九州新幹線全通に際しJR西日本が直通用に用意したのは、やはりN700系でした。
JR西日本は7000番台、九州は8000番台を名乗ります。見た目こそシルエットはフツーのN700系ですが、博多までの乗り入れとなる16両編成とは細部が異なっているようで。
ロゴとして、西日本と九州がひとつにつながるようなデザインとなっています。現在九州直通の「みずほ」「さくら」の他、一部の「こだま」や「ひかり」にも運用されています。
塗装はベースがやや青みがかかったものとなっています。
そう言えば的に、USJのウィザーリング・オブ・ハリーポッターのラッピングを施した編成もいましたね。
デッキドアです。周りは木目でかためられており、0番台の無機質なイメージを払拭しています。そして最近では当たり前になりつつある監視カメラもドア上にセットされています。
ゴミ入れも備わります。ここは汚れを考慮して木目とはなっていません。というか、分かりづらいですよね(笑) 飲料系とその他で分別されています。
こちらはバリアフリー対応車両のドアです。車椅子が通れるよう、幅が広げてあります。
トイレも各種用意されています。こちらは男子小用。
そしてこちらは男女兼用。
そしてバリアフリー対応トイレ。かなり広く取られています。
こちらは向かい側の多目的室です。開閉ボタンが備わりますが、普段は施錠されています。
洗面台です。鏡の中に照明を仕込むのはJR西日本のお家芸とも言えます。
バリアフリー対応車両の洗面台です。円形にカーテンで仕切られるようになっています。
5号車にはパウダールームも備わります。全身鏡に簡単なテーブルやゴミ入れ、クッションが設置されています。
3号車と7号車に設置されている自動販売機です。充当されるほとんどの列車で車内販売が実施されているので、買われているか心配になってしまいます。
どれだけ時代が進化しても設置され続ける新幹線内の公衆電話です。その下には飲料系のゴミ入れもあります。
テレホンカード発券機を備えた場所もあります。地味に電話機の色が灰色になっています。
喫煙スペースです。車内が全車禁煙化された代替処置として設置されたものですね。
車内、まずは普通車自由席からです。繁忙期の着席需要を考慮し、2+3の5列配置となっています。この辺りは700系7000番台レールスター編成以来とても現実的ですね。基本的なパーツはオリジナルのN700系と変わらないのにこれ程までに印象を変えられたのは流石です。
デッキ仕切りです。木目の化粧板を使用し、落ち着いた雰囲気を出しています。
座席です。まずは3人掛けからいきましょう。座席自体はJR東海の0番台と同様ですが、モケットと持ち手となるグリップの色調が異なっています。見た目重厚感がアップしていますし、触感も全くの別物です。
モケットの肌触りひとつ取ってみても、以前の「快速のグリーン車」然としたモケットから脱却しているのは素直にうれしい所。この勢いでもっと厚みのあるものになればよかったのに、と思うのは贅沢ですね。
続いて2人掛けです。赤系統で市松模様のモケットになっています。
ちなみに、0番台と3000番台では「300系縛り」として両先頭車のシートピッチは中間車と比べて詰めて設置していましたが、この番台ではわざわざ1列分座席を潰してまでシートピッチを中間車に合わせています。その分着席定員が5名分少なくなってはいますが、300系縛りに囚われる必要の無い山陽・九州新幹線だからこそなせることだと思います。いいんです、どうせ8両編成なんで本格的な輸送力なんて16両編成に任せておけばいいんですから(爆) 窓側にはコンセントが1口のみ設置されていますが、0番台同様給電量はあまり多くありません。「有るだけマシ」程度に思っておく方が幸せです。
デッキ仕切り部の列は「オフィスシート」区画、テーブルが大型のもので、ノートパソコンも余裕で置くことができます。またこの列に限り、全ての席にコンセントが設置されています。700系7000番台で登場したこの装備もすっかり伝統となりました。というか、時代のニーズに応えた、という方が正しいですね。
続いて、現存する新幹線の普通車の中では最高ランクに位置付けられるであろう指定席車内です。幅広の新幹線車体にしてこの通路幅、2+2で大型の座席が並んでいます。
デッキとの仕切りです。自由席車と化粧板の色を変えて視覚的にも区別出来るようにしています。
バリアフリー対応車両のデッキ仕切りです。仕切り扉のドア幅が広げられています。
デッキ仕切り上に設置されているLED表示です。ニュースやCMなどを流しており、文字が大きいもので視認性には優れています。周りには各種サインが並んでいます。
JR西日本編成ではお馴染みですが、各駅到着前には上から文字が降りてくる遊び心ある仕様となっています。これがまたおもしろい(笑)
天井です。カバーが中央は半間接となっています。0番台では中央のスリットが円形だったのですが、この番台では長方形となっています。ささやかな違いですね。
座席です。ウエストひかり→ひかりレールスターからの流れを汲む普通車にしては超孥級の横幅を有する座席となっています。在来線であれば間違いなくグリーン車に搭載されているでしょうね。実際これにフットレストでも付こうもんなら、まったくグリーン席そのまんまですし。
手前は全展開の図ですが、リクライニングをしなくても全然快適に過ごせます。クッションが体に沿うように当てられていて、見た目は薄く見えますが座ってみるとしっかりとサポートしてくれます。サイドアームレストに収納されたボトルホルダーは700系7000番台からの伝統、アームレストに関しても何となくレールスターの血を受け継いでいるようです。自由席同様、窓際にはコンセントが1口あります。
背面収納テーブル裏にはこのように車内設備案内も。
車椅子対応の1人掛けです。ベルトが備わる他、座席回転レバーがやたら大きくなっていますね(^^;;
全展開の図。一般の方は通常指名買いすることは出来ませんが、とあるタイミングで発券規制が解除されるとの事・・。
普通車の紹介では珍しくセンターアームレストをクローズアップ。普通車にしては破格の幅を持ったこのセンターアームレスト、先端部分には飲み物も置くことができます。しかしこのセンターアームレストがすごいのは・・。
裏側にもクッションとモケットを貼り付けており、跳ね上げることにより座席を一体的に使用できることです。想定としては、大人2人、子ども1人の3人利用を想定しているとの事。
というわけで跳ね上げた状態で一枚。こういう配慮、そこのJRやあのJRなどでは絶対に出来ない芸当ではあります(苦笑) 同じ指定席料金を払うことを考えれば、山陽・九州新幹線を総合的に比べてみてもこの系列の指定席を確保するのをおススメします。
デッキ仕切り際の座席は自由席同様オフィスシート区画になっています。コンセントも人数分用意されています。テーブルもパソコン使用を前提として大型になっています。
展開の図。こちらのテーブルは展開面も木目の色調となっており、自由席とのささやかな格差構造が見て取れます。
続いてグリーン車です。デッキ周りは暗い色彩でまとめられており、上級グレードの車内設備を提供する車両として恥じない仕様としています。車内に入る前からとても背筋が伸びる気持ちです(^^;;
喫煙スペースです。普通車と何が違うのかと言われれば中の化粧板くらい(笑) とは言えここはグリーン券を持つ人のみが使用を許される場所、無闇な立ち入りは無用です。
というわけで車内です。半室グリーン車で、2+2配置の座席が6列、定員24名のミニマムな空間です。落ち着いた内装にも床には唐草模様。土地柄、どこかのデザイナーが多分に関わっているような気もします。開発元がJR西日本サイドなので幾分トーンが抑えられているようにも見えますが、これ位が丁度いいですね。
天井です。こちらも普通車と同様です。荷棚下から半間接の照明を仕込んでいるのは0番台と共通しています。
座席です。0番台の座席をベースに、可動式のヘッドレストピローとレッグレストを追加しています。この辺り、JR西日本は「グリーン車にヘッドレストピローは付けるべきだ」という思想が見えますし、N700系という16両編成の新幹線が如何に東海から押し付けられたかが分かる気がします。
シートバックテーブルは応加重タイプで、手前に引き出すことも出来ます。座り心地としては、元がある程度完成されたものであるだけに良好です。モケットの関係でこちらの方が多少柔らかめなような気もします。
ヘッドレスト横に付いたLEDによる読書灯です。回転することも出来るので、お好みの位置でどうぞ。
リクライニングレバーは0番台と同じレバーの他に、レッグレストのレバーも併設しています。こちらもほとんど力を加えることなく操作出来るため、電動式よりもはるかに機能的です。全国的に広がっていないのが少し残念…。
フットレストは、レッグレストが設置されているため小ぶりになっています。正直、ここは従来の大きさでも良かったように思います。右が土足面、左が土足禁止面で、足を乗せておかないと勝手に土足面に戻るタイプです。こんなところまで似せなくてもいいのに・・。
窓枠にもミニテーブルがあり、焦げ茶色の木目調となっています。
西日本・九州両者のノウハウを結集したグリーン車、グリーン車並の空間を提供する普通車指定席、一味違った印象を持つ自由席。山陽新幹線区間の「のぞみ」なんてわざわざ選んで乗るもんじゃありません。