Hotmosphere/Dom Um Romao | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 単純な人間であるので、この確定申告の季節というのは、本当に気が重くなる。と、毎年嘆いているような。それでも、なんだかんだと文句を言いながらも、やるべきことをキッチリやってしまえば実にスッキリするのである。これも毎年言ってるような気もするが。さて、本日の音盤は、春の風に誘われて、身も心も軽やかになるようなお気に入りの一枚。BrazilのドラマーでPercussion奏者のDom Um Romaoのリーダー作『Hotmosphere』。Don Um RomaoはSergio Mendes & Brasil '66Weather Reportといったグループにも参加していたことでも知られる。それこそBossa Nova全盛の時期から随分とお呼びがかかって活躍を続けてきた。彼もまたBeco das Garrafasで腕を磨いた1人である。セルメンのメンバーの時に早くもアメリカに渡って、Airto Moreiraの後任としてWeather Reportに参加するなど活動の場はアメリカ中心だった。AstrudやTom Jobimのアメリカでの作品だけではなくStan GetzTony BennettといったJazz界の方々とも共演してきた。セルメンの米国紹介盤ともなったCannonball Adderleyの名作『Cannonball's Bossa』でドラムを叩いていたりするのだ。惜しくも5年前に天国に召されてしまったが、70歳を越えても、ほぼ現役で活動を続けてきたのはスゴイ。AirtoやPaulinho da Costaもそうだけど、米国進出を足がかりにして、さまざまな国のMusicianと共演してBrazilの伝統的なリズムを世界各国に伝えた役割は大きい。Joao DonatoやDom SalvadorにSivucaが参加したMuseからの73年録音のリーダー作『Dom Um Romao』と、同日に録音されたという『Spirit of the Times』は、まるで両極端のような光と影のような二面性をみせていたが、本盤では歌モノを中心に軽やかささえ感じさせる作品。しかし、繰り出される生命感に満ちた、そのリズムの中にBrazil人らしいAfro BrasilなSpiritsを感じる。


  『Hotmosphere』はDom Um Romao76年のリーダー・アルバム。Pabloからリリースされたので一瞬Jazzっぽいかと思ったりするけれど、Brasilの歌心をを忘れていない作品となった。Produceは同胞のCelia Vaz。なんといってもこれまで同様に大好きなSivucaがギターとVocalで参加して快演しているのだ。Beco das Garrafasで演奏していた頃からの仲間であるDom Salvadorも一緒である。

アルバムの1曲目はBrazil人らしいリズム感覚から生み出される躍動感溢れるBeatにのって男女Chorusが軽やかに歌い出すナンバー“Escravos de jo'”。このMilton Nascimentoの名曲のCoverが実に素晴らしい。Trumpetも実に爽快で、部屋の中で聴いていたら、本当に心地良くて思わず外に飛び出したくなる。

続く“Mistura Fina”も心地よさ満点のお気に入りのナンバー。

Caravan”ではHorn隊が一体となって抜群のノリで腰を動かす。この手のAfro Cubanなリズムを叩かせたら、この人は絶品ですな。SivucaのScatも素晴らしい。

Tumbalele”もSambaのリズムにのって、心地良いChorusに包まれて気分はRioか。

アルバム最後を飾るJobimの名曲“Chovendo Na Roseira薔薇にふる雨)”は爽やかな男女Chorusに、ScatやFluteが自由に舞い、高揚感に満ち溢れている。


Escravas de jo'/Dom Um Romao

(Hit-C Fiore)