Off Centre/The John Cameron Quartet | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 このレア盤がVocalionからCD化リイシューされた時は興奮したのを覚えている。Donovanの音楽Directorで有名なピアニストJohn Cameron。英国音楽好きにはCilla Blackの“If I Thought You'd Ever Change Your Mind”の作曲者として、あるいはAlexis Korner率いるC.C.S.Collective Consciousness Society)やHot Chocolateといったグループで彼の名を目にした人もいるかもしれない。映画やTV音楽からPopsのArrangerComposer、さらには歌伴まで手がけたCameronがDeramに残した1枚のアルバム。Versatileな才能を持ったCameronではあるが、その本質はJazzであることがわかる音盤だ。同じ年にCameronは、Ken Loachの映画『Kes』の音楽を担当したり、映画『The Party』にも出演したCalifornia出身の女優Kathe Greenのアルバム『Run The Length Of Your Wildness』で音楽監督をしたりしているが、いずれの作品も英国の香りを強く漂わせているのも興味深い。60年代のDonovanのアルバムでも存在感をみせていたマルチ管楽器奏者Harold Mcnairや、ドラマーTony Carrという本盤でもCameronとつるんでるMusicianも、Jazzにバックグラウンドがありながら、ジャンルを越えたフィールドで活躍した。60年代末の混沌としたイギリスの音楽シーンでは、こうしたMusicianの活躍が、革新的で芳醇な味わいを持つ音楽を作り出していったんだと思う。本作を単なるJazzアルバムとは違う英国的な多彩な魅力に溢れた作品にしたのは、そういった背景が考えられる。

 『Off Centre』はThe John Cameron QuartetがDeramで69年に録音したアルバム。Cameronのピアノを中心に、上述のHarold Mcnairに Tony Carr、そしてベースにはAlexis Korner's Blues Incorporated出身でPentangleDanny ThompsonというQuartet編成。Tompsonも、またジャンル越境型のVersatileなMusicianである。Cameronの多彩な才能が発揮されたCompositionも興味深いが、それにしても得意のFluteのみならずAltoTenorと大活躍するHarold Mcnairが素晴らしい。McnairといえばFluteだが、本盤でのTenorには惚れ惚れする。そういえば、以前、紹介したMcnairのアルバムThe FenceにThompsonもCarrも参加している。CameronがBig BandとStringsのArrangementを手がけたMcnairの同じく70年作『Flute And Nut』にはDanny Thompsonも参加している。
アルバムの一発目のタイトル曲“Off Centre”は勢いのあるHipなナンバー。
英国的詩情に溢れるナンバー“Go Away,Come Back Another Day”はMcnairのFluteが大活躍。
Danny Thompsonとの共作の“Dafina Querida”はThompsonのベースとMcnairのFluteが醸し出す霧のLondonを思わせる雰囲気が良い。
3拍子と4拍子がスリリングに交錯する“Omah Cheyenne”はMcnairのHard-BoiledなTenorが絶品。
現代音楽風の“Wenceslas Square”幻想的なFluteがカッコイイ。
HipでありながらElegantなCameronのピアノが光る“Splat”。
最後は激カッコイイJazz Funk“Troublemaker”。Tenorとピアノのリフが悶絶モノ、FunkyなピアノとFluteソロも文句なし。

◎今や英国音楽界の重鎮となったCameron先生のOfficial Website
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John Cameron official website
(Hit-C Fiore)