22th[Coming Soon]
レイ君を送っていって、僕はびっくりしました。
「う~ん?」
「睦月……どうした?」
ううん、なんでもないよとレイ君に返しておいた。
うーん、気のせいかもしれないけど、ここに前来たような……。
竜宮荘という名も以前聞いた気がする。
……どこでだろうか?
送ったお礼にレイ君が茶をくれるって言ってくれた。
僕は断ったんだけど、レイ君が「なら……缶のお茶」って言ったから、これ以上断るのも失礼だったから、貰うことにしました。
なんで、アパートの1階廊下に自販機があるのかとか聞いてみたけど、レイ君曰くそういうとこだから……だそうだ。
うーん。よく分からないけど、そういうことらしい。
とりあえず、そこにあったベンチでそれを飲ませてもらった。
うーん、やっぱりお茶はおいしいなあ。とか思っていると、やさしそうな女の人が隣の部屋から出てきた。
でも、どこかでみたことあるような……あ!わかった。
さっき、学校で道を教えてくれたお姉さんだ!
そう思っていると、向こうも気づいてくれたようだった。
「あら、あなたは――」
「あ、あの!さっきはありがとうございました!!」
「え?」
僕はその人が気づいてくれたので、さっきのお礼を言った。
すると、意外な言葉がかけられた。
「あの……私、貴方と会ったことがないと思うのだけど……?」
「え……、会いましたよね?学校で」
「学校?私は今日学校に行ってないわよ?」
「ええ!」
うそ、じゃあ僕の勘違い?
ううん、そんなことない。
だって、髪を緑に染めている人がいるだけで珍しいのに、ましてや一房だけ残している人なんてそうそういるものだろうか?
いや、少なくとも僕は知らない。
じゃあ、この人は誰……?
そう思っていると、レイ君がその、緑の髪の女性に話しかけた。
「星野……なにしてるの?こんなとこで」
星野……。この人の名前は星野さんというらしいです。
うーん、でも何でだろう。
どうして僕のこと知らないなんて……。
もしかして、僕のこと嫌いで知らんぷりしたいのかもしれない。
そんなに、僕って気に入られなかったのかな?
そんなことを考えていたら、星野さんが答えていた。
「レイ君こそどうしたの?
今日は入学式だったんでしょう?もう少し早い予定じゃなかったの?」
「まあ……そうだけど……白銀が『ここの図書館は大きい』って、わざわざ……僕に教えてくれた。
白銀、いつもああ。……だけど、誰よりもよく……人を、見てる。だから……教えてくれた」
まあ、そうね。などと相槌を打たれている。
二人は意外と中がいいみたいです。
やっぱり、さっきの人と人違いだったのかな?とか考えていると、いつのまにかもう一人の影が見えた。
「おねえちゃ-ん!ただいまー!!」
そう言って走って来たのは目の前のおねえさんとそっくりな人だった。
……あれ?僕が会ったのってあの人?
「もう、波さんってば早すぎですよ!」
「まったく、へたれ君は情けないなあ!ボクよりも早く着く位でないと!」
無茶を言わないでくださいよと、後ろから一人……ううん、二人ついて来る。
ひとりは小さいおにいちゃん、もう一人はポニーテールをした大きいおにいちゃん。
でも、大きいお兄ちゃんはなぜか小さいお兄ちゃんが引きずってきた。
……あれ?
「まったく、なら僕より背が高いんですから、波さんが連れて行ってくださいよ。
ただでさえ白銀さん大きいのに……」
「ひどい!か弱い僕に男の人をかかえさせるなんて……!」
「どこがですか、さっきまで抱えていたじゃないですか!」
僕がふと気づいたとき、レイ君がああ、と手を叩いた。
「そうか……わかった」
「何が分かったのかしら?レイ君」
それにお姉さんが応える。
レイ君がひとつ頷いて一口コーヒーを飲む。
「うん……似てるんだ……」
「あら、誰に?」
あ、あの人ってもしかして……。
「あれ?そこにいるのってもしかして――」
「うそ……もしかしてここだったの?」
僕と、小さいお兄さんと目があった。
僕と似てないけどよく似た顔をしているお兄さんと。
互いに目を見開いた。
「誰って……草太郎、だよ」
「――睦月くん?」
「草くん……!」
僕は久々に草兄くんと会った。
結城 薫