Morning Song/Don Menza | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

  やれ確定申告だ、決算だとバタバタした3月が終わって、なんだかんだして

いる間に4月も終わろうとしている。

そして、やっと一息ついて、街をのんびりと歩いてみると馴染みの店が消えて

いつの間にか新しい店ができていたりする。

複雑な気持ちではあるが新しい出会いと旅立ちの季節でもある、この時期に

男気溢れるDon MenzaTenorなんか聴いてみたくなる。

その名も『First Flight』というアルバムもいいけれど、今の気分でいくならば、

男一匹、堂々とヨーロッパに乗り込んで豪放にブロウしまくった初リーダー作

Morning Song』なんてどうであろうか。

Don MenzaといえばMaynard FergusonStan KentonBuddy Rich

名門ビッグバンド渡り鳥の豪快なTenor吹き。

元々Tenorの音が大好きな自分にとってRollinsのように自由奔放に抜群の

音色でブロウするMenzaを聴いているとアドレナリンが上昇して元気が湧い

てくるのである。

  『Morning Song』は65に録音されたDon Menzaの初リーダー作。

Sabaレーベルの原盤はメチャクチャ音がいいのだが、当然自分は手が出

ないのでCDでゲット。

Menzaの艶のあるエネルギッシュなTenorを中心とした、Boppishなフロント

4がモーダルな曲も優雅に歌い上げていく様は気持ちよい。

加えてリズム・セクションの若きヨーロッパ組の適度に先進的な感覚が、演奏

に新鮮さを加えていてMenzaのアレンジも冴えわたっている。

特に大好きなPierre Favreのキレのよい、躍動感に満ちあふれたドラムが

素晴らしい。

以前Joe Haiderの『Katzenvilla』の時にも書いたがFavreのドラムは繊細で

いかにもヨーロッパ人らしいシャープな感性でフレージングを組み立てる。

フリーに転じる前の若きFavreモーダルなPianoを弾くFritz Pauer、そして

VersatileベーシストGunter Lenzはいずれも後に活躍するが、この時期に

フレッシュな感性で、アメリカ人のMenzaをバック・アップしているのは面白い。

結果として豪快さと繊細さを併せ持つヨーロピアン・ジャズを聴かせてくれる。

ウェストコースト出身のMenzaはアレンジャーとしての才能も卓越しているが

このリーダー・アルバムでは6曲中5曲がMenzaの自作曲で、コンポーザー

としても優れたMenzaの実力が発揮されている。

Cinderellas Waltz”はオープニングを飾るに相応しいドライブ感のある美しい

ジャズ・ワルツLouis Bellson Big Bandでも有名なMenzaの手による名曲。

イントロでのFavreのフィルのカッコイイ事、そして勢いのあるブロウ全開で、

いきなり気分が高揚してくる。

Morning Song”はPauerのピアノのイントロに導かれてムーディに始まる。

Menzaエロい、タメのきいたフレージングが最高で心地よい事この上ない。

PauerLenzのエレガントなソロも光っている。

Olivers Twist”はフロアで大音量でかけて踊りまくりたいノリのよいナンバー。

New Spanish Boots”は日本人好みの哀愁のBossa


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