O Som/Meirelles e Os Copa 5 | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC


 こういうシンプルだけど本人が真摯に取り組んでいる音楽が今にも伝わってきそうなジャケットは大好きである。Blue Noteのレコードを参考にしているかもしれないが、ここには主人公の音楽家が奏でる純度の高い音楽が聴こえてきそうなアート・ワークの素晴らしさがある。Rio de Janeiro生まれのSax奏者J.T. Meirellesは、この深い青色のジャケットのように爽快で軽やかでありながら深みのあるSamba-Jazzを聴かせてくれる。8歳の時から音楽を学び、渡米してBerklee Schoolに入学し本場のJazzの洗礼を受けたMeirellesは、若き日にあの鬼才João Donatoのグループに加入していた。63年にピアニストLuiz Carlos Vinhas、ベーシストManuel Gusmão、ドラムスDom Um RomãoにTrumpet奏者Pedro PauloMeirelles e Os Copa 5を結成するとBossa Novaの聖地Beco das Garrafasなどで、その名を轟かせるようになる。MeirellesがJorge Benの“Mas Que Nada”をArrangeしたのもこの年である。そして、その翌年に録音されたのがSamba-Jazzの傑作と言われている本盤である。さらに勢いに乗ったMeirellesはギターのWaltel Branco、Roberto Menescal、ドラムスのEdison Machadoに、Eumir Deodatoの鍵盤と Manoel Gusmãoのベースというメンツで2ndアルバムを翌65年にリリース。こちらも最高である。

 『O Som』はMeirelles e Os Copa 5がPhilipsから64年にリリースした1stアルバム。全6曲をMeirellesのオリジナルで固めたところが自信の表れであり、これが素晴らしい。
アルバムのOpenerは文句なしに激カッコイイ“Quintessência”。躍動するリズム隊に思わず下半身が動き出してしまう。
Coolで、そして南米らしい乾いた空気が日々仕事で疲れ切った心と身体をリフレッシュさせてくれるような“Solitude”。Melancholyな味わいの名曲で、Meirellesは勿論、変幻自在に変化するRhythmにのってEnsembleを組み立てていくメンバーたちからは高い精神性知性を感じとることができる。
ElegantSwingする“Blue Bottle's”。Jazzの影響を強く受けながらも南米らしい心地良い軽やかさが良い。
Nordeste”。Dom Um RomãoとManuel Gusmãoによって生み出される野生動物のような生命感に満ちたGrooveとMeirelles、Pauloの2管による本場Jazzを知り抜いた上で独特の味わいを醸し出すToneを堪能したい。
Modalな男前チューン“Contemplação”はPedro PauloのMuteされたTrumpetの一音一音が沁みまくるナンバー。
最後をシメるのはLuiz Carlos Vinhasの華麗な指さばきにウットリしてしまう“Tania”。Evans入ってるかのごとく優美である。
(Hit-C Fiore)