Berlinを拠点に70年代初期に活動したSeedogはAgitation FreeのDrummer Dietmar BurmeisterやHanuman~Lied Des Teufelsのベース奏者Jörg Hahnfel、Sax奏者のBernhard Schumacherらが中心となって結成されたPsychedelicな趣きも感じられるJam Band。他のメンツはギタリストKlaus Pankau、VocalistのLothar Muschinski、Sax奏者のMichael Sauberとなる6人組。ギターやSaxのImprovisationsを盛り込みながらVocalやChorusなどにWest Coast風味も感じられる。Fuzz GuitarとAcoustic Guitarを上手く使い分けるギターがイイ感じ。二人の管楽器奏者がSaxとFluteを演奏し、Jazzyに、時には抒情的に迫ってくるが派手さは感じられない。テクニックを前に押し出すのではなく、サウンド全体の雰囲気で聴かせようとするバンドだ。英語の歌詞を歌いながら時にPopな味わいも感じられるVocalは今一つ垢抜けなさが残るのが、良い意味でB級の味わいが楽しめる。バンド自体強烈な個性もないし、楽曲もそれなりにまとまってはいるが、こじんまりとした出来で、研ぎ澄まされた感性やセンスが感じられるわけでもない。アルバム1枚でバンドが消滅してしまったのもわかるような気がする。この時期のドイツのバンドは中々個性的なバンドが多かったから埋もれてしまったのだろう。少々Psychedelicで自由気ままに歌や演奏を繰り広げる様は、ドイツのバンドらしくはないが、忘れた頃に時々聴きたくなって引っ張り出したくなるアルバムだ。
『We Hope To See You』はSeedogが74年にリリースした唯一のアルバム。
アルバム1曲目はPercussionが鳴り響く中、アコギとMichael SauberのFluteが心地良く響く“Out Of The City”。何人かが英語で気ままに歌うVocalやTenor Saxソロも軽快にリズムに乗って盛り上がるOpenerに相応しいナンバー。
重たいギターのRiffで始まる“Seerock”。タメをきかせたリズム隊も中々カッコイイっす。VocalにTenor Saxが絡み、British Rockなノリで進む中間部の展開やギターが暴れるPsychedelicな後半などもイイ感じ。
“Scizoid Game”もFuzz GuitarがPsychedelicな香りを放ち、Fluteやアコギが抒情的な一面を垣間見せる。何となく煮え切らないところがB級の味わいである。
“Black Suits”はSEをバックにFluteやギターが幻想的な空間を作り上げていく。Psychedelicなギターと哀感漂うVocalが60年代の英国のBeat Band風な趣もあるが、現実逃避ではなく感性の赴くままに浮遊していくところが良い。後半、Tempo Upして2本のTenor Saxがむせび泣くところやギター・ソロからTempo Downして抒情的にFluteソロが炸裂するところは多少の古さは感じてしまうが聴きモノである。
最後は2つのPartから成る組曲で、Fuzz GuitarをバックにMellowなVocalが絶妙のContrastを生み出す“Espresso Brazil, Part I”。インスト・パートではFluteソロが激カッコイイ。
ギターのカッティングで始まり唸りを上げるギター・ソロがPsyche入った“Espresso Brazil, Part II ”。
(Hit-C Fiore)