It's A Mad, Mad, Mad, Mad World/Earnest Gold | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 いわゆるドタバタ映画は大好きであるが、Hollywood産のSlapstick Filmは好き嫌いがはっきりしている。やたら製作費をかけAll-Star Castの物量作戦で、映画はサッパリ面白くないというものもある。『おかしなおかしなおかしな世界』という邦題がつけられたStanley Kramer監督の『It's A Mad, Mad, Mad, Mad World』は子供の頃にテレビで観て、次から次に繰り出される単純明快なギャグが面白かったのを憶えている。主演のSpencer TracyやらSid CaesarにMickey Rooney、Milton Berleといった大物が出演する中で、大好きなTVドラマ『Columbo(刑事コロンボ)』でコロンボを演じていたPeter Falkがチョイ役で出ているのを確認できたのも嬉しかったし、クレジットされていないけれどJerry LewisがCameo出演しているのも面白かった。この映画の音楽を担当していたのがAustria生まれのEarnest Gold。子供心に、そのスケールの大きいOrchestraの響きと楽しそうな男女混声Chorusは、正にHollywoodの夢の世界そのものであった。63年に公開されたこの映画は、多分70年代にTVで放映されたのだと思う。他にも『おかしなおかしな大追跡( What's Up,Doc?)』『おかしなおかしな大泥棒(The Thief Who Came to Dinner)』といったおかしなおかしなと邦題を付けられた映画が何本もあったけれど一番好きだったのは、やっぱりJean-Paul BelmondoとJacqueline Bissetが出演している『おかしなおかしな大冒険(Le Magnifique)』である。

 『It's A Mad, Mad, Mad, Mad World』はEarnest Goldが音楽を手掛けたサントラ盤。
Overture”は華麗なOrchestrationと男女混声Chorusが高らかに歌い上げるWaltzナンバー。遊び心に満ち溢れ、いかにも楽しそうな感じが良い。
Main Title”はインストVersionで、GorgeousなOrchestraに酔いしれる。
優美でGentleな旋律をOrchestrationが華やかに彩る“Follow The Leader”。
いきなり勇ましい突撃シーンのような始まり方をする“Away We Go”は緩急のついた実に目まぐるしく展開する映画音楽らしいナンバー。Comicalな終わり方も良い。
Old TimeなJazzyな演奏がイイ感じの“Gullible Otto Meyer”。Nostalgicで、Elegant、でもどこかHumorousに仕上げるところがEarnest Goldらしい。
Themeの変奏曲となる“The Living End (Act I)”。
Go Go Girlエレキの演奏にのって踊り出すようなR&B調の“You Satisfy My Soul”。
これまたGirl Groupが歌うOldies調の“Thirty-One Flavors”。Cuteで元気いっぱいのVocalとChorusが良い。
タイトル通りLatinの香り漂う異国情緒にウットリしてしまう“Adios Santa Rosita”。
行進曲風の“The Big W”も楽しい。
最後を飾る“It's A Mad, Mad, Mad, Mad World”。演奏のみでも実にご機嫌である。
(Hit-C Fiore)