Frob/Frob | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 Paris生まれのギタリストPhilippe Caillatが参加していたドイツの4人組のバンドFrob。ベース奏者Klaus-Dieter Richterを中心にドラムスのPeter Meuffels、鍵盤奏者のPeter Schmits、そしてギターのCaillatというメンツによりRheda-Wiedenbrückで結成されたインスト・バンドゴリゴリとAggressiveに弾き倒すCaillatのギターとエレピHammondを軸にCool浮遊感に満ち、時にLyricalCanterburyの香りを漂わせた鍵盤が素晴らしい。リズム隊もうねりながら心地良いラインを弾くベースと変幻自在にリズムを叩き出しながらツボを突くドラミングが中々頑張っている。PsychedelicなFlavour南欧のバンドを思わせる開放感、ドイツっぽい荒々しさが同居しつつインストのみでも決して飽きさせることのない演奏を聴かせてくれる。それなりの演奏技術がありながら小手先で誤魔化さずに、かといって技に溺れず、楽曲とEnsembleを重視した魅力的なバンドだ。Frobはデビュー・アルバムとなる本作一枚を残し解散してしまったようだが、ギタリストのPhilippe CaillatはJasper van’t HofCharlie Marianoと共演したり、BiCollectionというバンドに在籍したりして、ソロ・アルバムも5枚ほどリリースしている。ドイツには珍しい硬派な正統派Jazz Rock Bandであるが、アルバム1枚というのは何とも惜しい連中である。時代的には、この路線を続けていくには結構厳しい時代だったのだろうが、もう少し後にはFusion化したりPop化してしまうバンドが出てくることを思えば、よくぞ、こんな音盤を一枚でも残してくれたことに感謝するべきであろう。

 『Frob』はFrob76年にリリースしたデビュー・アルバム。
アルバム1発目はに“Wassertropfen”。Peter Schmitsの浮遊感に満ちたエレピPhilippe Caillatのギターが攻撃的に絡むJazz Rock。リズム隊もチョイFunky入りつつキメもバッチリで頑張っている。
Spaces”もさらにFunkyに迫るリズム隊にのってギターとHammondがイイ感じでうねるJazzrock。静と動の対比も素晴らしくEnsembleもタイトにキマっている。
Calypso”はアルバム・タイトルとは裏腹にスリリングで時にCanterbury風味を漂わせたナンバー。特に6/8拍子で歌いまくるベースと浮遊するエレピ、ギター、エレピが一体となって攻めてくる様は素晴らしい。
Hammondとギターが唸るHeavyなイントロでゴリゴリ突き進む“Spheres”。ひたすら重いベースがドイツっぽくて良い。
リズム隊が躍動するスリリングなイントロで始まり、ロック魂に燃えたぎるギター・ソロに続くHammondソロがカッコイイ“Flash”。
続いても攻撃的なギターが押しまくる“Locomotive”。後半部で一時静的な展開になる。
イントロからリズム隊が派手に暴れまくるHektik”。
最後を飾るのはHypnoticなRiffが面白い“La Sieste”。Caillatのギターは最後まで攻めの姿勢を崩さないところが良い。CoolなエレピEmotionalなHammondの対比も良い。
(Hit-C Fiore)