで最高である。そこに加わるDan Stuartヘロヘロ気怠いVocalも良し。

Chris CacavasHarmonicaピアノがイイ味を出している“Black River”。

Hair Of The Dog”も歪んだギターピアノがカッコイイ。

疾走するThis I Know”はピアノに加えてオルガンがイイ味を出している。

これまた激渋なギターのRiffで始まる“Fading Away”。短いながらPsyche入ったギター・ソロが絶品。

Tempoを落としてEasy Way Out”。オルガン・ソロが渋いこのゆるい感じも好きだ。

Sixteen Ways”も引き攣ったようなギター・ソロがカッコイイがここでもオルガンが効いている

The Drifter”はヘロヘロに疲れ切ったMick JaggerみたいなVocalが面白い。

Psychedelicなギターで始まる“Sea Of Cortez”はヨレヨレVocalと野郎Chorusと気合の入ったギターがダサカッコイイ

なんと、ここで“We Shall Overcome”の登場だ。Gospel Songとして産まれCivil Rights MovementのAnthemとなりProrest Songとして浸透していくこの曲を、Danが例のよれよれ声で歌い上げるところが良い。

アルバム最後をシメるのは“Gas Food Lodginge”。アルバムの中では最も一般的なPaisley Undergroundのイメージに近いナンバー。疾走するリズムにのったDanの囁くようなVocalとChuckのギターが最高。

 

Hair Of The Dog/Green On Red

(Hit-C Fiore)