21th[触れあう声、関係]
初めまして!
僕は樋村睦月[ひむらむつき]っていいます。
今日は僕が今年から通う高校、龍之宮学園の入学式でした。
初めての高校で少しドキドキしてます。
それにしても、広い高校ですよねぇ。
僕、迷っちゃわないか不安だなあ。
今日は入学式だけだったので、結構早く終わりました。
っていうよりは、校長先生不在の為に挨拶が無くて早かったんですよ。
えーと、大体15分位で終わりました。
ちなみに、言われた事はただ一つで「自由に生きろ」だそうです。
これが、この学校の唯一の校則だそうです。
凄く自由な学校ですね!
そんな訳で、僕は学校を探検してみることにしました。
途中で道に迷っていると、髪が緑色で元気そうな先輩に会いました!
校則が無いから、髪を染めるのは自由だそうです。
そして、校内の大まかな説明をしてくれました。優しそうな先輩がいてくれてよかったなあ。
色々と見て回ったんですけど、この高校は広すぎですよう。
僕、疲れちゃって今日だけだと全て見て回れません。
だって、まだいくつかの煉が残ってますから。
ふう、とりあえず今の時間は……もう13時ですね。
とりあえず、行っておきたかった図書館に行っておこうと思って、来たはいいですけど……え、ここ図書館ですか?
クラブ煉とは反対側にある割と静かな場所。
そこに堂々とたたずむのは……時計塔?
でも、そこから出てくる人々の手には本が握られていることから確信を持って中へと入っていった。
入って一番にびっくりしたのは、館内案内図を見たときだった。
だって、ここって1階だけでも、かなりの高さまで本棚があって広いのに、12階建てなんですよ!!
こ、ここだけでも迷いそうです。
とりあえず、僕は初めに、4階にあった児童書コーナーに行くことにした。
僕は歳の割りに精神も見た目も幼いって言われるからかわからないんだけど、純文学も好きだけどかわいい話が好きなんだあ。
ファンタジーで、ふわふわしているのとかいいよねえ。
…………。
………。
……。
……あ、読み終わっちゃった。
次の本を取りにいこうと立つと、いつの間にか向かいでに人が本を読んでいるのに気がついた。
僕の視線にも気付かず、黙々と本を読んでいる。
……あ、違うんだ。
唐突に気がついた。
この人は、いつの間にかいたんじゃなくて、ずっとそこにいたんだ。だって……置いてある本の数が半端じゃなかったから。
もう、閉館まであと1時間位しかないのに両側にある読んだであろう本と残り僅かなまだ読んで無いであろう本。
その人は本当に表情も変えず、本を読んでいる。
……ん、もしかしたら入試説明会で見たかも。そういえば、入学式にもいたよね。
15分程度の入学式では、誰がいたかとかは覚えていないはずだけど、よく目立つ銀髪が目に入っていた気がした。
ということは、この人も新しく入学した人?
クラスの発表自体も明日だから解らないけれど、多分この人も同じ学年だよね!
うわぁ、ちょっとうれしいかも。
そんなことを思いながら、本を変えてきた。
……もうすぐ4時かあ。ココ、今日は4時閉館って書いてあったよね。
横を通っていった先輩が、僕に声をかけていった。
「あれ、君は1年生かい?」
「はい、そうです!」
僕が返事をすると、先輩は元気がいいねと言ってくれた。
喜んでいいのかな?いいよね?えへへ。
「まあ、もうすぐ閉館だから気をつけたほうがいいよ。
もうすぐ、『アレ』がくるからね」
「アレ……?」
「まあ、なってからのお楽しみってことで。それじゃあね」
そう言って階段を先輩は下りていった。
『アレ』ってなんだろ?
そう思いつつも席に戻ると目の前で本を読んでいた人は……寝ていた。
うう、起こした方がいいんですかね?
で、でも起こしたらあれですよね。
やっぱり、止めときますね。
とりあえず、席に座って本を読んでいると、唐突に『アレ』はやってきた。
「?」
少し、地響きがした気がして上を見上げてみると、今度は塔全体が震えだした。轟音とともに。
ゴォォオオオオオンンン…ゴォォオオオオンンンン……
まるで、本棚が倒れるんじゃないかという位の揺れがした。
もっとも、本は依然として、荘厳と並んでいたが。
「うあ、わ、わ」
「君大丈夫?」
平然とした男の先輩が助けてくれた。
座っていても揺れるのに、なんでこの人は平気なんだろう?
「君は、コレは初めてなのか?」
「え、あ、はい」
「これはな、閉館の合図なんだ。時計塔だったろ?ここ。上の鐘の音だよ」
「か、鐘!?コレがですか?」
そうそう、と言ってその先輩は教えてくれた。
どうやら、この先輩は図書委員らしくて、もう鐘になれてしまったらしい。
……これって、慣れるってレベルじゃないよね。
ところで、と先輩は前の男の子を指した。
「オレでも、これを初めて聞いたときは驚いたのに、凄いな。
多分、見かけたことがないから1年生だろ?熟睡してるな」
けらけらと笑いながら先輩が言うので僕も見てみると、確かにさっきからいた人は本に囲まれて寝ていた。
でも、閉館だから帰ってもらおうかと先輩が男の子を起こした。
「ん……?」
「もう、閉館時間なんだ。帰ってもらえるか?」
寝起きだからか、いつもだからかはわからないけど、眠たそうな目をして先輩をしばらく見た後に頷いた。
立ち上がって帰り支度をしている。とても寝起きだとは思えないほど手際がよかった。
先輩も関心していた。
だけど……
「……ぁ……」
ふらふらと歩いては本棚にぶつかって、ぶつかっては危なっかしい足取りでいる。
とても危なっかしくて見ていられなかった。だって、コレで怪我とかしたら痛いもんね!
せめて、家まで送っていこうかな。どうせ僕の家は遠いからあまり変わらないだろうしね。
「だ、大丈夫?送って行くよ」
「ん……?……あ、確か……前で本、読んでた……?」
「あ、うん。僕は樋村睦月だよ。多分、1年だよ……ね?」
近づいてみると、以外にも小さくて僕とあまり身長差はなかった。
遠目からみたら大きく見えたんだけどなあ。
彼は頷いて、ありがとうといってくれた。
「……睦月?……わかった。覚える。
僕は、レイ。……如月レイ、だよ」
「如月君?わ、凄いね!僕たち月の名前が続きではいってるんだね!」
とても珍しいことだと思う。
だって、今まで僕は同じ旧月の名前が入っている人を見たことがなかったから。
しかも、一月(睦月)、二月(如月)って続けて入ってるのは珍しいよね!
「うん……そうだね、睦月も……1……いや、2年?」
「ええ!?違う違う!僕は1年生だよ!なんで?」
今まで、年下に見られた事は多々あったけど、年上に見られた事はなかったからびっくりした。
レイ君曰く、最近会った人で年上なのに年下と言ってしまった人がいたから、思ったより上で言ったらしい。
ちなみに、その人は僕となんとなく似てるって言ってたけど、どんな人なんだろう。
そんなことを話していると正門まで来たんだけど
「レイ君、家どこ?」
「ん……そこ、そのアパート……」
「って、近いね!!」
「うん……だから、ここにした。
朝、ギリギリまで……寝れる」
とても学園から近い位置にあるアパートがレイ君の家らしい。
でも……あれ?見覚えがあるなあ。
竜宮荘……うーん。どこでだったかなあ?
とにかくレイ君を家に送り届けることにした。
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