Gilson Peranzzettaは鍵盤奏者としてのみならずComposerやArrangerとしてBrazilが世界に誇る至宝の一人である。Ivan Linsの革新的なサウンドを支えたModo Livreの中心的存在として活躍した。つまりLinsの絶頂期を作詞家Vitor Martinsと共に支えた一人。Lins、Martins、Peranzzettaの3人は黄金のTriangleとして素晴らしい作品を残した。Gismonti門下のFlute/Sax奏者Mauro SeniseやギタリストSebastião Tapajósとも素晴らしい作品をCollaborateしている。Peranzzettaは幼少時からClassicalなトレーニングを積み上げた上にJazzの影響を受けた数多くのピアニスト同様に端正で優美な演奏を得意とするが、何よりもBrazilの音楽家に特徴的である独特の和声感覚とリズム・センスを持っている点で特筆すべきだ。Elizeth CardosoやMaria Creuza、 Gonzaguinhaに Gal Costa、そしてEdu Loboらの鍵盤奏者/Arrangerとして活躍してきた実績は伊達ではない。本作はそんなPeranzzettaが60年代後半の、既にBossa Nova、Jazz Sambaから勢いを増すJovem Guarda、そしてTropicaliaの時代に突入していくBrazil音楽の変革期に残した作品である。
『Madrugada 1:30』はTema 3が69年にリリースした通算2枚目のアルバム。Peranzzettaが、そのキャリア初期に結成していたPiano Trioで、本作はデビュー・アルバムに引き続きベースに名手Luiz Robertoが参加、ドラムスはAtaydeが叩いている。Trioのみの演奏に、時にTrumpetやFluteなどの管楽器、またはOrchestraを伴いながら端正で心地良い音楽を生み出している。
アルバム1曲目の“Andança”はBeth Carvalhoの1stアルバムのタイトル曲でもある名曲で個人的にも大好きなナンバー。TrumpetやSaxの使い方にPeranzzettaのセンスが光る。
Luiz Bonfa作の愛らしい旋律を持った“Grão De Café”。Peranzzettaの小気味良いリズム・センスが生命感に満ちたこのナンバーを躍動させる。
Burt Bacharachの“Walk On By”。TrumetやFluteを効果的に使いながらしっとりと聴かせる。
Roberto Neves作のBluesyな味わいが絶品の“Ela Vem De Volta”。
Elis Reginaの名唱で知られる“Sabiá”はOrchestraを伴っての演奏。
心地良いPeranzzettaのBlock Choardsに酔いしれる“Zond-5”。弾むように左手のChordが刻まれる度にウキウキしてしまう。Peranzzetta自身のペンによる作品。
The Beatlesの“The Fool On The Hill”はJazz Waltz風に演奏したところがPeranzzetta。
イントロから惹きこまれる“Samarina”はセルメンでもおなじみ“Sá Marina”。幻想的な味わいも感じさせアルバムで一番のお気に入り。
Peranzzetta自作の気品あふれるBallad“Manhã Branca”。
一転してWildな味わいのハチロを取り入れたAfro Samba“Afro”。
João Donato作の“Amazonas”。ここでもSimpleかつ端正な仕上がりで原曲の素晴らしい旋律を浮かび上がらせている。
最後をシメるのはMichel Legrand作のStandard“Watch What Happens”。あくまでもElegantですなあ。
(Hit-C Fiore)