26th[春、即ち恋の季節]
月並みだけど僕は彼女を見た途端、彼女以外の時間が止まったんじゃないかとすら思った。
彼女はその容姿に背かない可憐な微笑みを浮かべて、
「私は、赤坂珠美と申します。
転校してきたばかりで大変だと思いますけど頑張って下さいね。
微力ですが私も出来る限り協力致しますので。」
っと言ってくれた。
「はっ、はぁ…。」
「赤坂さんは去年の学級委員、京介と一緒に任されてたんだよー。」
僕がなんとか返事に聞こえる音を絞り出すと
クラスの女子の一人が付け足すように教えてくれた。
そう言えばさっきの黒板にも3票位入ってたっけ、
「あっ、もちろんあたし達も協力するよー。ねぇみんなー。」
「モチロン!何でも言ってね、来島くん。」
「あっ、ねぇ来島くんって堅苦しいから草くんって呼んでいい?」
…
……
………。
「来島くん?」
「へっ?あぁ、うん。ごめん、草で言いよ。」
やったーっと歓声を上げている女の子達の声をぼんやりと聞き流しながら僕は彼女ー赤坂さんをずっと見ていた。
自己紹介の後、彼女は一礼して自分の席に帰って行ったんだけど、
不思議だ
文庫本かな?
を読んで座ってるだけなのにそれが凄く絵になってて目を離すのが勿体ないというか
それに無償に胸の真ん中が苦しいなんだろう、これ。
「ほほー。お主…、惚れたな。」
「うわぁ!ななな波さん!いっいきなりなんですか!!」
いつの間にか女の子達が居なくなり、代わりに意地悪そうな笑みを浮かべた波さんが僕の背後に立っていた。
「一目惚れとは…ハニー君もネーゼという者がありながら罪な男だねぇい。」
「一目惚っ…いや、ちょっと待って下さい。
白銀さん関係無いですから!誤解を招くようなこと言わないで下さい!」
僕がそう注意すると波さんは何故か益々質の悪い笑みを強めて、
「おやおや、惚れたことには否定しないのですなぁ。ほっほっほー。」
「っっっっ~///。」
何も言い返せずに自分でも分かるくらい顔を赤く染めて口を開け閉めしていると
ツボにハマったのか波さんが吹き出した。
「うはははは…!ひーひー、何その顔、ワザと?ねぇワザと?あーはっはっはー」
「なーみーかーさーんー。」
恨めしげに言うとやっと波さんは笑いを止めた。
「げっほ、はは…。ごめん、ごめん。
でも罪作りはあながち間違いでもないんじゃない?
随分人気みたいじゃん。」
「えっ?あー、さっきの人達は違いますよ。
ほら僕、転校生だから色々と世話を焼いてくれてるんですよ。」
波さんのからかいの言葉をそう言って返すと、何故かポカンとした顔で波さんが言った。
「…うそ、ねぇハニー君。それマジで言ってんの?」
「へっ?僕何か可笑しなこと言いましたか?」
波さんが何を言ってるのか分からずきょとんとしていると、
何故だか波さんははぁ…っと大きく溜め息をついて
「うわぁ…、マジだわこの人。フツー分かんない?
てか、鈍感キャラなんて一人入れば事足りるっの。」
「ちょっとそれどうゆう意味ですか。」
僕の質問に波さんが答えることは無かった。
何故なら、
「だから…「波華ー!!!」うげっ!」
その叫び声と共に教室に入って来た少年の爆弾発言に話を中断せざる終えなかったからだ。
「お前はF組だって言ってんだろーが!
何、C組に馴染んでんだコノヤロー!」
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