JR東海N700系 | 車内観察日記

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鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。


新幹線の番号が800まで到達し、次に出る形式は何になるかと注目していましたが、700の前に「N」を付けるようになりまして・・、というわけでN700系です。これまでアルファベットを冠した系列は日本中にいくつも存在していますが、ここまで有名になった系列も無いのではないでしょうか。デザインは「へんちくりん」という人もいますが、僕は嫌いじゃないんですけどねぇ・・。


行き先表示はフルカラーLEDとなっています。LED自体は500系700系3000番台 で3色LEDとしてほぼ同様の表示内容で実現していましたが、この度めでたく東海でも本格採用となりました。


ロゴも登場当初はこのとおり。


現在、後続のN700Aが登場したことにより、既存のN700系に関しても仕様を合わせる改造を施しているため、後ろに小さく「A」を付加しており、車番も2000番台になっています。


この系列の特筆すべき点としては、初めて車体傾斜装置が取り付けられたことですね。カーブ区間で車体を1°傾斜させることで、カーブでも速度を落とさずに通過できるようになっています。カーブ通過時は、デッキ仕切りに近い座席では「カッカッカッ」という傾斜装置の作動音を聞くことができます。最近ではおなじみとなった、東海と西日本の共同開発ということですが、今回に至っては番台こそ0番台と3000番台に分けられていますが、ほとんど同じ仕様となっています。


それでは参りましょう、まずはドアです。軽量化のためか、700系から更に窓が小さくなりました。


ドア横には公衆電話が設置されています。700系では個室で仕切っていましたが、この系列ではデッキの騒音そのものが軽減されたと判断されたのか、個室でなくなっておりました。


一部ではテレホンカード発行機が設置されていないものもありました。なお現在は公衆電話サービスが終了しており、電話機も撤去されています。

 

ゴミ入れです。ピクトグラムで表示しています。


こちらはビンカンペットボトルを分別しているタイプです。

 

そして飲料系のみのタイプ。目立たなさ過ぎて気付かれていないような・・。


最近の車両ではお馴染みとなりつつある防犯カメラです。


おむつ台を備えた多機能トイレです。


そのほか、通常のトイレと男子小用トイレと、最近の特急用車両ではごくごく見かける配置となっています。


洗面台です。カーテンで仕切られるようになっています。やはり長距離列車としての備え故か、2箇所となっています。


そしてこちら、車椅子用トイレです。取り回しを容易にするため、円筒形になっています。


そして洗面台です。こちらもカーテンが円筒形に閉められるようになっています。


多目的室です。一見車椅子用トイレと似ていて分かりにくいですね(笑) 開閉ボタンこそ設置されていますが、普段は施錠されています。


N700系では全車禁煙席となっていますが、登場当初は一応依存症代表の意見を汲み取り喫煙スペースを設けていました。気圧を調整することにより、煙が外に出ないようにしています。


喫煙スペース内部の様子です。ただでさえ閉鎖的な空間ゆえ、窓が空けられています。なお現在はこの区画も含めて全車禁煙となったため、喫煙スペースとしては閉鎖されています。今後は緊急時の食品置き場や、小口の貨物輸送スペースとして活用していくそうな。


ドアは自動式となっており、開きっぱなしになる時間を極力減らしています。


かつて自動販売機が営業していましたが、2014年3月以降は営業を停止することになりました。存在を知る人もそこまでいなかったのは確かで、1列車あたりの売り上げもイマイチだったそうです。こうして、長距離列車のサービスは削減されていくのですね・・。実は、僕はこの影響をかなり早くから被った人の一人でして、東京からこだま号で新大阪へ向けて移動しているときに飲み物が尽きてしまい、何か買おうと思っても車内販売の営業は無いし自販機はこの有様で・・(^^;; 静岡駅の通過待ち時間中に走って自動販売機で用を済ますという経験をしたことがありました。


デッキ仕切りを外側から。左右には手すりが走っています。


車内です。白の内壁と青い座席が良いコントラストを演出しています。300系や700系ではビジネスライクでモノトーンなイメージだっただけに、それと比べると明るくなったなぁと思います。


デッキ仕切りを内側から。2+3列配置なので、仕切り扉が寄せられています。上部にはフルカラーLED表示機が設置されています。


天井です。700系では2列配置となっていましたが、N700系では中央に寄せられ、間接照明となっています。


空調ですが、荷棚付近からの吹き出しの他に、窓側の壁と荷棚の間にも吹き出し口を備えています。案外気付かない人も多いようで、N700Sではこの方式は取りやめられています。


こちら、閉じた様子です。

 

座席です。まずは3人掛けから。まず初見の印象として、かなり薄く仕上がったなぁと。軽量化のためには必要なことなのでしょうね。しかし影響が少ないかといえばそうでもなく、後ろの席の方がシートバックテーブルを引き出すと、振動がモロに伝わるという・・。いや、まぁこれだけの薄さで振動が伝わらない座席があったら、是非とも見てみたいものです(笑)


両先頭車の座席に関しては、中間車よりもシートピッチを詰めて設置しています。これには先々代の300系に根源がありまして、JR東海の規定により、「東海道新幹線の営業列車は全列車16両編成、1323席でなければならない」という縛りがあるためです。このような規定が出来たのは、阪神淡路大震災で山陽新幹線が被災した際、東海道区間に取り残された座席数が合わない多数のJR西日本編成の面倒を見させられて苦労した経験があること、500系という特殊な形状をした新幹線に繁忙期を中心に手を焼いたというJR東海のトラウマから生まれたものです。500系の強制撤退以降、東海道新幹線は300系と同じ規格にすることで、突発的な運用でも指定席の割り当てが容易に出来るように規定を定めたという過去があります。300km/h運転を可能にするために300系よりもノーズが長くなったN700系では、先頭車のピッチを詰めないと「1323席」を達成できないという自縄自縛です。それでも2cmの差ですが・・。

 

続いて2人掛けです。


テーブルは応荷重タイプです。リクライニング角度はまずまず、座り心地も最初は少し硬いな、と思うのですが、徐々に体になじんでくる、といった印象です。Sバネ仕込みの成果とも言えるでしょうか。ただ、座り心地は悪くないとは言え、「くつろぐ」という観点では、座席の薄っぺらさもあいまって、それに配慮されているかどうかは・・。また、コストと効率を追い求めた結果、モケットがポリエステルの触感故に安っぽいのが少し残念。そして、先ほど触れた青いモケットも、「特急」というよりは「快速のグリーン車」と言った印象を受けます。


車椅子対応座席では肘掛けを跳ね上げることができ、固定用のベルトが備わっています。


普通席窓下には、コンセントが設置されました。全席設置とはなりませんでしたが、ビジネス利用が多い新幹線において、この備えは嬉しいですね。おかげで移動中にも仕事ができてしまうという、ありがたいやらありがた迷惑やらという事態も生まれています(苦笑) しかし、このコンセントの給電量はかなり少なめです。普通のコンセントと同じ気持ちで電池残量が少ない状態でパソコンやスマホを充電しながら使い続けると、給電が追いつかずあっという間に充電が切れてしまいます。「あるだけマシ」程度に思っておくのが幸せです。


デッキ仕切り部の座席は引き続きオフィスシートとなっています。この列のみテーブルが大型となっており、ノートパソコンなどを置くことを想定した大きさになっています。


そして、コンセントも5列分設置されています。


続いてグリーン車です。カーペット敷きとなっており、暖色の照明が照らします。


フラッシュを焚かずに取るとこのような感じです。ちなみに手前側が普通車、奥がグリーン車です。足元を照らす照明など、明らかな格差構造が見て取れます。


グリーン車専用の喫煙スペースです。普通車とこれといって変わりありませんが、普通車からの利用はお断りとされていました。


グリーン車側にも公衆電話があります。


デッキ仕切りです。側壁の角などを木目パネルとしています。


洗面台です。こちらも普通車とは異なり、木目パネルを使用して差別化を図っています。


照明が普通車とは違い、電球色で立体的となっています。


そしてグリーン車限定アイテム、全身鏡。ビジネス利用が多い故の備えといえます。


車内です。ブラウンの座席が並ぶそれは、700系のB編成とC編成を足して2で割ったようにも見えます。ちょっと700系の東海編成はカジュアル過ぎましたね。


デッキとの仕切りです。仕切り扉は中央に配置されていますが、それ以外は特に変わりません。グリーン車にも広告があるのはいかがなものかと思うのですが、最新のN700Aに至るまで漏れなくありますよねぇ。


天井です。700系では明らかな格差構造が見て取れていましたが、N700系では形状は同様となっています。部品共通化によるコストダウンのためでしょうか・・。


しかし全く同じかと言われればそうでもなく、カバー部分に和紙を思わせる模様が入っており、色合いも若干ながら暖色が強くなっています。


側壁に関してもこのとおりで、模様が入ったものとなっています。


窓です。大きさは普通席と変わらず小さいのですが・・。


グリーン車では窓上に電球色のLED照明を仕込んでいます。これで夜間などの窓側の暗さを補っています。

それでは座席です。シンクロナイズド・コンフォートシートと命名されたこの座席は、リクライニング時に座面が一緒に沈み込むようになっています。

 


座り心地に関しては、700系より少し硬めに仕上がっていますが、それでもあまり疲れは感じさせません。さすがは日本の大動脈のグリーン車。他のJR各社では、グリーン車などの上級クラス(最近のJR東日本では普通席にも)には、ヘッドレストピローを付けることが多いのですが、特にそのような設備はありません。JR東海の在来線特急のグリーン車もそうですし、かなりヘッドレストピロー設置に対して否定的な会社とも言えます。


リクライニングレバーはこれまでに無い形状です。つまみをこちらから見て奥に引くと背ズリが倒れ、手前に押すとリクライニングが戻ります。実はこれ、体重をかけなくてもある程度は倒れるようになっており、電動リクライニングと似た使用感となっています。おおよそ電動リクライニングは、安全上挙動が遅いものがほとんどなので、ひょっとしたらこちらの方が使いやすいかも。


読書灯は荷棚から、座席のヘッドレスト部分に移動してきています。上下左右に動きますので、あらゆる状況や身長に対応できるようになっています。


センターアームレストは固定式の幅広タイプで、先端は飲み物を置くことを想定してか、テーブルのようになっています。中央には窓側・通路側で占有出来る面積を明確にするための縫い付けがあります。


側面には、読書灯と足元ヒーターの操作パネルがあります。緑のランプは、コンセントの使用可否を知らせるものです。かつてはオーディオサービスもありましたが、現在では撤去され蓋がされています。明らかに塞いだ跡は分かりますが、700系の時に比べるとまだ自然に仕上がっている方ですね。


そしてコンセントはセンターアームレストの下に2口備わっています。こちらもグリーン車だからといって給電量が多いわけではありません。ご利用は計画的に。


ちなみに、グリーン車のテーブルは前後することができ、リクライニング状態でもなるべくテーブルを近づけることができるようにしています。

 


都合、うまく使えば窓側はテーブルに属するものが4箇所もあることとなります。無論、通路側が他人だった場合、大人しくしておく方が幸せです。


そして、デッキ仕切り部はおなじみオフィスシートとなっており、マガジンラックと引き出し式の大型テーブルがあります。