Amor Em Hi Fi/Silvia Telles | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 美人薄命とはいうけれど、66年に交通事故で32歳の短い生涯を終えたSilvia Telles。正にこれからという時にこの世を去ってしまった彼女は、生きていればさらに素晴らしい作品を残してくれただろうと思うと本当に残念だ。それゆえに、彼女のCoolで憂いを含んだチョッとSentimentalな歌声を聴くたびに何とも胸がしめつけられるような気分になる。特に夏が終わり秋の訪れを感じる季節には彼女のVocalが実に沁みるのだ。勿論、歌声だけでなく、抜群のリズム感や英語フランス語もバッチリでJazzも歌いこなす実力派である。いわゆる囁き系、まったり系のBossa Novaではなく、彼女のVocalスタイルがJazzの影響下にある凛とした歌い方であるため、爽やかな中にパンチのきいたリズミカルな味わいが何ともいえない。少々Huskyな彼女の声も大人の女性の色気が感じられて、ゾクゾクさせられる。大好きな Chris Connorもそうだけど、こういうHuskyな女性Vocalが少し抑え気味に歌うところに自分は色気を感じてしまうのだ。Jooao Gilbertoと18歳の時につき合い、数々のMusicianをトリコにした彼女の魅力は決して外見だけではなかったと思われる。本盤では、そんな彼女の魅力を物語るようにJobimを筆頭とした音楽家が彼女に捧げた曲も含め、Samba CançãoとJazzのStandardを歌ってきた彼女がBossa Novaのナンバーを見事に歌っている。ルーツにSamba Cançãoを持ち、JazzとBossa Novaの親和性を体現した最初の女性歌手としてSilvia Tellesの残した作品は永遠に語り継がれるだろう。

 『Amor Em Hi Fi』はSilvia Telles60年に録音したアルバム。とにかくJobimのナンバーは勿論、Joao GilbertoCarlos LyraRoberto MenescalSergio Ricardoら豪華作曲陣が手がけた名曲しか収録されていないアルバム。JazzのMedleyもバッチリこなし、天性のリズム感の良さで小股の切れ上がったイイ女の魅力に溢れた音盤だ。
アルバムのオープニングはJobimの“Samba Torto”。Cuteで少々気が強そうな感じのVocalが魅力的。
続くJazzのMedley“All The Way / The Boy Next Door / They Can't Take That Away From Me”では一転してJazzyなVocalで迫る。
名曲“Corcovado”では彼女の魅力が最も発揮されているナンバー。なんとも色っぽい。
Roberto Menescal作の名曲“Tete”も何とも悩ましいVocalにノックアウトされてしまう。この曲は彼女に捧げられた曲だという。
またまた名曲でCarlos Lyra作の“Se E Tarde Me Perdoa”。男性Chorustonoかけ合いも見事に抜群のリズム感の技巧的なSilviaが堪能できる。
Oscar Castro Neves作の“Chora Tua Tristeza
Silvia Tellesといえば、この名曲“Dindi”。JobimとAloyso De OlliveiraがSilvia Tellesを讃えて作った曲。Verseの彼女のVocalとHarpは鳥肌モノだ。Dindiとは彼女の愛称だったらしい。
Joao Gilberto作の“Oba-La-La”。英語で歌われるこの曲はJoaoの58年にリリースされた“Desafinado”のB面だったナンバー。
Jobimの“Samba De Uma Nota So”はバックの演奏とSilviaのVocalが弾むようにRhythmicalで実に気持ち良い。
フランス語で歌われるJobim作“Gardez Moi Pour Toujours”も雰囲気たっぷり
Sergio Ricardo作の、これまた名曲中の名曲“Nao Gosto Mais De Mim”。邦題は“自分が嫌い”。しっとりと歌い上げるSilvia Tellesの大人の色気にゾクゾクする。
(Hit-C Fiiore)