JR北海道キハ183系 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。


長らく北海道の特急用気動車として活躍しているキハ183系です。国鉄時代からJR時代にかけて長年に渡り製造され、その間に施された改造、定期運用には入らないリゾート車両やお座敷車両を含めると、その全容を掴むのは決して容易ではありません。

画像は初期に製造された車両で、「スラントノーズ」車両と言われています。末期は「オホーツク」専任となった感じもしますが、車両のやり繰りの関係か時々「北斗」や「サロベツ」に使用される時もありました。現在は全車引退しており、2両が保存車として余生を送れるようになったようです。

こちらは「オホーツク」に時たま連結された「白坊主」こと100番台。かつて車両需給の関係から先頭車化された車両で、4両が存在していたものの最後は唯1両のみの存在となった珍車中の珍車でした。 「オホーツク」では、最近遠軽方先頭車に関しては後述する後期に製造されたN183・NN183系が充当されることが多かったですが、現在は「北斗」から流れてきたN183・NN183系に置き換わっていますね。

それでは参りましょう、デッキドアです。国鉄型車両らしい、化粧板の貼られていないドアとなっています。低床ホームに対応するため、ステップが設けてあります。足元には注意しましょう。

トイレです。中は意外ながら洋式化されていました。

洗面台です。特急型車両らしく、温水・冷水の両方が出るようになっています。

車内です。座席には変化が見えますが、周囲がそれに付いて行けてません(笑)

座席です。国鉄時代オリジナルではなく、グレードアップ指定席化で取り替えられたキハ281系の座席に改座されていました。当時と違うところといえば、フットレストと手すりを取り払い、ヘッドレスト肩部を少し張り出したものにして、モケットを789系自由席と同じ臙脂色に貼り換えていた点でしょうか。

当日は半数が指定席として運用されていたため、該当席には指定席のリネンが取り付けられていました。

そして、こちらもかつて「オホーツク」に連結されていた半室グリーン車の普通席区画です。ミニマムな空間で、固定客がいたとかいないとか。

デッキとの仕切りです。ドアは自動化されています。

天井です。同時期の車両と比べると、冷房吹き出し口がラインフロー化され若干進化していますね。


座席です。他の区画とは異なり、こちらはキハ283系の座席からフットレストを撤去しモケットを臙脂色に貼り換えた座席です。特徴的な赤い持ち手が残っているだけでなく、肘掛のモケットも283系時代のままで残っています(苦笑) その一方で、座席の台座が最近北海道でよく見かける「エ」の字をしたものになっているのが意外です。脚は伸ばせるようにはなっていますけどね。

で、この車両はかつては全室グリーン車だったわけで、普通席部分はこのように窓割と配列が合わず、修行席の列もあったり・・。これも今や思い出ですね。

それでは珍車、100番台へと参りましょう。機器室が車両の結構な部分を占めているようで、客室に入るまでにこのような広い通路を通ることになります。

その途中にはこのようなジャンプシートが。何やら寝台列車っぽさが出ているなぁと。というか、「おっ!?」と思ったのはこの青いモケット。かつて特急から普通列車まで、普通車には当たり前のように貼られていたこのモケットですが、特急型車両で国鉄時代伝統の青いモケットを残している貴重な存在でした。

仕切り扉を外側から。窓はかなり小さいもので、こちらがオリジナルでしょうね。

足元に目を向けると、このようなものが。これ、自動ドアの一種でして、この四角形の部分が自動ドアのボタンとなっており、ここに体重をかけるとドアが開く仕組みとなっています。昭和時代によく見ることが出来たものでして、幼少の時に乗っても開かないことから飛び跳ねてドアを開けた方も多いのではないでしょうか。

車内です。他のキハ183系とは一味違う印象です。

仕切り部分を内側から。木目調となっており、ちょっぴり高級感が出ています。個人的には117系辺りの仕切りを思わせます。

天井です。国鉄型車両らしく、冷房吹き出し口とカバーが掛けられた蛍光灯のみの非常にスッキリしたもので、必要最低限しか無い国鉄クオリティを感じます。

窓です。2席に1枚の割り当てで、日除けは横引き式のカーテンとなっています。

座席です。登場当初は全国各地で出回っていた簡易リクライニングシートが装備されていましたが、500番台登場後一斉にそれと同等の座席に改座されています。モケットはキハ283系と同じ、タンチョウ柄となっています。500番台の初期投入車と比べると、ヘッドレスト肩部分に張り出しをつけてホールド性を少し良くしていることが挙げられますね。

デッキ仕切り際の席には固定式のテーブルが備わります。相変わらず面積の小さいこと・・。

続いてグリーン車のトイレです。男性小用も備わります。

グリーン車内です。かつては全室設定となっていたのですが、グリーン車と普通車との需給を見直した結果全室グリーン車は1両を残して半室化された経緯があります。先述の100番台と全室グリーン車の両方が連結された場合、その道の人は狂喜乱舞するそうな(苦笑)

座席です。普通車同様こちらも改座が行われており、かつてキハ281系に搭載されていたグリーン席と同じ座席を使用しています。テーブルはインアーム式のみですが、面積はそれなりに広いですね。

そして1人掛けです。センターアームレストに見えている窪みですが、メガネなどの小物をいれるためのスペースだそうな。忘れていく人、多そうだなぁ(^^;;

全展開の図。座り心地ですが、一見グリーンにしては華奢だなぁと思いますが、実際に腰掛けてみると、意外にもしっくり来るのが不思議です。

デッキ仕切り際の席にはお馴染み固定式のテーブルと、フットレストのユニットが設置されています。テーブルは面積が広げられていますね。これが物理的な格差、と言った所でしょうか。

国鉄も末期に差し掛かったころ、183系にも新たなグループが誕生しました。前面は非貫通構造をやめ貫通構造とし、照明配置も変わっています。同時期に製造された185系にも少し似ていますね。キハ183系500番台、通称「N183系」と呼ばれ、JR化後に120km/hに対応するよう改造された550番台のグループは「NN183系」と呼ばれています。これだけ色々変わっているのに183系グループに押し込むのは強引過ぎやしませんかねぇ・・。今や「オホーツク」専用となった感も有ります。

更に130km/h運転に対応するグループは、2550番台の区分を与えられています。現在では無用の長物となっていますねぇ・・。

先頭部にはHokkaido Express Trainを略したHET183のマークが入れられています。

デッキドアです。この辺りは初期車と変わりません。

国鉄伝統、くずもの入れも健在です。

トイレです。男性小用は後の改造により設置されています。

洗面台です。初期車から引き続き温水と冷水の両方が出るタイプです。時代と共に換気機能も進化したのか、小窓が無くなっています。

車内です。全体的に淡白な色使いとなっており、なんだかぼやけて見えますね(^^;; 「北斗」運用時は自由席として使用されていますが、後述のグレードアップ座席に交換された車両も多く、更に「オホーツク」化による運用数の減少で、この座席で運用される車両はめっきり減ったように思います。

座席です。日本で初めて登場当初からフリーストップ式のリクライニング機構を持った普通席でして、この座席が登場して以降、既存の座席の置き換えも含めてその流れが全国的に広がっていった経緯があります。今でこそ背ズリが多少薄めで座り心地もそれほど良いとは思えませんが、簡易リクライニングシートと比べれば機能性・居住性は飛躍的に向上しており、日本中の普通車にフリーストップ式のリクライニングシートを普及させていく原点となったこの座席の功績は大きいと言えるでしょう。

台座のヒーター形状を工夫し、斜めに切り落としてつま先を入れ込めるようにしていることなど、細かい気配りを感じることが出来る座席となっています。

キハ283系からスタートした指定席のグレードアップ化、一定の評価を得たものと考えられ、以降キハ281系「スーパー北斗」と共に、この「オホーツク」系統のキハ183系にも同様の座席を搭載した車両が多数出ています。今や普通車の座席はおおよそこの座席になっているんでしょうね。

デッキとの仕切りです。仕切り扉は窓が少々引き下げられています。仕切り扉上の差込札式の自由席表示が懐かしいですね。

荷物スペースを有するデッキとの仕切りです。ここには右側にフリーペーパーのラックが設置されていますね。

最前面です。左側は壁となる修行席ですが、右側は展望に配慮し大型の仕切り窓となっています。

天井です。冷房吹き出し口が連続調となっています。この辺りは時代の変遷と言ったところでしょうか。

窓です。周囲の桟がFRP製になっていますね。当時の流行といえば流行。

座席です。キハ283系の指定席をグレードアップする際に搭載されたこの座席、北海道中に広がっていった感じがあります。しかもこのキハ183系では、指定・自由両方ともにこの座席が搭載されています。もはや「指定席のグレードアップ」という名目はどこへやら・・。座り心地ですが、相変わらずピンクの部分の薄さというか硬さが気になります。腰の部分にゴチッと当たるんですよねぇ・・。何とかならないものでしょうか。

ヘッドレスト部分に可動式のピローが付いているのも同様ですね。程よい柔らかさですごくありがたいのですが、そのサイドにあるウイングアップ機構がねぇ。相変わらず狭いです。

デッキ仕切り際はお馴染み固定テーブルです。中央部分を凹ませて、やんわりと占有面積を示しています。

最前面直後はこの通り。固定テーブルの奥には非常梯子が収納された台があるのですが、台の上はビミョーに傾斜が付けられているため、モノを置くのはあまりおススメしません。

1両に1箇所、2段式の荷物置き場が設置されています。車内側に設置されているため、セキュリティ的にも安心です。

続いてグリーン車です。バブル期のグリーン車といえば、ダブルデッカーやハイデッカーなど、とにかく高い視点からの展望を意識した車両が多く登場した時代だったと思います。この車両もご他聞に漏れずハイデッカー仕様となっており、デッキから客室へはスロープによるアプローチとなります。目の錯覚でしょうか、画像では長い通路にしか見えませんが、しっかり坂道になってます。

トイレです。こちらも洋式化されています。

向かいの洗面台です。鏡上部に、エジプト文字のような模様が描かれています。うん、バブルっぽいですね(何が?)。

携帯電話の通話スペースです。かつては喫煙スペースとして使用されていたのでしょうね。

車内販売準備室です。運用時はカーテンが閉められていましたが、中には流しや湯沸かし器、コーヒーメーカーなどが備わっており、ちょっとした喫茶店感覚となっています。

その向かいにはちょっとした休憩スペースがあります。

こちらにもジャンプシートが。こちらのモケットは青くありません。国鉄末期~JRにかけて登場した車両なので、この頃にもなると青いモケットで製造された車両もいなかったのでしょうね・・。

さてようやくグリーン車内です。1+2の3列配置で座席が並びます。元々は2+2の4列配置でして、「ハイデッカーにしてあるから我慢してね」と言った感もあったのですが、後に登場したキハ281系グリーン車が2+1配置となって登場したため、その車内レベルに合わせるために3列に改座されるという、結果としてアコモデーション的には中々充実した車内に仕上がっています。

デッキ仕切りです。断面がかなり高く取られており、車内の反対側は車内にスロープが配置されているため、片側だけやたら断面積が大きくなっています。

天井です。電球色の照明が照らす光がやさしいですね。

窓です。1席につき1枚が配置されています。日除けは横引き式のカーテンとなっています。

座席です。座席は最近改座されており、この系統の座席はキハ281系やキハ283系にも導入されています。

1人掛けです。特徴としては、横に大きく張り出したヨーロピアンスタイルのヘッドレストでしょうか。ピローは可動式となっており、上下に動かして高さを調節できます。ただ一つ意味不明なのが、なぜだかピローにもウイングアップ機構が備わっているということ。グレードアップ指定席に水準を合わせたといえばそうかもしれませんが、わざわざヨーロピアンスタイルのヘッドレストとしてプライバシー性を保っているのですから、無理にウイングアップ機構をやらかす必要もないでしょうに・・。それならばピローの横幅に還元してやれよ、と。

全展開の図。座り心地としては、最初はピンと張った布の上に身体を預けるような感じがしたのですが、しっかりと腰掛けると自然とヒップポイントに収まるような感想を持っています。

センターアームレスト先端下部には、コンセントが人数分設置されています。この辺り、N700系っぽいかなぁと。側面にはリクライニングボタンと読書灯のスイッチがあります。

そしてサイドアームレストにはドリンクホルダーが設置されています。ここは逆にJR西日本っぽいですよね。全体的な感想として、JR東海や西日本の座席ノウハウをベースとして、JR北海道らしさを加味してみました、と言ったものですね。

ヘッドレスト部分には読書灯が備わります。張り出したヘッドレスト部分に仕込むことは出来ないので、その収納ボックスがモケットに巻かれた状態で飛び出して設置されています。機能性はともかく、見てくれがよくないですねぇ(^^;; 本体は可動式となっているので、好みの位置に調節して使うことができます。

デッキ仕切り際の座席はテーブルが大型化されたオフィスシートとなっています。

最後は宗谷本線系統の「サロベツ」専用(だった)編成です。3両編成を基本としており、増結時には北斗用の車両が駆り出されたことがあるそうな。2016年度は「北斗」系統の予備車不足から札幌方の先頭車がスラントノーズ車となり、2017年3月からはキハ261系0番台に置き換えの上、運行区間が旭川-稚内間に短縮されます。今ではこちらも「オホーツク」系統へ回っていますでしょうか。

で、「北斗」で偶然運用されていた元「サロベツ」仕様車。他のN183系と変わらないように見えるのが少し残念ですが(苦笑)

デッキ、トイレです。こちらもやはり洋式化されています。

洗面台です。先程の北斗系統と比べると、間違い探しの如く手洗い石鹸のデザインが異なっています。

そしてもう1両は鏡が丸型となり、蛇口も水のみとなっています。

荷物置き場です。「北斗」編成と違い、こちらはデッキ側に設置されています。

自動販売機です。サッポロの販売機が置かれていましたが、こちらも終焉ですね。

車内です。3両編成全ての座席の色が違っており、ある意味特徴と言えたでしょう。画像は赤色の座席を装備した車両。指定席として運用されていました。

そして中央2号車の緑色の座席を装備した車両。こちらも指定席として運用されていました。

デッキ仕切り扉です。サロベツ用に改造されている割には、仕切り扉は旧来の窓が小さいものをそのまま使用しています。

そしてこちらが2号車。化粧板が黄土色となっています。

天井です。こちらは「北斗」編成と変わりません。

座席です。キハ261系で導入された座席と同じ座席に改座されています。「スーパー宗谷」に座席レベルを合わせる必要があったからなんでしょうね。指定席車はシートピッチが広げられており、足元はかなり広々としています。ただし、窓枠はいじられていないため、画像のような修行席も存在します。

そして緑色の座席。この座席、721系のUシートであったり、785系や789系の自由席にも搭載されている、今や全道中で見ることが出来るものなのですが、導入初期に当たるからでしょうか、センターアームレストは幅広のものではなく、従来に近い仕切りとしてのみの役割をしたものとなっています。

指定席車には、窓下にコンセントが設置されています。家庭用のようなものになっているのがちょっとシュールです。しかしながら、通路側の人が窓下のコンセントを使えるかというと・・物理的にも心理的にも窓側の人と気まずい空気になってしまいますよねぇ・・。実質窓側専用といえそうです。

そして札幌寄りの自由席車です。青色のモケットとなっています。この車両が2016年度にスラントノーズ先頭車に置き換えられました。ええ、単純に自由席の座席減ですよね・・。

デッキ仕切りです。こちらは逆に窓が下まで引き伸ばされたものになっています。この辺り、JR北海道のよく分からないところでは有ります。

最前面です。こちらも右側は展望を考慮した大型の仕切り窓が設置されています。仕切り扉が青色になっていますね。

ということで最前列からの展望を。前面窓下辺にポリカーボネートが貼られているため、すこぶる眺めがいいとは言い切れません。

座席です。こちらはシートピッチはそのままに座席を改座したため、窓割はしっかり連動しています。コンセントは省略されており、料金の有無として物理的な格差を設けているのでしょうね。しかし、3両編成しかないのに自由席は1両ポッキリとは・・。いや、需要としては適正値を行っているのかもしれませんが・・。

キハ183系は、今後数年をかけて置き換えがされることが発表されています。最後の1両が引退するその日までどうか、どうか安全に走り抜いて欲しいと切に願っています。