しなの鉄道115系「ろくもん」仕様車 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

 

真田の里を走るしなの鉄道、日本初の新幹線の平行在来線廃線区間として乗客獲得は大きな課題でございます。そんな課題を持つしなの鉄道が乗客獲得のために出した答えが、当時は今ほどブームになっていなかった観光列車でした。この列車登場以降、日本各地で趣向を凝らした観光列車が続々と登場してきた感があります。

 

うん、種車はまぁ順当に115系、他の編成はともかくどこまでも使い倒す気満々です(^^;; 最近新型車両の登場が発表されましたが、この編成はどうするつもりなんでしょうね? 廃車となった編成から機器を掻っ攫った上で予備品として保持してしばらくは生きながらえそうな予想をしていますが・・。

 

車体は真田の赤備えをイメージしたものなんでしょうね。クーラーキセやパンタグラフ、下回り以外は全て統一したデザインとなっています。

 

その名も「ろくもん」、真田の軍旗である六文銭から取ったものですね。方向幕はこの通りで、表示方法は配置が違えど何となく国鉄チック。

 

前面は列車名が入ります。

 

で、積雪も相当あると思われる当路線ですが意外や意外、菱形パンタとなっています。

 

で、車体のあちこちにロゴやマークが入ったこのデザイン、またあの人がやらかしております。

 

元々3扉の115系ですが、「ろくもん」化で中央の扉が埋められ窓が入っています。当時の氏曰く「ななつ星を除けば日本の観光列車No.1」とのことですが、はてさて車内はいかがでしょうか。

 

車内です。まずは軽井沢方、指定席車の1号車から参りましょうか。元の115系を考えれば順当に大変貌を遂げております。木を多用したこのデザイン、最近の同氏が手掛けた観光列車ならどこでも見ることが出来ますし数をこなした側からすると食傷気味ではありますが、それは敢えて狙ってやっているとのこと。

 

ドアです。両開き式はそのままに塗りドア化されています。色は赤備えだとは思いますが、九州辺りの先行事例があるだけに既視感は拭えません。なお、1号車では乗務員室側の扉だけが開きます。

 

で、車端部側のドアはどうやってるかと言いますと、半ば車内販売の移動可能なラック置き場とされています(^^;;

 

足元にはマットが敷かれています。真田家の家紋のひとつ、「州浜」が描かれたもので、主におめでたい時に使われたそうな。だ、誰ですか、ミッキーなんて言ってる人は(^^;;

 

車端部です。暖簾が設置されているのはこのグループの観光列車の共通項ですね。右側に記念撮影スペース的に使われているソファタイプのロングシート、左側には車内販売のブースが設置されています。

 

最前面です。乗務員室についても暖簾で仕切られています。業務感を出さないように工夫している点は恐らく同氏の意向なのだと思います。左側に鎮座しているのはATSの車載機、こちらも赤備えとなっています(笑)

 

で、仕切り扉上には「ろくもん」のロゴとドーンデザイン、改造を手掛けた大阪車輌工業のステッカーが貼り付けされています。

 

天井です。ゴツく張り出した冷房装置が、「ろくもん」化でかなり抑えられたように思います。それでもベンチレータは残されていますが…。照明は蛍光灯からスポットライトに改められ、荷棚も木製のものに取り替えられました。

 

窓です。ここはいかんともし難い部分、窓枠が木を追加したものとなり、日除けが簾製のフリーストップ式ロールカーテンに改められた以外は配置等も相変わらずです。なお、戸袋部分の日除けはちょっとクセがあり引き出しにくくなっています。

 

で、中央の埋めた扉部分。上下の窓がハメられています。また意外だったのは戸袋窓がそのままで残されていること。費用は多分こちらの方が安く付くからだとは思いますが、車窓から遠くなるので手前側の窓は無い方がいいと思うのですが…。

 

それでは座席へ参りましょう。まずは4人掛けから。

 

木のフレーム自体は同氏が手掛ける観光列車でよく見かけるそれですが、京都丹後鉄道の松シリーズと比べるとクッションが追加されています。さすがにマズいと思ったか(笑)  この座席はクッション表地がレザーとなっています。

 

テーブルは折り畳み式で、面積を広げることが出来ます。ボックスシートからの出入りを考慮したデザインとしては中々良い案だと思います。

 

続いて2人掛けボックスシートです。なお指定席は1人からでも申し込みが可能ですが、向かい側に人が座ってくる場合があります。この辺りは2号車のようにカウンター席があればなぁとも思います。

 

こちらのテーブルは折り畳み式ではなく目一杯面積を取っています。窓側から出るという発想がありませんからね…。木のフレーム自体がやや柔軟性を持っているため座ると微妙にリクライニングする格好となりますが、それでもかなり良い姿勢となりますね。

 

通路側は出入りを考慮して肘掛けが短くなっています。4人掛けだと、窓側と通路側とで肘掛け格差が生じちゃってますが…。

 

さて、中央のドアを埋めた部分には木のプールが設置されました。長野から軽井沢まで乗り通せばそれなりの時間になるだけに、子どもが暇を潰せる場所があるのはいいですね。同様の設備はJR九州の「あそぼーい!」でも見られますね。

 

向かい側にはちょっとした腰掛けがあります。

 

最前面の運転台直後にはロングシートが残されています。モケットは貼り替えられていますが…。なお、ここはさすがに指定席区画からは外れていますがなぜかテーブルも付いています。全席ボックスシートのちょっとした避難スペースとも言えそうです。

 

車端部の車内販売カウンターです。アルコールやソフトドリンク、真田紐などの工芸品などが販売されています。なお、駅弁は事前予約制となっているため車内では扱っておりませんのでご注意を。

 

で、先程チラリと登場したドアに侵攻したラックにも品物が置かれています。七味が有名なんでしょうか?

 

車内販売カウンターの向かい側にはロングシート配置の記念撮影スペースが用意されています。こちらにもテーブルが設置されており、記念スタンプなどが備わります。

 

そしてロングシートには記念撮影ボードや制帽が置かれており、自由に使用することが可能です。

 

再び暖簾をクローズアップ。こちらにも州浜、めでたい暖簾ですね(笑)

 

続いて2号車へ参りましょう。1号、2号では食事付きプラン専用車両となります。とは言え車号は「モハ」、史上初の「モシ」とはなりませんでした。

 

車端部の窓は閉鎖されており、そこにはでっかいロゴが入っています。しっかりナイフとフォークも入っていますね。

 

窓下には「Restaurant Car」とあります。

 

2号車の車内です。こちらはロングシートタイプの座席が主体となっていますね。なお指定席プランでも、他の車両への見学は自由となっています。

 

車端部です。両側にロングシートのソファ席が配置されています。暖簾はデザインが異なっていますね。なお車内放送のスピーカーはなんとBOSE製です…。

 

いつもより低い視点から、長野方の車端部です。こちらは車内で頂ける食事を盛り付けるいわばキッチンとなっています。

 

六文BARですか。ここのシェフ(大将)はバーカウンターを横切るだけで軽く挨拶をして下さいます。ちょっとした気配りですね(^^)

 

向かい側には地酒の瓶が飾られています。何だかんだ米所信州、日本アルプスのおいしい水もあることですし、美味い酒が出来るんでしょうね。

 

窓は1号車と同様ですが、飾り照明が追加されています。

 

さて座席です。まずはカウンター席、左右両側ともに配置されているためお好みの景色に合わせて座席を選択できます。モケットの柄が座席ごとに異なっているのも、異なった柄が全て見たことがあるのもやっぱりミトーカデザイン(苦笑)

 

そして点対称に位置するカウンター席です。座席モケット色が赤系統となっています。足元はヒーターがデーンと置かれており中々狭いと思います。構造上座席下にヒーターを付けられなかった苦肉の策なんでしょう。

 

で、ランチプランではこのようにシートやメニューが敷かれます。

 

お次は通路側を向いたロングシート、ソファタイプの座席が並びます。

 

そして、色違い。

 

単独で1枚。2人組で使う分にはいいですが、手前は通路でちょっと煩わしいかもしれません。

 

手前にはテーブルが備わり、飾り照明も仕込まれています。

 

各区画の壁にはイラストが入った額縁が設置されています。まぁこの辺りはミトーカクオリティと言ったところですね。

 

その向かい側は鏡となっています。

 

テーブルはやはり折り畳み式、ただし広げると通路へは出られませんのでご注意下さい。

 

車端部のロングシートです。背ズリが湾曲したソファ風のもの、これもよく見かけますね。

 

向かい側はモケット違いとなっています。

 

そしてテーブルはやはり折り畳み式です。それにしてもここまで大きいのは初めてかもしれません(笑)

 

中央の窓を埋めた部分は唯一ボックスシートとなっています。でもね、「ろくもん」で唯一にして一番ダメなのはこの4人掛けの区画。無理矢理4人掛け席とした関係で座席を寄せすぎですし、加えて窓を大きくしちゃったもんですから肘掛けが全く使えません。というより木の張り出した窓枠の角が腕に食い込むというちょっと信じられないこの設計、しなの鉄道というより同氏の設計がやらかしちゃったんじゃないかと。せめてどこぞの青いディーゼル特急のように窓枠削った方がいいっすよしなの鉄道さん。

 

そして向かい側の2人掛け席です。そうですねぇ、それくらい窓枠から離れていれば、窓枠とは干渉しないのですが…。通路幅の関係もありますし、結構難しい問題ではありますが…。なお、この席は窓側へ微妙に角度を付けて配置しています。

 

座席下にヒーターを吊るせない関係から国鉄型気動車のような床起きの配管から暖気を出すようにしています。

 

さてラストの3号車へと参りましょう。

 

1号車同様、車端部側は締切扱いです。またこの車両も食事付プランが用意された列車では専用車両となります。

 

車内です。こちらは個室風となっており、後年に改造されたJR九州の「或る列車」が洋風なのに対して和風となっています。

 

車端部です。トイレや車販準備室となっています。

 

最前面です。こちらにもATSがデーンと置かれています。面白いのは「ろくもん」のサイトの座席配置図で、まさかの「ATS-P」と書かれています(^^;;;  果たしてその意味というか、「そうか、ここにはATS-Pがあるのか!」と思える人がどれだけいることやら(笑)

 

お席へと参りましょう。通路とは障子で仕切ることが出来ます。

 

中はこの通り。窓割りはこの際笑って済ませて差し上げろ、と言った感じですね。

 

テーブルは固定式、2号車のテーブル席とパーツ自体は一緒です。

 

こちらの座席も通路側の肘掛けがやや短くなっています。

 

お料理がセットされるとこんな感じ。柱が入る席だと視界が遮られるのは仕方ないとして、先程述べたように後付けの木のパーツの角が容赦なく窓側の腕を襲うので、もう少し工夫が必要かと思うのです。

 

車椅子の留置スペースです。ケトルや湯呑みの準備スペースにされていますが…。

 

トイレです。車椅子対応の大型のものになっています。

 

運転台直後のロングシートがあった部分にはソファ席がテーブル付きで設置されていますが、個室席の車両にしてどのように使って欲しいのでしょうか…。

 

その向かい側。モケットだけでなく形状も微妙に異なります。ここのロングシートは元々3人でしたっけ?

 

ドア横には鏡があります。

 

そしてここにもショーケース。

 

さて、「ろくもん」に乗ったからには食事プランは欠かせないということで少しだけご紹介。

 

席に案内されると既にお重が二段積みで用意されており、中には様々なおかずが詰められています。この中で茗荷を甘く味付けたものがあったのですが、茗荷が苦手な私でも非常においしく頂けました。なおドリンクはペットボトルの水がデフォルトで用意される他、プラスワンで飲み物を頼むことが出来ます(左側の地ビール2本がそれです)。

 

その後に出てきたお吸い物。やさしいお味でした。器が木で出来ているのが信濃らしいですね。

 

お次に出てきたのは豚の角煮が載った白米。角煮は非常に柔らかく作られており、味も絶品です。

 

個人的に、しなの鉄道の観光列車のレベルは非常に高いなぁと感じたのは、アテンダントさんより「ご飯のおかわりはいかがですか?」と言われたのでお言葉に甘えたところ、白米の上にジャコのおかずを載せてくれたことです。アテンダントさんがお願いしたのか大将の心意気なのかどちらかは分かりませんが、他にもお重のおかずが残っているにも関わらずこの配慮には非常に感激した次第。

 

ドアが開く前には、なんとほら貝による演奏があります。ほら貝を吹くのはかなり難しいと言われており、女性でもしっかり吹いているのは「すごい」の一言です。また運転士さんもかなり熟練された技で運転しており、小諸から担当した運転士さん、発車時に「ズンッ」とショックが来るクセがある115系にも関わらず、ほぼショックの無い滑らかな発車を見せてくれたのでした。それこそ、大げさに言えばJR世代車両に乗ってたのかと思ったくらい(笑)

 

そして、下車時にはなんと手土産まで頂きました。「州浜」がデザインされたタオルハンカチと半生の信州そばがメッセージカードを添えて入れられていました。アテンダントさんのソフトレベルは非常に高いものがあり、各所で満足の声とファンが多い理由が分かったように思います。個人的にもまた長野に行く機会があれば乗ってみたいと思いました。車両設計の粗さが変わったのかも含めて(苦笑)

 

軽井沢駅には、「ろくもん」にてもらえるソフトドリンクの引換券が使えるカフェがあります。旧駅舎を再利用しており、席やテーブルを見ているとやはり某デザイナーによるものなのでしょう。うん、やっぱりこういうところで本領を発揮している感を持っている一利用者です。

 

またかつての駅構内を「森の子リスキッズステーション」として、子どもの遊び場として整備しています。

 

その中には・・169系、なんでそんなに黄色いんだよ!