My Shuffle/Quartet Live/Franco D'Andrea | BLACK CHERRY

BLACK CHERRY

JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

$BLACK CHERRY
 イタリアが生んだ偉大なるピアニストFranco D'Andrea。現在も活動を続けるイタリアJazz界の重鎮である。イタリアのJazz界は、御大Giorgio Gasliniに始まり、既にご紹介したAmedeo TommasiGuido Manusardiといった優れた才能を持ち、探究心旺盛なピアニストを何人も輩出している。特に日本でも人気の高いEnrico Pieranunziや、Stefano Bollaniの活躍で、現在でもイタリアのJazzピアニスト達は多くのJazzファンを魅了し続けてきている。そして、個人的に贔屓にしているDado Moroniといった欧州のみならず世界的に活躍する才能の宝庫であり、新しい才能も続々生まれてきている。それでも、やっぱりD'Andreaなのである。70歳を越えても鋭さを失わないD'AndreaはGiorgio Gasliniと並ぶ革新性をも持ち合わせたVersatileなピアニストなのである。イタリア人らしい歌心や叙情性も勿論持ち合わせながら、決してそれに溺れることなく創造性に満ちたプレイで楽しませてくれる。だから、ドップリ耽美派のヨーロピアン・ジャズに浸りたいという方には寸止め、というか意表を突かれるようなFreeな展開にイマイチ入り込めないかも知れない。流麗な指さばきでウットリさせたかと思うと、Abstractな旋律が飛び出してくる。でも、それがD'Andreaの魅力なのである。60年代のFranco Ambrosettiのソロ『A Jazz Portrait Of Franco Ambrosetti』でのModalなプレイがGiorgio Azzoliniの『What's Happening?』ではFreeを消化したスタイルに進化し、70年代の自己のTrioを率いた『Modern Art Trio』では見事な完成度を誇っている。そしてイタリアJazz界の才能が結集したPerigeoの結成だ。Jazzのみならず民族音楽やFunk、Rockを飲み込んだ素晴らしい作品を70年代に残してくれた。D'Andreaは80年代以降はより多作になり、さすがにかつての研ぎ澄まされた感性や緊張感は失われるかと思ったが、実にさまざまなテーマに挑んでいく姿勢は素晴らしい。真にProgressiveなピアニストである。さて、D'Andreaは、あまりにも多作過ぎて一体何を選んだら良いのか迷ってしまう。80年代に名手Gianni CazzolaらとQurtetを組んだD'Andreaは、イタリアのRed Recordsに素晴らしい作品を残している。その中から最近良く聴いている本盤を選んでみた。Perigeo時代の作品を2曲再演しているのが嬉しい。

 『My Shuffle』は85年Redに録音されたFranco D'Andrea Quartetのアルバム。France MontpellierでのRecoeded Live。イタリアのArt BlakeyことGianni Cazzolaがドラムス、ベースのAttilio Zanchiは、近年Paolo FresuのQuintetで知られる実力派。現在はベルディミラノ音楽院教授のTino TracannaがSopranoとTenorを吹く。 
アルバムのオープニング“Diagrammi”は、PianoとSaxのスリリングなUnisonで始まる。 D'AndreaらしいAbstractな展開になり、Arcoを弾くZanchiとFreakyな吹きっぷりで応戦するTracanna。Cazzolaの短いドラム・ソロを挟みThemeに戻る。
Nadir”はPerigeo73年リリースの2ndアルバム『Nadir Abbiamo Tutti un Blues da Piangere』収録曲の再演。スケールの大きいThemeと叙情的なパートも用意され、そのダイナミズムに圧倒される。
Aria Di Lovere”はLatin風味ながら、ただ美麗なだけで終わらないのがD'Andrea節。隙あらばFreeに、そして自由自在にフレーズを紡ぎだすD'Andreaに対応していくリズム隊もお見事。10分を越える大作だが、全くダレることなく最後まで高いテンションが保たれているのがスゴイ。
Waltz In Progress”は、正にタイトル通りのナンバー。
タイトル曲“My Shuffle”は愛らしいPianoのイントロから始まり、心地良いSwingyな演奏に酔いしれていると、またもや混沌の世界へ。Cazzolaの変幻自在のドラミングもお見事。
イントロのピアノからワクワクさせられる“Antelao”。CazzolaのRimshotが心地良い。この曲もスリリングな曲展開。D'AndreaもAggressiveに弾きまくりで、アルバムで一番好きな曲。
最後をシメるのはPerigeo74年リリースの3rdアルバム『Genealogia』に収録された、これまた名曲“Monti Pallidi”。浮遊感に満ちたナンバーで本当に心地良い演奏。TracannaのSaxも幻想的だ。ただし、この曲でのZanchiのソロはArcoも弾き頑張っているが若干ピッチが甘いのが残念。

◎Franco D'AndreaのWebite→Franco D'Andrea

◎まだまだ健在、貫禄のD'Andrea
Franco D'Andrea Quartet  At Jazz in Eden

(Hit-C Fiore)