自分にとってはいささか綺麗すぎるかもしれないが、こういうジャケットは個人的に好みである。Michel KlotchkoffはフランスのJazz Pianistだが、この音盤を聴くまで、その存在をまったく知らなかった。80年代ぐらいまでは世界各国を演奏活動でまわっていたらしいが、その後は主に大学での教育の方に専念している人らしい。さて、ベースには名手Thomas Bramerie、ドラムスにはBernard Malabreと組んだMichel Klotchkoff Trio。ベースのBramerieは、90年代にTeddy Edwards Quartetのメンバーとしてアルバムを残したり大好きなドラマーAndré CeccarelliとAldo Romanoの2代巨頭に、これまた大好きなSingerであるDee Dee Bridgewater、ピアニストJean-Michel Pilcなどと共演している素晴らしいベーシストである。そして本作ではChris Woodsが参加しているのが嬉しい。そう、イタリアのピアニストMarco Di MarcoとのSextetで『Together In Paris』というご機嫌な音盤を残してくれたMemphis生まれのAlto Sax/Flute奏者である。渡仏していた70年代にWoodsはGeorges Arvanitas Trioと『Chris Meets Paris Meets Chris』なんてイカシた音盤を残している。それにしても本作でもWoodsは絶好調である。なお、数曲でPercussion奏者Jean-Pierre Locheseが参加している。
『Full Space』はMichel Klotchkoff TrioがAlto Sax/Flute
奏者のChris Woodsを迎えて76年にリリースしたアルバム。
アルバムのOpenerは疾走感のあるリズム隊にのってChris WoodsのAltoが炸裂するタイトル曲“Full Space”。Jean-Pierre Locheseの乾いたPercussionも勢いを与えている。
Chris WoodsのFluteが幻想的な空間を描き出す“François, Gone But Remembered”。静かに始まる前半から一転してJazz Waltzに展開し、再び冒頭の静謐な世界に戻る。
指パッチンのSwinger“When Lights Are Low”。
これまた気持ち良くSwingするTrioの演奏にのってChris WoodsのAltoが高らかに歌い上げる“Chris Cross”。
WoodsのFluteが冴えわたるRpmanticなJazz Waltz“Walz For Benjy”。
勢いのある“18, Rue De La Passerelle”ではDrive感のあるBramerieのベースが素晴らしい。
最後をシメるのは “The Dolphin”。Tamba TrioのピアニスLuiz Eça作で、自分はTamba 4の『We And The Sea』で初めて聴いた時鳥肌が立った名曲中の名曲。 Klotchkoffは、このCoverも単に演奏するのではなくSynthesizerを取り入れるなどして、この曲にマッチしたよりMellowな雰囲気を演出しているのが素晴らしい。
(Hit-C Fiore)