23th[その頃主人公は]
-数十分前-
結局、帝先生と白銀さんの壮絶な鬼ごっこ(むしろ、狩り)は数時間に及ぶ攻防の末白銀さんの気絶(それまでの過程はあえて言わない…)によって幕を閉じた。
…あぁ、夕日が眩しいなぁコンチクショー!
僕は半ばやけくそ気味に茜色に染まる空を睨んだ。
「あはは、随分遅くなっちゃったねー。
まぁ、楽しかったから別にいいんだけどー。」
「波さん…。本当に大丈夫ですか?
代わりますよ。僕、」
ニ、三歩遅れながらケラケラと楽天的に笑う波さんに僕は言った。
「ん~?大丈夫だよー。ここ下り坂だし、」
「いやいや、波さんが良くても、流石に白銀さんが痛そうですから。それ!」
そう、実は今気絶してしまった白銀さんを波さんが運んでいるのだが、
波さんは白銀さんの首根っこを掴んでそのまま、階段だろうがデコボコしたコンクリートの上だろうがお構いなしに引き摺るようにして動かしているのだ。
当然、ズボンはボロボロ、手は傷だらけという有り様に…。
このまま波さんに任せてたら白銀さんに地味にダメージが溜まるだけだろう。
それに、女の子に任せっきりにするのも男としてどうかと思うし…。
「兎に角、白銀さんは僕が運びますから。貸して下さい。」
「うー。まぁそこまで言うならどうぞ。でも、ネーゼ無駄にデカいし、重いよー。大丈夫?」
むっ、確かに…。
詳しく計った訳ではないけど白銀さんは長身だ。
頑張っておぶったところで足が着いてしまうだろうし、
抱っこなんて絶対無理!僕が潰れる。
「…仕方ない、よいしょっと。」
しばらく考えた結果僕は白銀さんの両脇に腕を入れ若干引き上げるという方法をとった。
これなら、少なくとも手は怪我しないし、ズボンの汚れも最小限で済むだろう。
完璧。
「って、結局あんたも引き摺るんじゃん!」
波さんは僕にそうツッコミを入れるとハァッとため息をついたかと思うと、一瞬でニヤッと質の悪い笑顔を僕に向け、
「んじゃ、寮まで競争ー!」
っと唐突に言い放った。
「はあっ!!」
「負けた人はジュース奢りだよー。」
そう言って波さんはいきなり走りだした。
「早ッ!じゃない!ちょっ、波さん!!卑怯ですよ!」
幸い、寮はもうすぐそこで波さんにさほど遅れることなく寮に着くことが出来た。
寮に入ってすぐ凄く驚いた。
だって、僕にそっくりの
僕より一つ下の従兄弟…。
「睦月!どうしてここに。」
睦月がいたから。
next…
名城