美術の一環としてたまーに呼ばれるのだ。
豪華なディナーのサンプルをテーブルにお飾りするってーな仕事らしいのだが、素材や材料は先方がご用意するってーんで、したらてめーんとこでやりゃーいーのじゃねーか? などと思いながらも簡単な道具だけ持って、痛い足を引きずって出かけたのだ。
するってーと、ほぼ垂直のテーブルに飾りつけて欲しいと先方さんはおっしゃるのだ。
なんでい、それで呼ばれたのかい。
たまに百貨店の屋上とかで催す、東映ヒーロー展や円谷のウルトラマン展みてーなジオラマとか、可動マネキンに着せて無理なポーズをさせたヒーローや怪獣を、無理やりテグスで吊りまくって立たせたり、カポック(発砲スチロール)を削りだして、おが屑まぜたラテックスで装飾したりの特殊なディスプレイをしていたのだ。
そんなもんだから、ちゃーんとしたディスプレイのお師匠さんについたワケじゃーなくて、もう何でもアリアリなのだが、いくらなんでもそれじゃーあんまりだってーんで、独学でディスプレイの技法を学んだのだが、だいたいそれは望まれなく、ってーかそれじゃー納まんない場合が適当なのだ。
じゃあ早速、垂直のテーブルにお飾りする豪華ディナーの食品サンプルを見せていただこうかい。
ってーんで出てきたのがサラダ・ボウル、フランスパンのバスケット、ピザ、スパゲティ、カレーライス、オムライス、イチゴとキウィのケーキ、フルーツバスケット、オレンジジュース、トマトジュース。
これで二人前のディナーってのに困ってしまったが、すべて炭水化物で肉、魚がないのだ。
更にはカレーが半カレーってーのがミソなのだ。
これじゃー立ち食いメニューじゃねーか。
ファミレスのディナーでもこんな素っ頓狂なチョイスはねーぞ。
とりあえずディスプレイはするので、レイアウトだけしてもらうことにしたのだ。
したらスパゲティの右側にスプーンとフォーク、左側にナイフを配置し、オムライスにも同じ配置を始めたのだ。
やいやい、おれは育ちはよくねーが、ナイフとフォークが逆じゃあねぇのかい? 第一スパゲティとオムライスをナイフで食するたー聞いた事がねぇ。
これでも煉瓦亭ぐらいは行ったことがあるのだが、あんた正気かい?
先方さんは慌てて調べなおしてレイアウトを直したのだが、今度は用意された接着剤に困った。
ハナッから垂直のテーブルでもテグスとメルトがありゃーどーにかなっちまうもんだが、コーキングなんて持ってきやがった。
乾くまで一日はかかるし、透明にならないのだ。
しかたねーから、片っ端から速乾ボンドの、殴り(トンカチ)で釘打ちの、電気ドライバーでビスをもみ込んだ。
サラダもパンもカレーもスパゲティも、フルーツバスケットのザクロやバナナやオレンジやブドウの一つ一つも丁寧にみんな釘打ちのビスどめなのだ。
くそ、ふざけんな。
てめーの後頭部にピザを釘打ちしてやろーかい。
ついでに穴を空けて貯金箱にしてやる。
ってーか、こんな仕事してあんた恥かしくねーのかい? ちったー人生考え直せ。
ってなワケで今日は奇妙な疲れ方をしたのだ。
少しだけ部屋の掃除して寝るのだよ。