Wapassou/Wapassou | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 FranceStrasbourgで結成されたバンドWapassou。70年代に登場した、FranceらしいUniqueな音楽性を持っているバンドである。彼らは演奏技術が高いとは言えない、どちらかといえば稚拙ともいえる、つたない演奏なのに、微睡みながら空中をさ迷い歩くような独特の音世界を作り出している。Organをメインに弾く鍵盤奏者Freddy BruaViolinJacques Lichti、そしてVocalも担当する女性ギタリストKarin Nickerl、この3人がこのバンドの個性を形成している主要人物だ。 特に自主制作盤として世に出た本盤は、ClarinetFluteなどが加わって独特の浮遊感溢れるサウンドに欧州らしい抒情的で耽美な世界が繰り広げられる。彼らの彼らの特徴はドラムレスであることと、演奏技術が高くない故に独特の味を出しているKariの頼りないギター、そして彼女の気怠いフランス語のVoiceとVocalだ。本作では最後の2曲のみドラムスが加わっているが、それ以外はドラムレスでViolinや管楽器にOrganやギターがチョイPsychedelicな部分も垣間見せつつ唯一無比の世界を描き出し、雰囲気のあるKarinのVoiceが夢の中へ誘ってくれる。いかにも70年代のアングラなフランスの音

 『Wapassou』はWapassou74年にリリースした自主制作のデビュー・アルバム。
アルバム1曲目“Mélopée”。Karin Nickerlがギターでかき鳴らすMinor Chordのカッティングにのって、物悲しい旋律を紡ぎ出すGeneviève MoerlenFluteJacques LichtiViolin。この如何にもな雰囲気が彼ら独特の世界を作り出している。この世界にドップリ浸ってしまいそう。
Rien”はイントロのOrganに続くギタリストKarinの気怠いフランス語の呟きがたまらない。ViolinとともにBacquetのたどたどしい素人丸出しのVocalが、それゆえイイ味を出している。
Jean-Jacques BacquetのClarinetが加わりLichtiのViolin、KarinのVocalとともに夢幻の世界を描き出す“MusillusionWapassou)”。
KarinのVoiceが雰囲気たっぷりに幻想的な音空間を演出する“Châtiment”。この曲ではJean-Michel Bigerのドラムス、BacquetのClarinetやMoerlenのFluteが加わっている。
最後の曲“Trip”はPercussionでGongのBenoit Moerlenが参加し、ドラムスのJean-Michel Bigerも加わり、それまでとは違ったPrimitiveでJazz Rockな側面もみせている。SynthesizerがMysticalなイントロから、ドラムスやPercussionにのってFreddy BruaのOrgan躍動するところが面白い。Jean-Pierre Schallのベースも地味に頑張っている。Karinの消え入りそうな泣きのギターもイイ味を出している。最後にゲスト参加のChristian LaurentSitarを弾くところが謎であるが、これもまたこの音盤の魅力であろう。
(Hit-C Fiore)