経済産業省調査事業「健康寿命を伸ばそうプロジェクト」コンソーシアムのFP座談会では、大きくは2つの方向性があったと思います。1つは、保険の付帯サービスとして健康寿命に役立つことを充実させる、もう1つは健康寿命に役立つことをやった人は保険料が割り引かれるという考え方。そして健康寿命に役立つことの代表例としてスポーツジムの利用などがあるという訳です。
私が話していて感じたのは、保険料の"割引"という言い方になってしまいましたが、保険料体系の細分化という大きな枠組みで大胆な試みができないかということです。
自動車保険では保険料体系の細分化が先行しており、無事故の期間による等級に加え、ゴールド免許や走行距離限定による割引が一般化しています。これらの判定は一度ではなく、毎年行われ保険料が毎年変わる可能性があります。
一方、死亡保障・医療保障の保険においては、定期の死亡保障(一部の終身の死亡保障にもありますが)で、健康体料率があり、健康状態が保険会社の定める基準を満たす方について、喫煙者か否か(直近1年間で判断)、そして血圧およびBMI*が一定の数値内であるかにより割安な保険料を適用しています。保険会社によって料率の区分数と名称は異なりますが、非喫煙健康体・非喫煙標準体・喫煙健康体・標準体に分かれる会社が多いです。(余談ですが、私のお客様でも、たばこの値上がりをきっかけに、禁煙するから1年後に保険の見直しをしますと言う方が数名いらっしゃいます。)
この健康体料率は、加入時点だけで判断され、その後にBMIに変化があったとしても保険料は変わらないという点が、自動車保険の料率とは大きく異なりますね。こうした保険料率の細分化の枠組みを3つの方向で広げられないかというのが、私の感じたところです。
【適用保険商品の拡大】.
現在、生保商品では死亡保障に留まっていますが、医療保険・がん保険・介護保険などでもできないか。
【料率判定基準の多様化】
例えば、スポーツジムの利用頻度など健康によいと思われることを行った記録の提出、あるいはがん検診
など任意の検査・検診結果の提出により、保険料が割安になる仕組み。新しい料率をつくることで、"標準体"は必然的に保険料が高くなり、結果として健康寿命に役立つことへの参加が促されます。
また、例えばがん検診は欧米に比べ日本の受診率の低さが指摘されていますが、各種の検査・検診が医療機関以外で気軽にできるようになる、例えばスポーツジムでもよいのかも知れません。この場合、簡単にできる検査の開発・普及、あるいは医師・看護師でなく病気の予防指導と早期発見を目的とする検査に特化した資格の創設と人材育成が必要になるかも知れません。雇用の創出につなげられる可能性もあります。
【料率判定の継続化】
判定基準が多様化されれば、加入時に一度で充分と判断できるものだけでなく、例えばスポーツジムの利用頻度など継続的な判断が適切と考えられるものもあると想像できます。毎年判定するとした場合、基準から外れたら保険料が値上がるというのは加入者にとって受け入れ難い懸念はあります。そこそこ魅力的な割安感があり、通常料率になってしまった場合も家計を圧迫してしまわないような料率設定が必要となり、それが10%なのかは分かりませんが、自動車保険の体系は参考になるはずです。
全体としては、健康寿命を保つために努力した人が報われる保険料体系ができればよいのではと思っています。公的健康保険制度ではこうした努力で保険料に差をつけるのは難しいでしょうし、民間保険の大きな意義になるのではないでしょうか。
また、これが機能して健康寿命を保つ努力をする方が増えれば、公的健康保険で賄っている医療費の削減にもつながりますので、こうした仕組みづくりのベースとなる調査やデータの整備などに国から助成金などの形で支援を受けるのは非常に意味のあることだと思います。
このプロジェクト、ぜひ今後も応援させていただければと思います。
この記事を読んだ方でご意見のある方はぜひコメント下さい。
また、FPの情報発信の場を設けて下さっているFPの吹田朝子さんに感謝いたします。
吹田さんの座談会記事>>http://ameblo.jp/tomosui-thanks-wealthy/entry-10707387095.html
*BMI ボディー・マス・インデックスの略 BMI=体重(kg)÷身長(m)の2乗