Citychild/Chris Youlden | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Chris Youlden は大好きなVocalistでありSongwriterである。ご存知Savoy BrownのVocalであったYouldenの『Nowhere Road』に続く2枚目のソロ・アルバムが本作である。British Blue-Eyed Soul Singerとして一級品の黒っぽい声と歌いっぷりに惚れ惚れしてしまうが、Songwritingの才能も相当なものだ。何よりも英国人としか言いようのないセンス、そのDandyな佇まい、このDagenham生まれのMusicianにハマると他のVocalistが物足りなくさえ思えてしまうのだ。Savoy Brown在籍時からその才能は目を見張るものがあっただろうがソロ活動を開始すると、ますます黒く洗練された音楽性は独自性を発揮していく。単なるWhite Blues BandのVocalistとしての枠にはどうしてもはまらない多彩な音楽性個性が一気に開花した感じではある。しかし、それが商業的な成功に結びつかなかったのは仕方がない。ギターにChris SpeddingやDanny Kirwan,、Ray Fewick、鍵盤にMike McNaught、ベースに Andy Sylvester、Roy Babbington、ドラムスにBruce Rowlandと涎が出そうな英国の個性あふれる名手たちを集めたソロ1作目の『Nowhere Road』も大好きではあるが、よりFunkyな色合いを濃くした本作はSongwriterとしてのYouldenの魅力が一層わかりやすくなった名盤である。女性Chorusを従えた英国産のSwamp路線もあるが、よりR&BFunk色を強め、都会的な洗練も感じさせる。前作から引き続き参加の鍵盤奏者Pete WingfieldとドラムスのBruce Rowlandに加えてベースにはTrafficのRosko Gee、ギターにDerek GriffithsBrian Auger's Oblivion ExpressJack Millsといった渋どころを起用。またZoot Money's Big Roll BandNick NewallのSaxにMike CottonのTrumpet、Kinksでお馴染みJohn BeechamのTrombone、GalliardのTrumpet奏者Dave CaswellといったHorn隊Anna Peacock、NucleusのJoy YatesSuzanne Lynchらの女性Chorusが彩りを添えている。

 

 『Citychild』はChris Youlden74年にリリースした2ndソロ・アルバム

アルバム1曲目“Conjure Wife”は軽快に街に繰り出すような溌剌とした感じにChris Youldenの黒っぽいVocalが都会的なイメージを与えてくれる。

女性ChorusHorn隊も従えてFunkyに迫る“Born And Raised In The City”。この人はSoul/R&Bな曲を書いても英国的な大サビが出てくるのが素晴らしい。個人的にはかなりツボである。

The Morning Light”もPete WingfieldエレピがFunkyに跳ねるご機嫌なナンバー。この曲も終盤にかけてYouldenのFakeが最高にカッコイイ。

Keep Your Lamp Lit”は軽快なR&B風だが、Youldenの黒々とした歌いっぷり激渋である。

BluesyなRiffで始まる“Little Cog In A Big Wheel”もエレピがFunkyでYouldenのFakeも激カッコイイ。

女性ChorusやピアノがBritish Swampな“Peace Of Mind”。タメのきいたリズム隊やギターもそれ風で、SlyGrahamみたいなRosko Geeのベースもイイ感じ。

Walking The Streets Again”はPete WingfieldのピアノやNick NewallTenor Saxもイイ味を出している。

哀感漂う“Spare Change”は女性Vocalとの掛け合い都会のヤサグレ

者感が最高。

BluesyなSlow BalladLove And Pain”はYouldenのBritish Blue-Eyed Soul Singerとしての深みと凄味が伝わってくる。こういうナンバーを聴いてしまうと、この英国人Vocalistの才能に溢れた歌詞や歌い方、特に細かな感情表現Fakeタイム感に感服せざるを得ない。

アルバム最後をシメるのはノリの良いLatinRock風It Ain't For Real”。

(Hit-C Fiore)