Say No More/Les Dudek | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 蒸し暑い天気が続いているので爽快なヤツを一発。Florida育ちのギタリストLes Dudek。この人の豪快なSlideは、いつ聴いても気持ち良い。気取ったつもりでも、申し訳ないけれど、ちっとも垢抜けないところも、また良い。本人もわかっているんだろう。どことなく憎めないキャラなんですな。Duane Allmanに似た髭に長髪のLes Paul弾きだ。彼の名を一躍有名にしたのはThe Allman Brothers Bandの『Brothers and Sisters』への参加だ。2曲だけだが“Ramblin' Man”でDickey Bettsとツイン・リードを、“Jessica”ではアコギを弾いた男。そしてBoz Scaggsのバック・バンドにも抜擢された。この辺にDudekのソロ・アルバムに見られる二面性をみてとれる。意外にもフレージング自体はDuaneとは違い、Bluesyというより白人らしい突っ込み気味のタイム感で、泥臭いノリよりも、タメを作らずに攻め込んでいくタイプのようだ。弱冠C&Wなノリも感じたりする。ABBから連想するSouthern Rockとは違ったDudekのソロ・アルバムは、正直、最初はイマイチ受け入れがたかったのだが、これはこれでアリかもしれないという気がする。

 『Say No More』はLes Dudekの2枚目のソロ・アルバム。77年のリリース。全9曲、自身のオリジナルで固めている。デビュー・アルバムはBozのProduceだったが、本作のProduceはBruce Botnick。本盤ではドラムにJeff Porcaro、鍵盤にDavid Paichという西海岸人脈が参加しているのは前作と同じ。この辺がSouthern Rockなノリを期待すると外されてしまうところ。ベースも前作から引き続きSteve Miller BandやDave MasonとやってるGerald Johnson
アルバムのオープニングはChampagne栓を勢いよく空けて飲み干す音から始まる“Jailabamboozle”。お得意のSlideや女性Chorusが効果的に使われたFunkyなナンバー。この人はFunkなノリでも前に突っ込んでいくようなシロいソロなのが面白い。
続いてはイナタいリフがお気に入りの“Lady You're Nasty”。粘っこいリズムがチョイとMetersっぽいノリのナンバー。Slideもウネりまくり。
爽快なインスト・ナンバー“One to Beam Up”。Sea Level!というよりリズムのせいもあり、南部からいきなり西海岸みたいな感じ。微妙ではある。
アコピから静かに始まり壮大に盛り上がる“Avatar”。
Chuck RaineyとJeff Porcaroのリズム隊によるPopなShuffle“Old Judge Jones”。
渋くBottleneckをキメるSwamp BluesBaby Sweet Baby”。泥臭いChorusと合いの手も実に気分なアコースティックBlues。
続いてのナンバーも女性Chorusが入って派手に盛り上げる“What's It Gonna Be”。
なんとTony Williamsをドラムスに迎えてのインスト“Zorro Rides Again”。ベースはThe CrusadersのRobert "Pops" Popwell David Sanciosがオルガン。Dudek先生弾きまくりっす。Sanciosのオルガンがカッコイイっす。せっかくのPorcaro先生とのツイン・ドラムスではあるが、この時代の、力で押すWilliams先生の大味なドラミングは微妙ではある。
最後はアコギの美しい弾き語り“I Remember”で男泣き。この曲はホント沁みますわ。
(Hit-C Fiore)