JR西日本35系4000番台(普通車) | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

「SLやまぐち」、国鉄→JRにおけるSL運転の発祥となる列車であり、数あるSL運転線区でも有数の難易度を誇る山口線を駆ける列車でもあります。それはもうSLを運転するだけなら隣の美祢線の方が向いてるんじゃないかと思うくらい(^^;;

 

2017年9月、これまで「SLやまぐち」として活躍してきた12系から交代する形で「見た目は旧型、素顔は新車」の新型客車(形容詞が潰し合っている…)が登場しました。

 

JR東日本では「ばんえつ物語」仕様車をリニューアルや一部車体のみ新製で装いを新たにしましたが、こちらJR西日本は全JRにおける元祖という意地があったのか、「よろしい、ならばこちらは客車を一から新製してやる」と言わんばかりの、まさに「爆誕」という言葉が正しい位の登場となりました。

 

その名も「35系」、国鉄時代の旧型客車として同系列が存在することから4000番台が付与されています。形式こそ重複する形となりますが、それこそ「旧型客車をイメージして復刻製造した」と言った方が正しい特徴があります。

 

まず一つ目は台車が空気バネのボルスタレス台車となっていること。12系でも空気バネ台車を採用していましたが、決して路盤が良いとは言えない地方交通線の山口線でも滑るように走っていきます。

 

天井には冷房装置が載っています。一応なるべく目立たないようにはされていますね。その他、SLの自動空気ブレーキを電気指令ブレーキに読み替える装置を積んでおり、客車列車特有の初動時に発生するいわゆる「ドン突き」が軽減されています。ブレーキ緩解時の音もなんだか321系以降の電車チック。まずは普通車から参りましょうか。

 

デッキドアです。二つの窓に白い塗りドアは旧型客車のそれを忠実に再現しています。ただ、当時は開き戸で完全手動扱いで走行中も開けっ放しなんていう状態でしたが、安全性も考慮して自動式の引き戸とされています。また開閉チャイムも積んでおり、225系以降のJR西日本世代車と同じチャイムが鳴ります。

 

ゴミ入れです。飲料系とその他で分別されています。周りがステンレスとなっているのが西日本らしいですね。

 

ドアには半自動機構も備わっていますが、現在の運転では使用されることはありません。

 

荷物置き場です。近年のインバウンド需要に応えた形でしょうね。

 

中には枕木方向を向いた車両もいます。

 

トイレです。時代は進むもので、普通列車ながら温便座のウォシュレット付洋式トイレが備わります。戦前製客車はここが木の扉で作られており「便所」の楕円プレートが付けられているのですが、そこまでは忠実にはやりきれなかったようです(笑)

 

向かい側の男性小用トイレです。かつての旧型客車には無かったので開き戸となってますね。

 

洗面台です。窓の下はタイル張りとなっています。これも旧型客車の特徴をよく捉えています。

 

車内です。ある世代では懐かしく、別の世代では新鮮なインテリアが広がります。戦前製のオハ35をモチーフにしているとは思うのですが、色調はかなり明るめでそういう意味では雰囲気は異なると思います。ただその辺りは観光列車として多少の色眼鏡を付けて見てやるべきだとも思います。

 

デッキとの仕切りです。仕切り扉は窓が磨りガラスとなっており当時の雰囲気が出ていますが、これでもセンサーによる自動開閉機構が備わっています。

 

広告枠にはいつ頃になるか分からないですが鉄道路線図が入っています。JR生まれの駅は勿論入ってませんし、西宮駅もまだ「ノ」が入っています。その他、今や第三セクターになった路線や計画がされていたものの工事や計画が中止され忘れ去られた路線も計画線として入っていて、見ていると中々興味深いものです。

 

かと思えば、となりにはなんとLCDディスプレイが備わります。運賃表示機では一足早く採用されていましたが、何気に旅客案内用としては広島支社管内の列車では初採用なのでは?

 

天井です。冷房搭載にしてこの丸い天井を造れたのは素直に「スゲェ」としか言えません。その冷房の吹き出し口は中央の丸照明横のラインに仕込まれています。

 

そして、中央のメイン照明だけでは照度不足と判断されたか、肩部分には間接照明が仕込まれています。どちらもLED灯となっています。

 

荷棚もこの通り網棚となっております。本当は前任の12系客車同様布製で緩い感じにしたかったらしいのですが、難燃性的にアウトだったようで金網に落ち着いています。支えや帽子掛けの留め金など、当時を意識したであろうさりげないオシャレさが見てとれます。

 

窓です。こちらは当時よりもワイドなサイズとなっております。もちろん開閉も可能で、ロックを外す金具は金色に塗られています。

 

なお、日除けは本物の木を使用した鎧戸となっているのですが…ご覧のテプラの通りです。何でも、ホントは新製後の試運転時に色々あったようで…。

 

座席です。木を使用したフレームに紺色のモケット、どこからどう見ても旧型客車のボックスシートです。

 

ほぼ直角の背ズリを見るに、座り心地は最初から良くも悪くも度外視したものとなっています。「昔はこうだった」と言われればその通りですから(^^;; それでも、シートピッチだけ見れば先代の12系時代より5cm狭くなっただけで、見た目としては広々としています。

 

中央には固定式のテーブルが備わります。縁取りもされており、カーブでもモノが滑らないようになっています。

 

そしてJR西日本では在来線新型特急列車を差し置いて全ボックスシートにコンセントが設置されました。これだけでも十分快挙ですが、出来ればもう一口増やしてもよかったように思います。床下のディーゼルエンジンによる発電となるため、給電量に限りがあるのかもしれません。誰か一人が四つ股口のアダプタを持ってきていれば、そのボックスの皆様はとりあえず幸せになりそうです。ただし、電圧降下や停電が起きると運命共同体となりますので程々に。

 

一部車両には車内側に荷物置き場があります。

 

二段式で、ここにある窓だけ荷物による窓ガラスの破損を考慮して日除けが降ろされています。

 

床です。今でこそフローリングの床というのは増えてきた気がしますが、こちらは見た目というよりも復刻が主眼点となっています。ただ、難燃性を考慮してか少しツヤが出たものとなっています。

 

さて、中間の3号車には各種サービス・イベントスペースが集約された車両となっています。先代の12系ではここが充実していなかった感がありますが、逆にここのスペースを取ることで編成定員が大幅に減少しています。

 

車内販売カウンターです。アルコールを含むドリンクや簡単なおかし、各種グッズが販売されています。なお、駅弁は新山口や津和野で購入することとなります。車内での販売はありませんのでご注意下さい。

 

そして隣にはゲームコーナーがあり、2種類のゲームを楽しむことが出来ます。こちらは運転士さんのブロック、運転シュミレータです。手前の椅子は順番待ちのための待ち合い席です。

 

運転席の計器が再現されています。SLの運転士さん、やること多いんですよねぇ。

 

その向かい側には機関助手のブロック、缶焚きゲームです。こちらも、バランスよく石炭をくべないとボイラーが暖まってくれないんですよね…。

 

ゲームコーナーの向かい側は資料展示スペースとなっています。

 

ボタンを押せばSLの仕組みが分かる仕掛けも。博物館と同等の内容が車内で見ることが出来ます。

 

続いては津和野方先頭車、スハテ35形です。

 

戦前製客車の代表格、オハ31形客車をイメージしたものらしく、ダブルルーフが特徴です。このダブルルーフのおかげで、冷房装置が目立たなくなっていますね。なお、戦前にはスハテ31という形式は存在せず、この列車にて登場した形式となります。

 

窓はリベット打ち風になっています。中々忠実に再現されていますね。

 

で、この車両はバリアフリー対応車両となっているため、トイレがある部分は見事に壁となっています。

 

サボ受けも備わります。

 

デッキドアです。車椅子の通行を考慮してやや幅広となっています。なお、「そりゃそうだ」的とはなりますが旧型客車にあったステップは無くなっています。それでも、カーブの外側にホームがある新山口駅などではそれなりの段差が生じます。足元に注意しましょう。

 

トイレです。さすがに円筒形ではありませんが、扉が広くなっています。

 

洗面台です。こちらには窓がありません。

 

洗面台をアップで。左側にはなんとタンツボも備わります。それでも、蛇口は自動化され、石鹸も液体式のものが備えられています。

 

多目的室です。普段は施錠されており、使用の際は車掌さんへお声掛けするようにもアナウンスされています。

 

珍しく扉が開いていたので一枚。中にはボックスシートが設置されています。座面と背ズリから下を引き出すことで、簡易ベッドとして使うことも出来ます。

 

記念スタンプです。左側には記念乗車証明証もあります。

 

車内です。木で溢れているのはさすがに戦前の旧型客車をイメージしただけあります。普通車側の展望車も兼ねていることもあり、指定席料金は同額ながらちょっとしたスパイスとなっています。

 

デッキとの仕切りです。こちらも窓が磨りガラスとなっています。また幅は出入口のドアと同様広くなっています。

 

塗りドア仕様ながら自動化されているのはアンバランスですね(笑)  タッチの目印横には赤外線センサーが仕込まれています。

 

仕切り扉横にあるお手洗の使用を知らせるランプです。ダイヤモンドカット風のランプ、こちらも再現率はかなり高めです。

 

そして中間車と同様、LCDディスプレイが備わります。

 

こちらは展望スペースとの仕切りです。なお、機関車の背後に連結される場合は閉鎖されます。

 

車番は手書き風となっています。

 

展望スペースの図。完全オープンデッキとなっています。やはり転落防止のため、柵は高くなっています。

 

天井です。ダブルルーフ状としているのは前述の通りで、明かり取り窓としては機能していませんが補助照明が入れられています。

 

窓です。こちらはボックス間二枚の配置となっています。日除けは中間車と同じく2枚となっています。

 

座席です。中間と同じボックスシートですが、登場年月が古いオハ31をモチーフとしたためか背ズリが板張りとなっています。

 

座り心地なんて求めるべくもありませんね。座席だけで見れば個人的には「ハズレ」と捉えるしかありません。

 

バリアフリー対応区画です。他の指定席列車と同様、とあるタイミング以降しか発券されないこともあり空いていることもしばしば。

 

壁際の1人掛けのみ、肘掛けを跳ね上げることが出来ます。


グリーン車へ続く