唐突だがMinas GeraisはBelo Horizonte 出身の女子バレーボール選手
Sheilla Castroの大Fanである。(SheillaのPersonal website )
したがってブラジルが北京五輪女子バレーで金メダルを獲得して、
天にも昇る気持ちなのである。
Sheillaおめでとう!
大体、ブラジルの選手は身体中で喜怒哀楽を表して、勝っている時は
Samba状態なんだけど、一旦歯車が狂いだすと止まらなくなってしまう。
そんな時に常に沈着冷静でチームメイトを落ち着かせ、鼓舞しながら
自らの安定したプレイで窮地を救うSheilla。
しなやかな身体を躍動させて、あのキレの良い高速バックアタック、
ブロード攻撃、時間差とマルチな攻撃スタイルで魅了する。
Fofaoや代表復帰したPaula姐と共にチームを勝利に導いた。
報道やNetでも知られている通りFanにも優しく接し、インタビューでの対応など
本当に素晴らしい。
音楽でもスポーツでも真の一流プレイヤーは人間的にも器が違う、と感じさせ
られるけれど、彼女もやはりそうであった。
さてBossa Nova最高のSong WriterであるCarlos Lyraである。
美しいメロディーを紡ぎだす作曲能力とVeludoのような声、加えてギターも
上手いし二枚目でもあるわけである。
天は二物も三物も与えるから不公平だ。
そんな、男なら誰もが羨む才能溢れる色男もブラジルの軍事政権に反旗を
翻す、筋金入りの男気の持ち主であるからして、こうなれば、ただひたすら
尊敬である。
男が男に惚れてしまうダンディズムをかもし出すCarlos Lyra。
Lyraといえば最初に作品に接したのはPaul Winterとの作品で、これらは
完璧としかいいようがない出来。
そしてLyraの60~70年代のソロ・アルバム、さらに他人へ提供した作品を聴く
うちに、その至福のメロディーの虜になってしまった。
『Saravá!』はCarlos Lyraの70年のMexico録音である。
Carlos Lyraは一時Mexicoに滞在していたことがある。
多くの音楽家がブラジルから、Mexicoを始め外国に出て行かなければならな
かった時期。
64年のクーデターにより樹立されたブラジルの軍事政権は、夢物語のように
幸せであったブラジルの、優雅にBossa Novaを歌っているような状況を
吹き飛ばしてしまった。
荒んだ社会は音楽状況も閉塞化させる。
社会的にも不安が増大し、経済はますます混乱の度を深めていく。
芸術家への政治的圧力は強まりブラジル国内の有能な芸術家は絶望して
国を飛び出さざるを得ない状況だった。
そんな中、MexicoはBossa Novaを、ブラジルの音楽を、熱狂的に
受け入れた。
以前、記事を書いたLuiz EcaやTamba 4 、Osmar Milito、Luiz Carlos Vinhas
率いるBossa 3らもMexicoに滞在していたという。
『Saravá!』では、彼の地で伸びやかに美しいメロディーを歌うCarlos Lyraに
出会える。そのロマンティックな世界は熟成された極上の味わいだ。
やはり声の魅力、楽曲の魅力は格別であるが、演奏も素晴らしい。
しかし、甘美なだけで終わらないのがCarlos Lyraのスゴイところ。
ブラジルに古くから伝わる様々な大衆伝統音楽にまで遡った上で
Bossa Novaを理解し、それらを組み合わせながら、さらに新しい形として
Bossa Novaを進化させようとする姿勢。
Samba、Baiao、Maxixe、Marchinha、Valsa、Marcha-Ranchoなどなど。
自分が所有しているのは日本盤CDであるが、解説(国安真奈さんの翻訳も)が
素晴らしい。
参考資料 :『Saravá』日本盤CDのCarlos Lyra、Arnaldo Desouteiro
両氏による解説を参考と致しました。
Hit-C Fiore