常磐遠征① | ゆめの跡に

ゆめの跡に

On the ruins of dreams

①茨城空港

 今回は、失礼ながら魅力度ランキングで最下位となることが多い茨城県を中心に旅した。ただ関西からは現在神戸から1日3便の発着がある。茨城空港は昭和12年(1937)百里ヶ原海軍飛行場として設置されたのが始まりで、昭和41年(1966)には航空自衛隊百里基地が設置され、平成22年(2010)民間共用化が実現して開港した。旅行支援でレンタカーは茨城県内のホテルの宿泊証明があればさらに安くなるとのこと。

 

②ふるさと歴史館

 まずはかつて常陸国国府が置かれていた石岡市に向かう。最初に訪れた常陸國總社宮は目出度くも結婚式の最中であった。国府跡(府中城跡でもある)の市立石岡小学校敷地内に市立ふるさと歴史館がある。歴史的興味は尽きないが、観光資源としては魅力的なものが残っていないのは残念。


③志筑陣屋跡のキジ

 かすみがうら市の志筑陣屋跡ではけたたましい鳴き声とともにキジの歓迎(ではないだろうが)を受ける。初めて見たわけではないが、のんびりしている?姿を見たのは初めて。毎年、愛鳥週間(5月10日〜16日)や狩猟期間前などに大量に養殖キジが放鳥されるとのことで、そんなキジの一羽なのかもしれない。続いて筑波山を横目に笠間市(宍戸陣屋など)へ向かう。

 

④海軍航空隊記念館

 写真はニュージーランド空軍がソロモン諸島で回収したもので、ラバウル航空隊の「零式艦上戦闘機二一型」らしい。昭和17年(1942)日本軍は1月から2月にかけてのラバウルの戦いでニューブリテン島(現・パプアニューギニア)を制圧、第二十四航空戦隊司令部が進出して「ラバウル航空隊」が誕生した。東部ニューギニアやソロモン方面の各基地を移動転戦したが、戦況の悪化により昭和19年(1944)2月、少数を除きラバウルから撤退した。次に那珂市(瓜連城)へ向かう。

 

⑤馬坂城付近

 1日目の最後は佐竹氏発祥の地で、水戸光圀公隠居の地でもある常陸太田市へ。この時期は各地で色とりどりのツツジ🌺を見ることができるが、ツツジの多くの種にはグラヤノトキシンという毒があり、そんな子はもう少ないとは思うが、蜜を吸ったりすると中毒症状を起こすそうだ。

 

⑥西山の里庭園の藤

 光圀公の西山御殿は残念ながらすでに閉館していたが、助さんらの住居跡や庭園などは散策することができ、ツツジやフジが見頃を迎えていた。フジはマメ科フジ属のつる性落葉木本で、別名をノダフジといい、摂津国野田村(現・大阪市)に由来する。「藤」という字は本来はツル性、木本性(草ではない)植物全体のことを指す。

 

⑦西山公園の日暮

 1日目を終え、勿来の関を越えて宿泊地のいわき市へ向かう。目当ての寿司屋は入れず、女将さんが一人で切り盛りする小料理屋に入り、地元の方々と交流する。いわき市は福島原発からそう遠くない中核都市だが避難区域にはならなかった。東京電力による追加賠償は震災当時に住んでいた場所により、一人あたり280万円、130万円、いわき市・福島市・郡山市など23市町村は8万円、県南など10市町村は6万円となっているようだ。

 

⑧松岡城お屋敷通り

 2日目はいわき市(泉陣屋・湯長谷陣屋・白水阿弥陀堂)から南下して茨城県に戻り、高萩市(松岡城)、日立市(助川城)を巡る。2軒まわってようやく昼食に念願の寿司を食す。

 

⑨原子力科学館

 沖縄県読谷村に次ぐ2位の人口(約3万8千人)の東海村は、昭和32年(1957)日本初の原子炉が稼働した。以来多くの原子力関連施設が集積するが、平成11年(1999)には臨界事故で2名の死者を出した。少しは原子力の知識も持とうと科学館に入ってみる。文系人間の自分には難しいが、「中学生のための原子力とエネルギーブック」(茨城県発行、ネット上にPDFも公開されている)などをいただいて帰る。

 

⑩弘道館

 想定より早く水戸に入ることができ、先にホテルのチェックインを済ませる。水戸城は大手門や櫓が復元されていた。弘道館のあたりの駐車場は無料で、自治体の観光客誘致への意気込みを感じる。戦災で焼失した御三階櫓は学校施設内にあり、今のところ復元予定はなさそうだ。また「尊攘」のイメージが強い弘道館だが、水戸藩保守派である「諸生党」は弘道館の諸生が多かったのでこの名がつき、弘道館戦争では諸生党がここに立て籠って水戸城中枢部の天狗党側と戦っている。

 

⑪仙波湖

 千波湖は古那珂川の堆積物により古桜川が堰き止められてできた沼地だったが、水戸藩が城下町建設にあたり護岸を囲い込んで千波湖となった。当時は現在より3倍の面積を有し、水戸城の外濠としての機能や農業用水の供給源としての機能も有した。大正から昭和前期にかけて東側が埋め立てられ、桜川や逆川とも切り離されて現在の姿となっている。

 

⑫偕楽園

 後楽園・兼六園と並ぶ日本三名園の偕楽園は19:00まで(夏季)営業している。令和元年(2019)から茨城県民以外は有料(一般大人300円)となった。好文亭は別途入館料(200円)が必要だが、17:00まで(夏季)なので入れなかったが、外観は見ることができる。今年はツツジの開花が2週間ほど早かったようで、好文亭前のツツジはすでに最盛期を過ぎていた。

 

⑬偕楽園駅近くの夕日

 茨城県は現在、弘道館公園、偕楽園、千波湖を中心とした「水戸県立自然公園」として運営している。千波湖周辺は無料駐車場もあり賑わっていた。一方で偕楽園本園は遅い時間であったせいか閑散としていた。有料駐車場からの案内標識もちょっとわかりづらい。梅まつりシーズンは賑わっているのだろうが、それ以外の時期に県外から観光客を集めるには周辺の商業施設などにもうひと工夫が必要だろうという気がした。

 

⑭水戸駅北口

 水戸駅前でレンタカーを返却し、そのまま地産地消の居酒屋に入り、「梅納豆の蓮根はさみ揚げ」や「銘柄肉三種串焼き」(つくば鶏、瑞穂芋豚、常陸牛)などをアテに茨城県の家久長霊水八溝をいただく。3日目の最終日は鉄道での移動を予定している。