今は小奇麗になった錦糸町も、昔はダーク・ファンタジーな楽天地だったのだ。
子供のオモチャ屋と大人のオモチャ屋と、その狭間のジョーク・ショップが混在してて、楽天地映画街もヒワイで怪しい場所だったのだ。
道の両脇に映画館が数軒並んでて、ポルノ、ヤクザ、アニメのポスターと役者画とノボリが立っていた。
楽天地の古い記憶は、やはり小学生のころにブルース・リーの『死亡遊戯』、いやその前はホイ三兄弟の『ミスター・BOO』シリーズだったかな。
加山雄三主演の実写版『ブラック・ジャック』も観たな。
『エイリアン』もそのころか。
おれは不登校児だったので、映画館が住まいみてーな酒臭いホームレス? にまじって、一人で観にいってたのだ。
その当時は、おれの勘違いかも知れんが、館内は禁煙じゃーねーから大人はタバコをバカバカ吸うもんで、タバコの煙が映写機からスクリーンに投射する光のスジがよく見えて、それもなんかの味わいで、そんな中、そりゃーもう、メシも喰わずに朝から晩まで同じ映画を観てたのだ。
席の真ん中で観て、一番前で観て、二階席でも観てたのだ、同じ映画。
バカなガキなのだ。
高校生になって、年齢ごまかしてスナックでエレキ・ギターでジャズやってたころも、店が早くハネたときには楽天地でポルノ観てた。
一人で。
まだ競馬通りの呑み屋街に流しの三味線坊主がいたころなのだ。
錦糸町の楽天地は映画ってーよりも映画街の記憶が大きくて、暗くて怪しくて湿気が多い場所だった。
でも、そんな場所が大好きで大好きで、とにかく自転車で通っては映画を観なくともうろつくのが大好きだったのだ。
たぶんティム・バートンやタランティーノとか、嬉しくて狂乱するぞ、昔の錦糸町。
今の楽天地は西武デパートとシネコンになっちまって、面白くもなんともない。
すんげー残念なのだ。
んーでも、ちとその裏道をいくと当時の名残がある。
それがすんごく嬉しい。
やらしい、怪しい、嬉しいなのだ。
錦糸町ニューシネマ・パラダイス。
このシリーズはもうちっと続けよーかな。