JR四国キハ185系「志国土佐 時代の夜明けのものがたり」仕様車 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

ここ最近JR四国で増えて来た観光列車のある意味ブランド、「ものがたり列車」。愛媛県は伊予灘ものがたり、香川・徳島両県は四国まんなか千年ものがたりと来て、高知県に新たなものがたり列車が登場しました。

 

志国土佐 時代の夜明けのものがたり、土讃線の高知-窪川間を走る特急列車です。この区間には前身となるトロッコ列車が走っており、これを大人向けの観光列車にアップデートさせた格好です。

 

 

種車は余剰気味なキハ185系、さすがに中間車は枯渇したか2両編成で登場しました。「もしもJR四国が先頭車を中間車化したら」…ちょっと見てみたかった気もします(笑)

 

こちらにもロゴが配置されています。アンパンマンやしまんトロッコを経て、JR四国オリジナルブランドを育てるに至ったこの会社の観光列車のレベルは相当のものになってきたと思います。ここに乗り慣れると、どうも他社の観光列車に物足りなさを感じるようになります。

 

…が、ステンレス車体を改造ともなるとこの不自然な場所はラッピングでも隠せません。

 

出入り口を片方埋めて1扉車としております。

 

また別の側面には坂本龍馬もいます。やはり高知県を走る観光列車だけあり外せませんよね。

 

1号車の先頭もこの通り。号車やグリーンマークを付けるにはちょうどいいのかもしれません。

 

それでは1号車のデッキから参りましょう、ドアです。オリジナルの折戸のままですが、化粧板を貼り付けています。

 

客室から仕切り扉です。こちらは観光列車仕様に交換されており、ちょっと近未来感が出ています。

 

車内です。1号車は「KURO FUNE(クロフネ)」という愛称を付けられています。「果て無き青空のもと、仲間達と新たな時代への「志」を語りながら大海をゆく蒸気船をモチーフに、文明開化期から萌芽する19世紀末芸術を想起させるデザインをあしらいました」とのこと。側面は木目調でかため、様々な装飾がされています。

 

デッキとの仕切りです。仕切り窓を埋めてデッキと確実に仕切っています。

 

最前面です。元デッキだった部分で、乗務員室との仕切り扉も増設されています。ここには船の舵が取り付けられており、後ろに投影された前面展望をバックに記念撮影もできます。

 

天井です。元の照明や冷房吹き出し口は全て無くなり、文字通り果てなき空をイメージさせています。

 

照明は新たに設置された飾りのアーチが担っています。また、間接照明もあるようですね。

 

窓です。面積は変わっていませんが、窓下に飾り照明が付くなど、カスタマイズはされまくっています。

 

日除けもミトーカデザインで見慣れすぎたフリーストップ式の簾になっています。

 

それではお座席です。まずは当初「高知家の団らんシート」として想定されていたカウンター席からです。

 

海側・山側共に窓の方を向いています。このカウンター席、ちゃぶ台返しのようにうりゃあっと反転させることで、カウンター席または団らんシート両方にセットすることが出来ます。このご時世ですので正面を向かった席にセットするのはあまり好ましく無いということですが、設計当初から使い方については想定していたとは言え、両方に使用出来る設計がこんな時に役立つとは…と言う感じだったでしょう。

 

座席は固定されており移動は出来ません。表地はレザー張りで、汚れを取りやすくしています。

 

で、もちろん通路側へ向けることも出来ます。これが出来ないと、団らんシートに出来ないんですよね。

 

なお各席にはアクリル板が置かれています。これも当初は想定されていなかったものですね。

 

柱にはコンセントも付いています。

 

テーブルを支える柱も飾り照明を仕込んでおりトンネルの中は幻想的な雰囲気となります。

 

続いて車両奥のBOX席です。こちらは向きの変更が出来ないため、そのままの状態で運用されています。なお、こちらは3~4名で利用可能ですが、この日は団体さんが抑えていたようです。

 

メインとなる飾り照明です。基部には列車のロゴをイメージした模様が入ります。

 

このご時世だからこそ置かれている消毒液です。手を差し出すと自動で出てくるお金かかるタイプが置かれています。

 

続いては2号車の「SORA FUNE(ソラフネ)」車両です。すぐにTOKIOが思い浮かぶ方は世代ですね(笑)

 

車端部の通路は長く取られており、各種スペースが並びます。ここ、元はデッキだった部分も含んでいます。

 

トイレです。こちらは男女共用となります。

 

向かい側には女性専用トイレがあります。観光列車に乗車する客層に女性も増えつつあるように思いますが、このような設備も必要と判断される時代になっているのですね。

 

ロゴが描かれた壁を見つつクランクを曲がると、客室となります。

 

という訳で車内です。「大空のその先、大気圏を突き抜けた宇宙空間までにも繋がる未来への「夢」をコンセプトに、レトロSF小説で描かれる空想科学上の宇宙船をイメージしています。」とのこと。確かに木目調という温かみは減りましたが、白を基調とした未来的なデザインとは言えます。

 

デッキとの仕切りです。化粧板こそ異なりますが、デザイン自体は1号車と同じですね。なおデッキは両方の車両ともに高知方にあります。

 

車端部です。車内販売カウンターがあるため奥の方は見えません。

 

天井です。コンセプト通り宇宙空間をイメージしたものとなっています。

 

メインとなる照明もこの通り。デザインが1号車とは異なります。

 

窓です。化粧板こそ異なりますが、窓下に照明を配置するなどの構造は一緒になっています。

 

また、日除けも一般的なロールカーテンになっています。フリーストップタイプで、生地はやや薄めです。下げていても景色が視認出来るようにしている…と書けるのは観光列車だから…。

 

座席です。こちらは海側で、全席カウンター席となっています。本当はここを取りたかったのですが、残念ながら取れませんでした…。

 

座席は1号車の色違いですね。ここのテーブルもちゃぶ台返し(笑)が出来そうですが、現時点ではそのような運用は想定されていないようです。

 

このようにカウンター側にも向けられます。現状、この機能は山側に見所がある場合に役立っています。

 

そして山側の座席です。

 

この通り斜めを向いて向かい合うような座席配置になっています。それにしても、観光列車にして柱を眺めさせる座席配置は正直びっくりしました。その配慮か柱に前面展望のモニターが付いているので愚作とまでは行きませんが、失策は失策だと判断します。こちらもちゃぶ台返しをして海側と整合を取らせるためにこうなったんでしょうねぇ、もうちょっとやりようはあったとは思いますが。ここだけはちょっと残念。

 

という訳で、柱。入口手前の席は車椅子対応席となっています。

 

モニターとコンセントです。その手前には紙ナプキンと爪楊枝など。お食事を提供する列車ならではの備えですね。ちなみに、この列車では外部からの飲食物の持ち込みはご遠慮です。通常のきっぷ販売での列車では極めて珍しいですね。

 

座席間の照明はこんな感じ。

 

記念乗車証明書とスタンプです。乗るとついつい手に取ってしまいます。

 

デッキから入って右側には坂本龍馬の像が手を広げています。

 

車内販売カウンターです。お食事を予約していない場合、ここで飲食物を購入することになります。それにしても、カウンターが殺風景です(^^;;  JR九州までとはいかないまでも、もう少し華があってもよかったようには思いますが…もしかして敢えて?

 

車端部通路との仕切りです。この先にトイレ等があります。左側には非常用の懐中電灯がありますね。

 

車内はこれくらいにして、ここからは乗車の様子。席にはこのようにランチョンマットと車内販売メニュー等が置かれています。

 

途中、高知大学の学生さんがお見送りをしてくれます。なお、運転停車のため乗り降りは出来ません。

 

この通り手作り感満載です。この後、彼女たちはシャボン玉を飛ばしてました(笑)

 

今回、往復乗車しましたがお食事は復路にのみ付けまして、往路は車内販売を利用しました。

 

サンドイッチと仏手柑酒を買いました。このサンドイッチは中々のボリュームですので、直前の予約でお食事を予約出来なかった人のための救済商品的側面があります。結構ガッツリしております。

 

車内販売のカートです。カートはグッズ類の販売にのみ稼働します。

 

安和駅では海が見渡せます。列車と一緒に記念撮影…は皆さん考えること、タイミングは重要です。しかし曇天…乗車された皆様の敵討ちはなりませんでした(^^;;

 

記念撮影ボードもあります。アテンダントさんにポーズしてもらいました。持ち方がプロ(笑)

 

運転停車の駅でもドアは開きますが、これは換気のためでして乗降されないようにロープと注意書きが付けられます。

 

下り列車の終点、窪川駅に到着し、ここから折り返しの準備となります。アクリル板の消毒など、本来想定していなかった業務も追加されており、折り返し準備を行うアテンダントさんも大変です。

 

折り返し準備中はこのような表示が置かれます。が、床に屋とやはり視認性がよろしく無いようで、よく見ていない乗客が誤って侵入することも…。「よく見ろや」ってことではありますが、ロープを張ってしまう方がいいかもしれません。

 

折り返し準備が整いますと、ホームの足元にマットが敷かれます。

 

上り列車ではお食事を予約しました。食事引換券は3日前までにみどりの窓口で予約する必要があります。

 

テーブルにはお品書きとコーヒーチケットが置かれています。

 

お料理が来る前に、高知の地酒三種飲み比べセットを頼みました。列車をプリントした専用のホルダーに入れてくれます。

 

続いてお料理が来ました。車内で調理という訳では無く、お弁当箱に詰められたお料理を頂くスタイルです。ちなみにこのお弁当箱、実際に販売されているのですが、中々のお値段でございます(^^;;

 

箱を開けるとこんな感じ。「高知家満喫 “土佐流のおもてなし”コース」ということで、カツオやうなぎ等、高知の素材をふんだんに使ったものとなっております。量という点ではさほどかもしれませんが、質はいいものなのでそちらを楽しみましょう。

 

佐川駅では、なぜかキツネさんがお出迎え。列車のフラッグを持っております。

 

こうしてお食事の最中に下車している間は、アテンダントさんがお料理が乾かないように紙を掛けてくれています。伊予灘ものがたりから続く気配りですね。

 

そして、この駅では芋けんぴも頂きました。この翌日に阿佐線を巡る旅に出たのですが、ずっと乗りっぱなしだった手前これでお腹を満たしました(笑)

 

そうそう、私が四国に渡るのはこの時期が多く、アテンダントさんからこのようなカードを頂きました。検札の際にも「おめでとうございます」の一言を添えて頂き、ちょっと歳を取るのも悪くないなと思いました(笑)

 

列車は終着・高知駅に到着しました。夕日に照らされたKURO FUNE、かっこいいですね。

 

荒れくれる揺れる七海を物ともせず越えていく黒船のように。