和歌山電鐵2270系2275F「たま電車」仕様車 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

和歌山から貴志までを結ぶ貴志川線、和歌山電鐵になってからあの手この手で変革を行った結果、すっかり南海色が薄まったように思います。
 
車両についても大幅に変貌を遂げており、ここを走る2270系のリニューアルパターンのひとつが今回紹介する「たま電車」。貴志駅に住んでいた三毛猫の「たま」を和歌山電鐵が正式に駅長に任命したところ爆発的に人気が出たのが事の発端で、電車までをも改造して今に至っています。
 
登場当初は屋根の耳が有りませんでした。また冷房装置も灰色塗装のままでしたね。文字が多いこのデザイン、いつものごとくドーンデザインの仕業です(笑) 
 
車内です。ミトーカデザインらしい騒がしさ(笑)を感じることが出来ます。最初は地元の方も多少の戸惑いがあったかもしれませんが、「もう慣れた」という声が聞こえてきそうです(^^;; 2ドアロングシート、ズームカー時代から構成自体は変わりません。
 
ドアです。運転台側はワンマン運転に対応するため片開き式になっています。化粧板はイラスト化されたたまが散りばめられており、窓にもステッカーが貼られています。
 

両開きドアを撮り忘れていたので動画で。アナウンスには鳴き声が入っています(笑)
 
最前面です。ワンマン運転実施のためLCDタイプの運賃表示機や朱色で目立つ運賃箱が設置されています。
 
車掌台側にはテーブルが設置されていますが、この編成のみ円形の穴があけられています。カップをここにでも入れるためでしょうか。
 
天井です。照明が直管式のLED灯に交換されています。化粧板等に変化は見られませんね。
 
吊革は木製、三毛猫をイメージした色になっていますね。
 
窓です。一段下降窓が並びます。
 
照明はミトーカデザインでよく見られる簾のものと、たまのシルエットが散りばめられた生地を使ったものの2種類が存在します。
 
一部にはイラスト化された駅長が前足を伸ばしています。
 
また中程にはたまを象った飾り照明が取り付けられています。
 
車端部の窓はサッシに木を追加しています。また、たまのイラストステッカーも貼られていますね。たま電車をよろしく!
 
座席です。「おもちゃ電車」までは従来の座席を一部再利用した"エスケープゾーン"があったのですが…この電車からは全ての座席がミトーカデザインにされてしまいました。座面はともかく背ズリは完全に木、手前は湾曲し過ぎで体重が一点に集中しますし、奥は直角で緊張姿勢を強いられます。移動空間にして「こんなことするか?」な気持ちで悶々と…。
 
で向かい側。静止空間のインテリアなら十分わかるのですが…オマケにローカル線の保線状況は推して量るべし、揺れに揺れること分かっててやってるならブラックジョーク以外の何物でも無いでしょうに…。
 
座布団はやはりたまのイラストで作られています。この座布団、販売すればそれはもう売れに売れると思うんですよね。商品化はいかがでしょうか、和歌山電鐵さん?(笑)
 
格子背ズリの向こうには路地裏を駆けるネコのようなデザインも。"見せる"という点では秀逸なのに、"使う"点がダメ過ぎるのが本当に惜しい…。両点を考慮してデザインされるのがベストなのですが、そうでなければ"使う"視点重視の私として持論は崩し得ません。
 
その点、ソファ調座席はまだ良心と言えばそうかもしれません。背ズリの湾曲が気にならないでも無いですが…それよりも、一番端の席はショーケースが張り出しているため座面もやや短く感じるちょっとハズレ席とも言えます。
 
向かい側は肘掛けまでモケットで覆われたソファ席です。かつての座席長さをもて余したのか余寸が出来ていますが、かばん程度を置くにはちょうど良いという副作用も…ただ着席定員は減ってるでしょうね。
 
車端部の車椅子スペースとセットになった座席です。奥の座席もミトーカデザインではよく見られるものですね。
 
車椅子スペースは握り棒とテーブルが付帯設備として備わります。戸袋部分にはショーケースが有り、中には同じネコ繋がりでドラえもんがたくさん入れられています。そう言えば、一時自動アナウンスもドラえもんでしたね。
 
向かい側はミトーカデザインではこれまたお馴染みのミニ図書館となっており、本が入れられています。横揺れで頭上に落っこちないか非常にスリリングです(^^;;
 
お次は隣の車両へと参りましょう。ドアや照明の色使いが異なっており、暖色系が強くなっています
 
ドアです。化粧板が赤色になっております。
 
そして両開き式ドア。それよりも整理券発行機の朱色は強いですね(笑)
 
車端部です。貫通路の手前に木で作られた門が取り付けられています。
 
門にはたまの暖簾があります。ミトーカデザインは、この暖簾のデザインが秀逸です。何度もいいますが欲しい(笑)
 
最前面です。こちらも赤色がベースですね。
 
天井です。LED灯が暖色になっていますが、2両で違う色調にしたのはわざとでしょうか?
 
窓です。仕様は先程と変わりません。たまのデザインくらいですね。
 
たまがいる窓だけ日除けが少し上げられていますが、これは乗客の仕業でしょうか(笑)
 
座席です。こちらも見た目に全力で努力した感がまたすごい。手前の座席はソファ調ですが、至るところに付けられたカーブにジャム感を覚えてしまいます。
 
で、真ん中ともなると赤い格子ですよ。背ズリ上端のフレームの端はネコの尻尾をイメージしたように思いますが、最近の「~したらどうするんだ!」論調になってしまうのが心苦しいながらも、ぶつけると痛そうな気がしてしまうのです。
 
裏側にはシルエット。
 
で中程の座席ですが、これが背ズリって居住性として…もう何も言うまい。
 
ドア横もこの通り。こちら側は全席救いようが無さそうですね。足が付いているのは、背ズリが手前に張り出した分を稼ぐためなんでしょう。
 
で、反対側は似ていますが足はありませんよ、と。
 
最大のポイントは、ミトーカデザインでたまに見かけるベビーサークルと、その奥。
 
これ、元々たま駅長存命時に、たま駅長が電車に乗る時に入っていたゲージらしいです。
 
今でも専用ゲージは残されており、中にはたま駅長の盾が納められています。ここは以降の駅長ですら乗車不可なんですかね、やっぱり…。
 
車端部の座席です。こちらは足の付いたソファ調座席ですね。
 
向かい側はガッツリ書庫。手前にちょっとした腰掛けがありますが、もしかしてここも着席定員に入っているのでしょうか…? そうそう、床面は三毛猫をイメージしたカラーのフローリングとなっていますが、乗り降りの通行が少ない観光列車はまだしも、ワンマン運転で行き来が多い2両編成のローカル線にして結構傷みが出て来ています。これを維持しようと思うと大変だと思うのですが、さすがにそこまでの気力は無いのか乗車時点ではそのままでした。
 
さて車内はここまでとしまして、駅にも目を向けてみましょうか。「和歌山電鐵に乗ります」と呪文を唱えてJRの改札をすり抜け、ホームへ上がる階段の壁にはたまのイラストが多数貼り付けされています。
 
貴志駅はかつてひなびた木造駅舎だったのですが、すっかりたま仕様に変貌しております。
 
そして…この鉄道を救った存在とも言えるスーパー駅長、たまです。某兄弟漫才師の弟に「何が出来んねんて、その辺の三毛猫やし」と言われていましたが、その辺の三毛猫が引き起こした世界的なネコノミクスは犬猫勢力の逆転を牽引した立役者でもあります。たま没後もニタマやよんたまが駅長職を引き継いでいますね。
 
その後も、このようにイラストとしてたまは在り続けております。鉄道を救った猫、偉大なり。