雨の日に偶然/キャンディーズ
ミキちゃんのどこかEnnuiなVocalが素晴らしい、ムーンライダーズの岡田徹さん作曲の珠玉のナンバー“雨の日に偶然”。
以前、紹介した“さよならバイバイ”や“MY LOVE”同様、76年の夏にリリースされたアルバム『夏が来た!』に収録された名曲。
キャンディースはタイプの異なる3人のVocalが、それぞれの個性を生かしていて魅力的。フェロモンたっぷりのランちゃん、健康的で高音が素直にのびていくスーちゃんに、ちょっとHuskyで、どこか影のあるところが魅力的なミキちゃん。メインのVocalをまかせるんだったら、歌謡曲の王道Vocalとしては、ランちゃんやスーちゃんがピッタリ。だけど、小粋で大人っぽいPopsやBossaを歌わせたら、ミキちゃんのVocalがバッチリ。おそらく3人の中でも一番、難易度の高いナンバーを歌いこなせるミキちゃんは、Chorusでも、わりと難しいラインを担当していたと思う。憂いのある声と、低音域で独特の切なさが表現できるミキちゃん、その辺を上手く生かした岡田さんのSongwritingにも感服。勿論キャンディーズは、その3人の異なる声質が溶け込んだHarmony、Chorusワークにしても、単なる歌謡曲の枠を軽く超えているわけで、この曲も日本のガールズ・ポップスとして一級品だと思う。
夏が来た!/キャンディーズ
一部の曲にムーンライダーズが参加したアルバム『夏が来た!』は、正に夏向けのナンバーが揃った、良い曲揃いの大好きなアルバムなので、そのうち取り上げてみたい。3人が、お互いを知った上でそれぞれの長所を生かして、引き立て合うガールズ・コーラス・トリオとしての魅力と、優れた楽曲とアレンジ、歌謡曲の枠を超えながらも的を得た演奏が楽しめるアルバム。Philly DiscoやBossaやSambaやReggaeのFlavorを取り入れて、アルバム全体にストーリー性のある、アイドルの歌モノを越えたGirls Pops集に仕上げた、制作陣の志の高さが伝わってくる。
(Hit-C Fiore)