『住めば都』は永久に来ず | 『住めば都』は永久に来ず。

『住めば都』は永久に来ず。

浅田 ゆみ、名城 蘭、結城 薫による、リレー小説『住めば都』は永久に来ず。を連載中…?

父の遺産のアパートの管理人になってしまった来島草太郎(華も恥らう高校2年生!)と変わった人ばかりのアパートの住民約6名とのハチャメチャどたばた系(仮)な管理人生活。

25th[ようやく学校に]

今日僕、来島草太郎はとうとう龍ノ宮学園の生徒の一人となりました。
新しい(まあ、昨日着てるけれど)制服に袖を通して今は黒板の前に立っています。
少なからず緊張はしていましたが、その必要はないような感じです。

「ほいよ、んじゃまあ校長もあいも変わらずおらん始業式も終わった事やし、とりあえず紹介しとくなぁ。」
「先生!僕のハニーを奪わないで下さいね」
「誰が奪うかアホ!もおえぇ、来島自分で自己紹介しとき」

苦笑いしながらも僕は頷いて答えた。
そして軽い自己紹介をさせてもらって、ようやく席に座らせてもらった。
学校独特の木製の椅子に腰掛けるが、普通より少しばかり(ほ、本当に少しなんだからね!)背が低い僕には高く感じられる。
そして帝先生のえらく笑いの飛び交うHRが始まった。

「やほークサ太郎くん。どうだい?うちのクラスは」

ふと、昨日から気になっていることに気を向けていたら、波さんから声をかけられた。
……実は、波さんと白銀さんとは同じクラスのようだ。
何人か波さんが教えてくれたが、さすがに初日じゃ完璧には覚えられない。
そして、波さんが次の人を教えようとしたときに先生の通りのよい声が一際よく聞こえた。

「よし、あらかたの連絡は終わったな。なら、めんどいことは先に決めてまおか。
 委員とか決めなあかんのやけどなあ……いつもおらんけど学級委員になってくれる奴はおらんか?」

………………あまりにも先生の予想通り誰もいなかった。
先生もおらんよなぁとかぼやきつつやっぱり選挙という形になった。
僕は誰がいいのかなんてわからなかったから、同じクラスで昨日帝先生のところまで連れて行ってくれた京介君に一票入れさせてもらった。
すると、京介君の周りにいる人たちが残念そうに皆彼の肩を叩いていた。
……なんなんだろう?

「よーし、じゃあ全員書いたなぁ。集計に行くぞー」

そう先生が言うとにわかにざわめいた。
そして先生もチョークの準備をしながら振り返り人好きされる笑顔でこう言った。

「佐野ー、まだ一票も開いてへんけど、今年も私のパシリとしてよろしくなぁ」
「やですね、先生。パシリはやめてくださいよ」

そう苦笑いをする京介君。
だけど、先生とは仲がいいみたいだ。
……あれ?でもさっきの先生の口調だとまるで京介君が当選するみたいな口調だったような……。
その理由はすぐにわかった。票を開いてみると一目瞭然だった。

クラス総数:40人
佐野京介……21票
来島草太郎……11票
涼風白銀……5票
赤坂珠美……3票

……二位との差がすごく空いているのがよくわかる。
人気なんだなぁ……ん?二位?
あ、あれ?僕の気のせいかな?
なんだか二位に僕の名前があるような……。

「おお、決まったな。じゃあ、今年の学級委員よろしくお二人さん」
「ちょ、先生!僕はまだここに来たばかりなのにそんなことできません!」

そもそもなんで僕に票が入っているんだ。
そう思っていたら、回りから女の子のささやき声が聞こえた。
……もしかしてこの人達の仕業?
昔からよく実はあった。こういうときには必ず女子から多大な票数をもらうのだ。

「気にすんな来島!大丈夫や、相方に頼り、面倒見てくれるはずやで」

親指を立てていい顔をする先生はそのまま、今日は解散~と言って出て行った。
……僕に学級委員なんて務まるのかなあ。
あ、帰りに参考書とかある本屋さんに目星をつけようかな……とか考えていると、昨日のことを思い出していた。



「僕が此処に来たのは……此処に住もうと思って」

そう睦月くんは言った。
余りの出来事に僕が動転していると続きを言ってくれた。

「とは言ってもね、すぐにじゃないよ。次の……二学期!
 前から一人暮らししたいって言ってたんだ。だけどね、お母さんが許してくれなかったんだ。
 だけどね、草くんがいるなら許してくれると思うんだ!ね、いいでしょ草くん!
 それとも……ダメ?」

上目使いに僕を見返す僕の従兄弟。
僕よりも小さくかわいらしい姿に少し駄目だとは言い難かった。
だから僕は一応了解を取ってみると返しておいた。



「……ねぇ、来島君?」
「え?」

気がつくと何人かの女子が話しに来てくれていた。
僕は慌てて話しにのっていると、いつの間にか軽い談笑位までなら出来るようになっていた。
しかし、そこに水面を揺らすような声が聞こえた。

「あの、来島草太郎君……だよね?」

薄く微笑んだ女の子はまるで日本人形のような長い髪を揺らして、僕に近づいてきた。
その女の子はとても上品な雰囲気を纏った大和撫子のような美少女だった。