Derringer Live/Derringer | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

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 B.C. Richのギターにずっと憧れていた。貧乏学生の頃は当然、最初は価格重視というか、安い楽器しか買えなかったのだが。音楽サークルの先輩や友達から安く譲ってもらうというのも手で先輩から2万でドラムセットを買ったりしていた。そのうちバイトなどで小金が入ると色気が出て、ライブなんかで目立つような人とは違う楽器を買ってみるかなどと思ったものだ。まずは、やっと立ち上げた自分のバンドで「ライブでフロントに立った時にビシッとキマるのは」と考えたあげく目に入ったのがB.C. Richのギター。中でもRick DerringerBichMockingbirdというモデルを弾いている写真を見て一目惚れ(AerosmithJoe Perryも弾いていた)。しかし、価格を見たら手が届くわけないのだった。そんなある日、中古楽器店でその国産コピーモデルを発見し、鬼のようにバイトに明け暮れる。ところが、買いに行ったら売約済み。結局泣く泣く友達からギターを借りてライブに出たのであった(自分で買えよ、ギターくらい)。

 さて、Rick Derringerといえば大好きなEdgar Winter Groupは勿論、Steely DanToddRundgrenのアルバムにも顔を出していている才能豊かなギタリスト、そしてComposer、Producerでもある。が、如何せん何でもできちゃう有能なMusicianに多い器用貧乏的なとらえられ方もされているのが残念である。自身のグループDerringerでも、ソロ・アルバムでも、やりたい事が沢山ありすぎて、少々間口を広げ気味なのかもしれない。個人的には幕の内弁当的な、そんな作品も好きなのだが。ToddのようにConceptualな明確な意図がみえにくい。しかしこのアルバム 『Derringer Live』は、Rick Derringerが小柄な身体でギターを弾き倒すジャケットのように分かりやすい。そして聴いていて爽快になるアルバムだ。


  『Derringer Live』はDerringerのライブ・アルバムで77年にリリースされた。Derringer名義ではあるけれどソロの曲も演奏している。ソロ・アルバムとは違ってDerringerでは野郎4人組の男くさいロッケンなノリでガンガンぶちかまそうという意図が、このライブ盤からは伝わってくる。こういう直球一本勝負の方が、Rickのロックン・ローラー的な良さが出る。本領発揮の気合の一枚。でもやっぱりPopなところもあるよねってところがRickらしくて微笑ましい。

オープニングの“Let Me In”はアメリカンなカラっとしたPopなロック・ナンバー。しかしスタジオ版より勢いが増している。

ソロ・アルバムからのイケイケのナンバー“Teenage Love Affair”も爽快なリフで始まり、ぶっ飛ばしまくり。

勢いのあるBluesyなリフで攻める“Beyond the Universe”や幾分Funkyな“Sitting By the Pool ”あたりもRickのリフ作りの上手さが光る。

タメのきいた大きいノリの“Still Alive and Well”。歌詞も含めて典型的なPositeiveでアメリカンなナンバー。Rickも弾きまくり大会でKeep On Rockin'な盛り上がりで、いよいよクライマックスへ。

ラストはRick Derringerといえば、この曲“Rock And Roll, Hoochie Koo”。名曲でしょう。このノリノリの演奏が気持ち良くて勢いをつけたい時に何回も繰り返して聴きたくなるナンバー。

○大好きなDan Hartmanの勇姿も→Rock And Roll, Hoochie Koo/Edgar Winter Band with Rick Derringer

(Hit-C Fiore)