JR四国キロ47形「伊予灘ものがたり」仕様車 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

 

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JR四国で初となる本格的な観光列車となる「伊予灘ものがたり」、JR四国の観光列車歴は長くありませんが、列車自体のハード面のみならず接客やサービスというソフト面でのポテンシャルの高さを見せており、乗車率はほとんどの列車で90%越えを記録、日経新聞のオススメ観光列車でNo.1に輝いています。

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塗装はオレンジと茜色、伊予灘に沈む美しい夕陽をイメージしているとのこと。

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車体中央には列車名が書かれています。どことなくドーンデザインチックな気もしますが全くの別物、デザインはJR四国の社員が行ったそうな。一年前に登場した元祖トロッコ列車の「しまんトロッコ」にてミトーカマジックを発動していますが、やっぱり「それではいけないし面白くない」という気持ちがどこかにあったのかもしれません。土讃線にも観光特急列車が登場しますが、こちらもオリジナルデザインとなっていますね。

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車端部にはイラストロゴが入れられています。昔からJR四国はロゴデザインの秀逸さには定評があります。

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側面はこの通り。遠目からでは分からない繊細さがありますね。

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ドア横には2両編成のイメージネームが書かれています。1号車は「茜の章」、2号車が「黄金の章」となっています。

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列車自体はキハ47形を改造したもので、実はキハ47形時代に一度死んでいる車両です。元はキハ47形の寒冷地仕様車、500番台のトップナンバー、登場当初は新潟地区で使用されていたものの電化の進行によりなぜか温暖な四国へと飛ばされ、2011年に一度廃車されています。そこから改造期間も含めて3年余りもの間は鋼の塊と化していましたが、2014年に車籍復帰、その際に形式の数字は変わらないものの「キロ」という前代未聞な二文字が先頭に付けられていました。

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この列車、なんとキハ40系列初のグリーン車です(最近西日本では増加傾向にありますが‥)。九州では特急なんかになってしまったものがいますが、自由席が設定されていてほぼ同距離を走る観光特急「はやとの風」と料金で比べると、自由席が820円、指定席が1330円、対してこちらは普通列車グリーン車指定席980円となっています。観光特急が軒並み「特に急がない」ものが多いことからすると、この列車が普通列車でグリーン車指定席というのは、「スピードの身の程をわきまえた上で車内でのサービスという付加価値を追加」するのに丁度適したクラス設定だったのかもしれません。

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最近知名度が上がってきた下灘駅にて。この駅では数分間の停車時間が設定されています。

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通称内子線が出来てから旧線となったこの区間も、ようやく陽の目を見るようになった気がします。かくいう私も、この「伊予灘ものがたり」でこの線に初乗車し、JR四国完乗を達成した次第。


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車内です。近年キハ40系列がとんでもない改造を受ける例が目立ちますが、こちらも負けていません。本当にこれがボックスシートが並んでいた近郊型気動車かと…。

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ドアです。起終点駅では専用のマットをホームに敷いてお出迎えしてくれます。出発前から気分を盛り上げてくれるアイテムとなっていますね。ドア自体は新たに化粧板を貼ったものになりました。

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ちなみにこの車両、観光列車へのリニューアル後も半自動扱いの機構が残っており、起終点や長時間停車時にはアテンダントさんが重いドアを手でガラガラと開けます。低床ホームの駅が多いこと、画像のように雨で足場が悪い時に真っ先に足元の状態を確認するために行っているそうです。すげえ…。

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また雨天の長時間停車では雨除けのためにカーテンが設置されます。降ってくる雨が車内に入らないようにするためですね。気配りの成せる業。

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ドア付近の握り棒は金色仕上げとしています。この車両、乗客が手に触れる金属部分は極力銀色を使用しないように頑張っているような気がします。

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その上には時計と運行案内の広告枠があります。それぞれの列車で名称や運行区間が変わるため、毎回内容が変わります。

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車端部です。デッキはありませんが、簡単な仕切りが追加されています。冬季は運休となるので、比較的温暖な伊予地方、冷気はそこまで心配する必要が無さそうです。

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トイレより奥を仕切るようにロゴ入りの暖簾がかけられています。水回りと客室との空間を分けたかった意図を感じますが、トイレの場所が分かりづらいという欠点も…。


そのトイレ。バリアフリー対応の大型トイレです。最近観光列車を中心にキハ40系列でも洋式トイレが増えてきました。

 

また近年女性専用トイレの追加設置を行う改造が施されています。

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お隣の洗面台です。これは少し前のもので、今は後述の状態にリニューアルされています。トイレよりも奥の車端部に位置するため、暖簾の目隠しもあいまって暗くなっており、この洗面台だけが目立つようになっています。光と闇のコントラストと言うことでしょうか、木目調なこともありどこぞのオシャレなレストランのお手洗いかと。

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洗面台自体は陶器製、8000系にも通じるものがあります。何やら、季節により陶器を替えているようで…。

 

そしてこちらが現在の洗面台。女性専用トイレ設置に合わせ鏡の裏が白い化粧板となり、少し照度が上がっています。その他紙ナプキンが壁に取り付けるスタイルになり、その横には花が飾られています。

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最前面です。こちらは完全に仕切り、乗務員室内が見えないようにしています。恐らくこれは意図的、業務感を少しでも無くすためではないかと…。

 

そのような中でも設置された改造ステッカー。多度津の匠の手によるものですね。

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天井です。「これが元はあのキハ47か?」と言いたくなるほどの大変貌、ゴツくて冷えないあの冷房は撤去され、吹き出し口がラインフロー式となっています。照明は間接照明となっています。

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窓です。こちらは伊予灘を望む海側、配置自体は従来のままですが、二段窓は固定窓に取り替えられています。また柱等の周囲は飾りが追加されています。そうそう、国鉄型の気動車ながら、この手の車両によく見られる窓の汚れはほとんど見られません。運用開始前に必ず車体を磨いているそうで、気動車の煤煙汚れもしっかりと落とされています。

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そしてこちらが向かいの山側です。眺望をそこまで重視しない方なので、二段窓のままで残されています。ただ、JR西日本のキハ40系列のように下段は固定窓化されています。夏にもなると伸びた沿線の木の枝がバシバシと当たっています。せっかく磨いた車体に傷が入らないか心配になるところ、車両や乗務される方だけでなく、保線の方も一枚板となってやってみるのもいかがでしょうか。

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日除けは爪を引っ掛けるロールカーテンタイプです。何気にロゴ入り(笑)

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さてさて座席…というか「お席」です(^^;;  まずは山側のドアに近い側のお席から。2人掛けで、海側を向くように椅子が少しだけ通路側を向いています。

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また床面はセミハイデッキ構造、向かい側の人の頭を眺め続けるような事態を極力避けるようにしています。各座席にはクッションが備えられています。

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乗務員室側の座席です。こちらは通常のボックス配置となっています。

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脚台の畳の上に座椅子を置く形態としています。形状も微妙に違ってますね。ここをドア側と同じ座席配置にしなかったのは、向かい側が4人掛けのボックス配置となっているからでしょうね。

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そしてある意味メイン、海側のお席です。ドア側は窓を向いた展望席で、お一人様はこちらを取るとよいかと。

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固定のテーブルも備わります。ただ窓は従来の配置から変わっていないので、席によっては柱で展望が思いっきり殺される寂しいところも。瀬戸内海の絶景をウリにする観光列車だけあり、「伊予灘ものがたり」の数少ない欠点のひとつです。対岸の「etSETOra」のように、もうちょっと頑張れたところでもあったかもしれません。1号車の「茜の章」ですと、5Aと4Cが比較的窓が被らないポジションになります。

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ドアに近い席は車椅子スペースとなっており、固定用具と非常ボタンが備わります。

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テーブル隅には愛媛県のPRゆるキャラ、「みきゃん」がいます。どちらかと言えば「バリィさん」派な私(苦笑)  この列車に関しては今治関係ないですからねぇ。

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座席後ろには衝立が設置されており、よく揺れる伊予長浜経由の路盤に対応しています。ここもロゴを象った穴を空けています。

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乗務員室寄りの座席です。4人掛けのボックスシートで、元々ここにはドアがありましたが列車の性格を考慮して埋められています。窓配置はそのままなのでやんわり違和感があり、奥の座席に対する窓はよりによって元戸袋窓…。

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テーブル下です。足元を暖めるヒーターと畳張りの荷物置きがあります。

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「伊予灘ものがたり」のメインのひとつが"食"、車内での食事を考慮してこのような小物入れが各席に用意されています。左側は回転スライドさせて取り出せるようにしているのがおもしろいですね。チラッと見えていますが、メニューは手触りのよい布のカバーに入っています。

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デッキ風の仕切り、乗車時は9月だったこともあり秋の飾りが。季節によって変わるんでしょうね。

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そして、車両中央付近の飾り行灯。和の雰囲気漂う辺りはいとをかしですが、電源となるコードとコンセントが丸見えなのがややわろし。

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2号車も少しだけ。座席のクッションが黄色になっており、デザインも微妙に異なっています。

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ドアです。化粧板はまさかの金色です(笑)

 

マットはこちら。やはり1号車とは異なります。

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そうそう、ドア上には開閉ランプが備わっています。


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車端部です。こちらは調理スペースとなっており、コーヒー等を出すためのカウンターとなっています。

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ドアとカウンターの間の天井にも意匠が施されています。DINING BARですか。

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客席側にもありますね。

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そして連結面はこんな感じ。テレビモニターを設置して沿線を紹介していますが、あまり目立っていません(笑)

 

作業中はこのように目隠しがされます。

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最前面です。こちらも乗務員室が見えないようにしています。

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ショーケースの中には伊予をPRするものが入っています。

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ドア付近の仕切りもディスプレイとなっています。

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窓です。こちらには柱に飾り照明が取り付けられています。

 

お席です。こちらは山側で、ひとつだけ設置された飾り照明も形が異なっています。

 

形状自体は変わりませんが、クッションの色を変えることで印象を異なるものにしています。

 

4人掛けボックスシートです。まぁやっぱり窓割には難が出ますよね。

 

カウンター席です。他の座席もそうですが、片側の肘掛けを短くして出入りがしやすくなっています。機能的には〇ですが、掛け心地としては違和感があるため△ですね。

 

カウンター席にもヒーターが有ります。個別に分離したタイプになったため、キハ40系列ではお馴染みの配管が無くなったのはファインですね。

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さてさて番外編、普段車内ばかり撮ってるのでたまにはサービスでも。乗車したのは「八幡浜編」、車内では事前予約制で食事も出されます。画像は地元の瀬戸内風フランスレストラン店「門田」監修の"フランス料理の松花堂弁当"、お値段は4,500円、正直お高いのですが、値段に見合った味でないかと思います。美しい瀬戸内の風景を見ながら少しずつ食べるのがまた至福。

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そして、日本酒読み比べ。地元愛媛で作られた6種の日本酒の中から3種類を選んで飲み比べることが出来ます。気になったのは、車内で流れるBGMが短く何回転もすることでしょうか。とある漫画にて、「飲食店でBGMが短いと"長居した"と感じさせる」というエピソードがありましたがまさにその感覚で、片道2、3回転くらいがちょうどいいのかなぁと個人的な感想として持っています。

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カウンター横にはスタンプ台があります。俳句ポストもありますので、乗車時に一句どうぞ。

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最近では駅に訪れるだけの観光客も増えたため、中々このような静かなシーンを撮ることが難しくなった気がします。

 

 

 

 

 

 
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