やっぱり美しいものは美しい、好きなモノは好きだと言える事は大事である。自分でも何を言いたいのかよくわからないけど、ま、このジャケットを見た瞬間に何も考えずジャケ買いした自分をほめてあげたいと思う。パツ金の麗しい白人女性のお顔でジャケ買いしてるようじゃ、まだケツが青いってもんだぜ、坊や。早く梅雨明けして欲しいと願って本日は、この音盤の登場。当然、内容もお気に入りなのはいうまでもない。レコード会社があるマーケットを意識して制作された作品であろうとなかろうと、演奏している本人達が、そんな事はお構いなしなのが素晴らしい。偽らざる真実として50年代当時、Jazzが最も輝いていた時代に、あからさまなアルバム・タイトルなんか関係ねえとばかりにMusicianが痛快な演奏を披露しているところが大好きだ。Cannonball Adderleyといえば、まずMilesが思い浮かぶ。また、後のどFunkyな路線なども人気を博したAlto Sax奏者だが、個人的には爆発的な人気を得る前のこの作品も気に入っている。弟Natと組んだQuintet。リズム隊はベースにSam JonesとドラムスのJimmy Cobb、そしてピアノがJunior Manceといったメンツが良いのだ。後の白熱したノリノリのFunky Jazz前夜。NYに颯爽と登場して「Birdの再来」と評判を呼び、初リーダー作をSavyから発表した後に弟Natとレギュラー・グループを結成したCannonballの意気込みが伝わってくる。Milesとの『Somethin' Else』という歴史的名作を録音する前のCannonballと、その仲間達の、まだ試行錯誤状態ではあったとはいえ、直向なまでのHard Bop一直線の演奏が気持ちよい。特に大好きなSam Jonesの黒いWalking Bassが心地良い。ピアノのJunior Manceも好きなピアニストなのだが、ここでは心なしか黒さを控えめにしているようなところがあるかも。とはいえ、主役のCannonballは絶好調。欲を言えば、全曲とも、もうチョッと長尺で全員が熱く盛り上がるようなところも聴いてみたかったところであるが、それは欲張りというものであろう。
『Sophisticated Swing』はCannonball Adderleyの57年の作品。
“Another Kind Of Soul”は弟Natのオリジナルでオープナーに相応しい曲。青空の下をCabrioletに乗って爽快に飛ばしていくようなジャケットの世界そのもののナンバー。
“Miss Jackie's Delight”は、もうイントロからして気持ちよいツボを刺激しまくりのSam JonesのWalking。真っ黒いドライブ感が最高。Bassistが終始、曲を引っ張っていくようなCoolな中にも強靭な推進力が感じられる曲で、ここでのCannonballのプレイも間を生かした黒いノリでシビレる。ジワジワと、うねりを生みだしていくSam Jones、そしてそれにのってソロを応酬していくAdderley兄弟に脱帽。
Cannonballの腰にクルるソロが圧倒的なスタンダード・ナンバー“Spring Is Here”。この手のBallad曲でのCannonballのAltoの音色は本当にSexy。そしてフレーズも歌いまくり。
A面最後はタイトル通り天才TrumpetterのClifford Brownに捧げられた“Tribute To Brownie”。かといって、シンミリせずに哀愁を湛えながらもFunkyに演奏するのが、このメンツらしいところ。
B面1発目は“Spectacular”も爽快にぶっ飛ばすナンバーでアルバムで一番お気に入り。Hard Bop直球一本勝負の心地良さは、やっぱりリズム隊がガッツリとボトムを支えているから。CannonballもノリノリでJimmy Cobbのドラミングもキレキレ、全員が一体となってHard Bop街道を爆走していく。
続く“Jeanie”もリズム隊が最高。アッパーなだけじゃなくて考え抜かれたコンビネーションの妙は流石の一言。Sam Jonesのアタックの強いベース・ソロが実に気持ちよい。もっと長い演奏を聴きたい、そして、このメンツでのLive音源も聴きたくなってくる。
Junior Manceの黒いピアノ・ソロを満喫できる“Edie Mclin”も大人のHard Bopの味わい。それにしても、このリズム隊にのって演奏したAdderley兄弟は、さぞかし気持ちよかったろうね。
(Hit-C Fiore)